素直に甘えられる人
作者は書き物初心者で、文が拙いうえ物語構成人物設定などがしっかりできていないかもしれません。
そんな作品でも大丈夫という方はお読みください。
「秋人お兄ちゃん」
「お、優香ちゃんか」
「また、きちゃった」
苦笑しながらそういう優香を見て秋人も苦笑し返してから優香を家に招き入れる。
優香は今中学3年生で秋人は大学の4年生で6歳差がある。
昔、優香がまだ小さな小学校の低学年のころお互いの両親が仲が良かったことでその時に会い、人見知りが激しかった優香は最初はなかなか懐かなかったものの秋人の優しげな雰囲気にだんだんと懐いた。
だが、二人は別に近所に住んでいるわけでもなかったので最後に小学校3年生にあった以来ずっとあっていなかったのだが、秋人が大学生になり一人暮らしするようになったとき偶然優香の住んでいるマンションの隣のマンションが秋人の住んでいるところだったのだ。
それに気が付いたのは優香がちょうど中学1年生に上がったころで秋人は優香に会えたことが懐かしくそして同時に嬉しかったから話しかけたものの年を連ねたからか一番最初に話したころよりもおしとやかになっていて年頃の女の子というのはこういうものなのかと思った秋人。
最初のうちは優香は久しぶりに会ったと言ってもどう話せばいいのかわからなくそっけない態度になっていたのだが何回か話しているうちに前のように秋人に甘えたり普通に話せるようになっていった。
そしてそうなってきたら秋人の家に遊びに行きたいと言ったり秋人自身優香を家に誘ったりした。
秋人としては可愛い妹のような存在の優香は一緒にいて癒されるものだった。
優香も普段は両親以外の人に甘えたりしないのだが秋人だと昔からの知り合いで昔もよく甘えていたということもあり自然と安らげる場所になっていたのだ。
「ねえ秋人お兄ちゃん」
「ん? どうかしたか?」
「あのね今日、泊まっていってもいいかな?」
「え!」
優香は秋人の驚き様に少し怯みうつむき気味に「ダメ?」と聞いた。
「いや、ダメじゃないけど、でも、急にどうしたんだ?」
秋人は少し動揺しながらも真面目な顔をして優香に聞いた。
「うん、今日ね、お父さんとお母さん帰ってこないんだ。っていうか、本当はもうちょっと前から二人して旅行に行ってたんだけどね、最近物騒だって聞いて家で一人でいるのちょっと不安になっちゃって」
優香は少し照れたようなしぐさをしながら秋人にそういった。
「ああ、確かにそう聞くな~、まあ確かに優香ちゃん可愛いから危ないかもなぁ」
「あはは、ありがとー。じゃ、いいの?」
「おう」
さわやかにそう笑って言った秋人に、優香は満面の笑みを浮かべて「ありがとう」といった。
秋人はそんな優香を見て一瞬ドキッとしたものの、中学生相手に何考えてんだと頭を振る。
そんな秋人を不審に思い「どうしたの?」と聞く優香だが、優香を女として意識したなんて言えるわけもなく「なんでもない」と言いながら優香の頭をなでた。
秋人の様子が少し気になった優香だが秋人に撫でられていると幸せな気分でいっぱいになり次第にそんなことどうでもいいかと思ってきたのだった。
秋人は優香の頭をなでながらも考える。
最近の優香はどこか色っぽかったり仕草が女らしかったりする。
体つきも他の人よりも成長が早めなのかウェストの部分もくびれていて胸も大きめで顔も見た感じ大人っぽく大学生にも見えなくもないという感じの外見になって言っているのだ。
やはりだんだんと≪女≫になってきているんだ、そう思ったらなんだか心臓が変に高鳴り思わず優香の胸に視線を移す。
そして視線が優香の胸に行っているのに気が付き、いかんいかんと思い落ち着かせるために一心に優香の頭をなでる。
「秋人お兄ちゃん、髪の毛くしゃくしゃになっちゃう」
「あ、ワリィ」
「ふふ、秋人お兄ちゃんって私の頭撫でるの好きだよね」
「お前も頭撫でられるの好きだよなー」
「秋人お兄ちゃんだけだよ。小さいころからお父さんとお母さんと秋人お兄ちゃん以外に頭撫でられるのは好きじゃなかったよ? 両親は今はもう頭撫でるなんてことしないし」
「そうなのか?」
「うん。秋人お兄ちゃんに頭撫でられるのが、好きなんだよ」
「……そ、そうか」
素直にそう述べてくる優香に思わずドギマギする秋人。
意識しないようにと考えると余計意識し、しかもこんな可愛いことを言われると更にそれに拍車をかける。
これ以上はまずいなと思ってちょうどもう時間は6時前くらいで夕飯時だったので「夕飯作から少し待ってろ」と優香に言ってそこから離れようとしたが「手伝うよ」とニコリと言われ、それに思わず硬直してしまっているうちに勝手知ったる他人の家という感じで優香はさっさと台所に向かってしまった。
大学生の一人暮らしで、部屋は比較的広めだがキッチンは狭く、これじゃあ逆効果じゃないかと思うもののせっかく手伝うというのにそれを邪推にするのはよくないと思いとりあえず深呼吸して落ち着いてから台所に行くことにした。
簡単なものということでチャーハンを作ることになり、狭い台所で料理をしたもののあまり集中できない秋人。
優香の胸が偶然当たったり、お尻に当たったりと狭い台所ではそういうのがあり、優香本人はたいして気にしていないのだが秋人も男なのでいくら妹のように思っていてもさすがに意識せざるをえない。
優香は胸くらいまであるロングの髪をポニーテールにしていて秋人はたまにうなじに目が行ったり女の子特有の甘い匂いに意識したりするものの何とか平静を保って料理を続ける。
たが、ふいに優香が野菜を落としそれを拾うためにおたがいしゃがみこんだのだが自分よりも下にある優香の胸が、そこまで胸元の空いた服でもないもののちらりと見えてしまい咄嗟に優香から離れる。
「秋人お兄ちゃん?」
「あ、ワリィ、大丈夫か?」
「うん、ごめんね野菜落しちゃって」
「洗えば大丈夫だから気にすんな」
優香は秋人の不可解な行動を少し訝しむもののいつもの爽やかな笑顔の秋人を見てすぐに気にしないことにした。
夕飯のあと優香の着替えを取りに行くために一緒に優香の家まで行き着替えを取ってからまた秋人の家に戻った。
そのあとは普通にテレビを見たり談笑したりでへんに意識することもなく済んだことに秋人は心底安心した。
そして9時ごろに秋人の部屋で優香はシャワーに入り秋人もそのあとに入った。
「優香、さっき髪乾かせって言っただろ?」
「だって私髪多いから髪乾かすの疲れるんだよ、自然乾燥で大丈夫だよー」
ふわふわと笑いながらそういう優香に秋人は呆れて洗面所からドライヤーを持ってきてから優香の髪を乾かすことにした。
秋人がベッドの上に座り優香はベッドの下に座って髪を乾かしていた。
「せっかく綺麗な髪してるんだから、あんまり傷めないようにしろよ?」
「うーん、あつっ」
話しながら乾かしていたら頭にドライヤーを近づけすぎたようで少し離れていった優香。
「あ、悪い。大丈夫か?」
「うん、平気」
ニコリと笑った優香に内心ほっと胸をなでおろした秋人。
「そろそろ髪乾いたか?」
「うん、秋人お兄ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして。さて、もう寝るか」
「ん? うんそうだね」
秋人の言った言葉に優香は部屋にある時計に目を向けてもう10時半になっているのに気が付いた。
もともと夜更かしはしなく普段から早寝早起きを基本的に習慣づけるようにしている優香は特に反論することなく頷いた。
「優香ちゃんはベッドで寝ていいからな」
「え? 秋人お兄ちゃんは?」
「俺はソファで大丈夫だから」
「でも、悪いよ。私別に寝るところなんてどこでもいいから秋人お兄ちゃんがベッドで寝なよ」
「男の俺がベッドに寝て、女の子の優香ちゃんをソファに寝かせられるわけないだろ?」
「私がいきなり押しかけたんだし、家主である秋人お兄ちゃんがベッドで寝るべきだよ」
「あのなぁ、別にいいんだって、女の子なんだからこういうときは素直に甘える!」
押し問答が続き秋人の言葉に優香は不機嫌そうな顔をするもののすぐにいいことを思いついたとでもいうように目を輝かせた。
「いい方法があるよ!」
「いい方法?」
「うん、私と秋人お兄ちゃん、一緒にベッドで寝ればいいんだよ。秋人お兄ちゃんのベッドセミダブルだから二人で寝ても大丈夫だよ!」
名案でしょ? とでも言いたげにそういう優香。
その発言に思わず硬直する秋人。
食事の準備の後でいつも通りに戻ったから忘れていたものの優香はもう十分女という感じになってきていて、いくら6歳離れているとは言えど秋人だって男だから一緒に寝るなんて危なすぎると思い優香に説教をしようとする秋人。
だが、優香はそんな秋人の様子は気にせず秋人をベッドに引っ張り一緒に布団をかぶってしまった。
「ゆ、優香ちゃん!」
「おやすみなさい、秋人お兄ちゃん」
電気を豆電球だけにしてそのまま寝ようとする優香の手を掴み阻止する秋人。
「優香ちゃん」
「なーに?」
眠いのか半分近く瞼を下し眠そうな目をしながら不思議そうに秋人に問う優香。
「あのな優香ちゃん、俺は男だ、そしてお前は女なんだ。わかるか?」
真剣な顔と声色に瞼を押し上げて秋人を見る優香。
「……わかんない」
そのまましばらく見つめあっていたが優香は不意に体ごと顔をそらして呟く様に言った。
「優香ちゃん」
秋人はそんな優香に強くもなく弱くもない口調で諭すように優しく名前を呼んだ。
そのまま無言の状態が続いた。
お互いが起きていることはお互い何となく感じ取っていて眠る気配はない。
「秋人お兄ちゃんは、私と寝るのが嫌なの?」
体はそむけたままだが顔だけを軽く秋人に向けながらそう問う優香の目はわずかに潤み、顔ももう少しで泣きそうなのを我慢しているような悲痛な表情だった。
秋人はそんな優香の様子に一瞬たじろぐがすぐにまた優香の目を見て話す体制をとる。
「違うよ優香ちゃん、俺は別に優香ちゃんと寝るのが嫌なわけじゃない。でも優香ちゃんももう子供じゃないんだ、男と一緒に寝るなんて言うのはやっぱり駄目だ」
優香は秋人にはっきりと言われ我慢していた涙が頬を伝った。
そして体を秋人の方へと向けてギュッと秋人に抱き着いた。
そのまま秋人は優香の背中をなでて落ち着かせようとする。
「秋人、お兄ちゃん」
優香は落ち着いてきてからそっと深呼吸して顔を上げ秋人と目を合わせる。
「ん? なんだ、優香ちゃん」
「好き」
「え!」
「好きなの、秋人お兄ちゃんが」
「優香ちゃん?」
「本当はね、小さいころからずっとずっと好きだった。それでそのあとずっと秋人お兄ちゃんに会えなくなってさびしくって、でも、ほかの男の人なんか興味なくって、だから、中学校に上がったころ、秋人お兄ちゃんにあえて、話しかけてもらって、すごく、嬉しかったの」
真剣な顔をして、少しずつ言葉を紡ぎだす優香。
「でも、私がいくら秋人お兄ちゃんのこと好きでも、秋人お兄ちゃんは、私の事、妹みたいに扱ってきて、悲しかった。最初は根妹としてなら一緒にいられるならもうそれでいいかなって思った。でもね、やっぱりつらかったの。妹としてでもいい、それでも一緒にいたいって、そう願ったのは私だけど、でも、そばにいると私の事女として、好きになってほしいって、恋愛感情持ってほしいって、そう思ったの」
だんだんと声が小さくなっていき顔も泣きそうにゆがみ涙も流れた。
秋人は不本意ながらもそんな優香が綺麗だと思いつつ自分はいったい優香のことをどう思っているんだと考えた。
「ごめ、なさい、迷惑だよね。忘れていいから、お願いだから、嫌いにならないで! っ」
涙腺が決壊したかのように次々と涙があふれ、それを必死に拭いながらも一生懸命言葉を紡ぐ優香。
そんな優香に秋人は思わず優香の両手をどけそのまま優香の唇に自分の唇を合わせた。
「! ふぅ、んん」
驚いたように硬直しその勢いで涙は止まった優香だが現状についていけないまま頭に手をまわされそのまま角度を変えられたりして頭の中はパニックになっている。
そうしてそっと唇が離れたころには優香の顔は真っ赤に染まり生理的な涙が瞳にたまっていた。
「秋人、お兄ちゃん?」
不安げな瞳で聞いてくる優香に秋人は安心させるように微笑む。
「ごめんな優香」
「え?」
その言葉を言った秋人に優香は絶望の淵にでも立ったかのような気分になる。
その時にいつもと違う呼び方をされていることに気付かずに。
それも仕方がないだろう、告白した後に謝罪の言葉を言われるというのはつまり断られるということになるのだから。
秋人はそんな優香の様子に安心させるようにそっと頭をなでてからそっと言葉を紡ぐ。
「優香の気持ちに気付けなくてごめん。俺って、結構鈍かったんだな」
「あき、と、おにい、ちゃん」
優香は愛しむような瞳を向けられ優しく頭をなでられどうすればいいのか分からなくなって言った。
「好きだよ、優香の事」
「妹として?」
優香の言葉にそっと首を振り否定の意を示す。
「違うよ、優香の事、女として好きなんだ」
「え!?」
勢い余ってがばっと布団化が起き上がる優香。
そんな優香に合わせて秋人も起き上がり優香と向き合う形をとる。
「確かに、最初のころは優香のこと妹みたいで可愛いなって思ってたんだ。けどな実をいうと最近は優香の事女って意識し始めてたみたいだ……最初は、優香が女らしくなっている証拠だなって思って見守ってたんだけどな別にはっきり言ってほかの女じゃ優香みたいに愛しいとか思ったりドキドキしたりしないんだよ。優香に告白されてから気づくなんて、俺って情けないな」
苦笑しながらそういう秋人に優香は呆然とする。
「本当に? 私の事、その……女として、好き?」
「ああ、好きだ」
はっきりとそういった秋人に優香は恥ずかしくなって顔を俯ける。
「優香、顔、あげて」
優香の肩にそっと手を置いてそう言う秋人だが優香としてはもう恥ずかしくてどうすればいいのかとか告白にオーケーをもらえるなんて予想外すぎてもう頭の中がごちゃごちゃになっているのだ。
好きな人物の顔をこんな状況で見たらまともに思考なんて働かない。
そう思い優香はフルフルと首を振るものの秋人に顎に手を添えられ半ば強引に顔を上げさせられ目を合わせられる。
「秋人お兄ちゃん、恥ずかしいっ」
そういって秋人から逃れるように秋人の胸を押すもののそんな優香の仕草にひどく愛しさがあふれすぎて秋人も胸がどんどん苦しくなってくるもののこのまま素直に放すという選択肢は全くなく、そのまま優香の腕を掴んで抵抗できないうちに自分の腕の中に閉じ込めるようにして優香を抱きしめる。
「好きだ、優香」
抱きしめられても抵抗するようにずっと胸を押し返すようにしていた優香だが秋人の言葉にビクッと反応し硬直する。
抵抗してももう逃げられないと思いそのまま力を抜いた優香。
それを好機と思う秋人は優香の頬に手を添えて優香と目を合わせる。
優香は真っ赤に染まった頬に涙目の瞳に上目使いで秋人はそれを見て我慢できなくなりそのまま優香の唇に強引に唇を合わせる。
優香は抵抗せずにそれを受け入れそのまま秋人の背中に自分の手をまわして抱き返す。
しばらくそのままでいてそうしてからそっと唇を離す秋人。
「優香……」
「なに?」
「……して、いいか?」
真剣な顔をして言う秋人に優香は構えたものの秋人の行ったことに思わずぽかんとしてしまいその意味を理解したら秋人の体を押しのけて秋人から離れる。
「え、ちょ、そこまで全力で嫌がらなくても」
多少引かれることは覚悟で言った秋人だったがまさかここまで全身て拒否を表されるとはと悲しみに打ちひしがれる。
「あ、秋人お兄ちゃんの、変態!」
恥ずかしがるように言う優香に一瞬心の傷は気にならなくなるもののすぐに追い打ちをかけるような言葉を言われまたすぐに落ち込む。
その落ち込んだ様に少しやりすぎたかと優香は思い慰めの言葉をかけるために秋人にそっと近づく。
「あの、えっと……秋人お兄ちゃんなら、変態でも、いい……かな?」
顔をそむけながらそう言った優香に秋人はたまらなくなりそのまま優香を抱きしめた。
そして秋人はそっと優香を布団に横たえ、優香にやさしく微笑みかけた。
できればアドバイスなど頂けたら嬉しいです。
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