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我がダルタニア公国同志

「あらルミア久しぶり!」

「久しぶりエヴリン」

「ん?こちらの殿方は誰かしら?」

「彼は野口穣、八〇〇年前くらいに結婚致しましたの」


 この紫色のロングヘアの白人女性はエヴリン・スカーレット”Evelyn Scarlett”様はルミアの大学時代の旧友である。八〇〇年か。普通の人間一人だと最新医療でも精々しわだらけの老人になってしまうが。あの日以来二〇代を維持したまま。『民間軍事企業ファフニール』の核攻撃から一〇〇〇年近く経過していた。その間延命手術は何も施していない。短くても後約三万年は生き続けるらしい。数百年でようやく自然豊かな地球が戻った。

「お初にお目にかかります、私は野口穣と申します」

「日本人で間違いないかしら?」

「はい、その通りでございます。それが何か?」

「ダルタニア公国にも沢山の日本人が転生してきてたからね」

「ダルタニア...私は地理はあまり得意ではないのですがこの世界の教科書には載っていませんでした。まさか本当に異世界が有るなんて思ってもみませんでした」

「私達だって日本と言う国が有るなんて知らなかったわ、ただ...」

「ただ?」

「日本にそっくりな人種の国はあったわ」

「と、いう事は使ってる文字も同じなのですか?」

「言葉は違うけど考え方とかはそっくりそのままね」

 パラレルワールドの日本人とでも言うべきか。それよりも吸血鬼の肉体は人間より強度もあって腐敗の速度も遅い。だが、あまり変わらないのでは?と言う考えもある。食事の内容も代り映えが無い。正直飽きてきている。しかし中華料理は確かにニンニクが使われていると食べ辛いはなっている。けど味に問題が無ければ普通に胃袋に収めることが出来るし、腹を壊すわけでもない。だが激辛系は受け付けない種族が変わって一層苦手になった。

「葛城グループまたヒット商品を出したそうだな」

「内は大企業だけど最近業績が悪化しているわね、社員の教育どうなってるの?」

「面接の時は優秀だけどいざ仕事になると、言い方悪いけど「役立たず」になってるんだ。それは大学を出ているとかというのは関係ないよ」

「高学歴だから優秀って訳でもないのね」

「基本的には優秀なんだけど、絶対という訳でもないみたいだ」

「そういえば最近葛城グループの一人の幹部が独立して自分の会社持ったそうじゃない、確か川崎茜かわさきあかねだったかしら?」

「さっきさあ、『川崎薬局』行ったけどそんな大きくは無かった。けどあそこには色んな薬品や道具があるらしいし、それに葛城グループにも何回顔を出してるみたいだし、それに...」

「それにどうしたの?」

「変わった従業員が居るんだ」

「どんなふうに変わってるの?」

「大根そのものなんだ、妖怪だといったらバズーカ砲撃ちこまれたよ」

「......ん?」

 まぁそなるよなぁ『大根』が一生懸命働いてるんだからな。理解できなくて当然か。『川崎薬局』の経営規模は独立したばかりで小さいとはいえ油断はできない。その内『ブリュンヒルデ』を越える大企業になるに違いない。そうだ新商品の開発葛城グループと合同でやるらしい。ライバル社との共同はあんまり好きではないが、贅沢を言ってられないだろうし、何より学ぶべきものが有るかもしれないしな。

「ところでだけど、来週...その葛城グループと新商品の共同開発なんだけどどうする?」

「その話乗るわ!」

「マジで言ってんのか?」

「えぇ、大マジよ、今の経営状況で好き嫌い言ってられないもの」

 確かに経営は悪化してるけど。今すぐ潰れるって程ではない。いつかは破産するってだけであって今は問題はない。しかし早めに対策しないとまずいってことは分かる。他者との共同もそういう意味では悪くないかもしれない。今一瞬めまいが...。

「大丈夫?働き過ぎよ」

「会社が忙しいときに休んでられるか!」

「こっちとしてもいざって時に倒れられたら迷惑なの。一週間休んで」

「何だと?」

「社長命令です、今すぐ休んでください」

「そんなことして大丈夫なのか?」

「私一人で何とかして見せるだから今は会社に来なくていいわ」

「分かりました、ではおつかれさまでした」

 確かにそのとおりかもしれないそして建物の出入り口に差し掛かった時、水色のショートカットヘアの女性と数十分前の『大根』を袋叩きにし、右手でそいつを引きずっていた。かなり怒っている様子だ。この人は昨日お会いした川崎茜様だ。何か粗相そそうをしたっけか?考えを巡らすが思い当たる事が無かった。

「川崎様今日は何の用件で?」

「従業員の暴力苦沙汰について謝罪に参りました」

「いや、そんな大したことでは...」

「ルミア様に会うこと出来ますか?」

「少々お待ちください」

「本当に申し訳ございません」

「お気持ちだけで結構です」

 帰宅する前の一仕事だ。少し重い身体に活を入れ。ルミアに繋いだ。負担を増やすようで申し訳ないど。どうしても謝罪をしたい人が居るとのことで。忙しいなか時間を割いてくれた。念のため踵を返し川崎様に同行させてもらった。

「この度は内の従業員が御社の社員に暴力沙汰を起こしてしまい申し訳ございません」

「従業員...『大根』生き物じゃないですよね?」

「えぇまぁそうですけど...」

「......分かりました。大事にはするつもりはないのでお帰り下さい」

「許して下さるんですか?」

「許すも何も理解が追いつかないので、わざわざ御足労ごそくろうありがとうございます」

「いえいえ、今後とも宜しくお願いします」

 何とか無事に事が済んで良かった。それにして食材に攻撃されるのはぜんだいみもんである。この世界のどこかに野菜の国でもあるのか?そして、目の前の『大根の輪切りは』床に手をついて「ごめんなさい!申し訳ございませんでした」と土下座した。『妖怪』が禁句だとは思わなかった。だが今の光景を見ていると。ざまぁみろが正直な気持ちである。







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