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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

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第97話:ハロウィンと添加物の魔女

 一〇月三一日。

 アメリカ中が狂乱する夜、ハロウィンがやってきた。

 ここボストンでも、家々はクモの巣やカボチャで飾られ、街全体がテーマパーク化している。

「ママ、見て! 私のコスチューム!」

 エマが着替えてリビングに現れた。

 彼女が選んだ仮装は、プリンセスでも魔女でもなく、**「マリー・キュリー(放射能研究の母)」**だった。

 白衣を着て、手には実験フラスコ(中身は緑色のスムージー)を持っている。

「……渋いチョイスね。でも知性的でいいわ」

 私は褒めた。問題は仮装ではない。この後のイベントだ。

「Trick or Treat!(お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!)」

 エマは近所の子供たちと連れ立って、街へと繰り出した。

 そして一時間後。

 彼女が持ち帰ってきたバケツ(ジャック・オー・ランタン型)の中には、私の天敵が山のように詰まっていた。

 ・蛍光オレンジ色のキャンディコーン

 ・歯にくっつくキャラメル

 ・青色一号で着色されたグミ

「うわぁ……」

 私はバケツの中身をテーブルに広げ、ピンセットでつまみ上げた。

「これは『お菓子』じゃないわ。砂糖と異性化糖(HFCS)と合成着色料の標本よ」

 エマが悲しそうな顔をする。

「ぜんぶ、捨てちゃうの?」

「捨てるのはエコじゃないわ。……だから、**『取引トレード』**をしましょう」

 私はキッチンから、特製の箱を取り出した。

 中身は、私が夜なべして作った「手作りロカボ・クッキー(カボチャ味)」と「高カカオチョコレート」だ。

「エマが貰ってきたその毒々しいキャンディ1個につき、ママの特製クッキー2個と交換するわ。レートは1:2。どう?」

 エマは考えた。

 質より量か、量より質か。

 そして、ママのクッキーの美味しさを知っている彼女は頷いた。

「わかった! トレード成立!」

 こうして、大量のジャンク菓子は私の管理下(廃棄または科学実験用)に置かれ、エマは健康的なおやつでお腹を満たした。

 ちなみに、回収したキャンディコーンをお湯に溶かして「着色料の分離実験」をしたところ、水がドブのような色になり、エマは「……もう食べたくない」と青ざめていた。

 食育完了である。

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