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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

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90/102

第90話:通知表と、親の通信簿

 一学期が終わり、初めての**「通知表あゆみ」**が渡された。

 ドキドキしながら開く。

 国語:◎(大変よい)

 算数:◎(大変よい)

 生活:◎(大変よい)

 学業成績は文句なしのオールAだ。

 しかし、右側の「行動の記録」欄を見て、エマの顔が曇った。

 協調性:△(もう少し)

 所見:自分の考えをしっかり持っていますが、お友達と足並みを揃えるのが苦手なようです。もっと周りに合わせましょう。

「……パパ、ママ。エマ、『△』だって」

 エマの目から涙がこぼれた。

「エマ、わるいこなの? みんなとちがうから、ダメなの?」

 学校という狭い世界では、「協調性がない」ことは致命的な欠陥のように扱われる。

 彼女の自己肯定感が、音を立てて削られようとしていた。

 蓮が通知表を取り上げ、じっと見つめた。

 そして、おもむろに赤ペンを取り出し、通知表に書き込みを入れた。

「パ、パパ!? なにするの!」

修正デバッグだ」

 蓮は**『協調性:△』**の横に、太字でこう書き足した。

 『= 独創性・リーダーシップ:SSS(神)』

「エマ、聞いてくれ。社会に出たらね、『みんなと同じことができる人』はAIに代替されるんだ」

 蓮はエマの肩を掴んだ。

「『周りに合わせられない』というのは、裏を返せば『誰も見たことのない景色が見えている』ということだ。スティーブ・ジョブズもイーロン・マスクも、たぶん小学校の通知表は『協調性△』だったはずだよ」

「ほんと?」

「ああ。だから、この『△』は恥じるものじゃない。パパとママにとっては、これは『勲章』だ」

 蓮は通知表をエマに返した。

「学校の先生の評価は、あくまで『教室の管理のしやすさ』の指標だ。僕たちの評価軸(KPI)とは違う。エマはエマのままで、突き抜ければいい」

「……うん!」

 エマが涙を拭いて笑った。

 私たちは通知表をコピーし、原本は学校に返却した(もちろん赤字は消して)。

 でも、私たちの心の中には、あの**『独創性:SSS』**という評価が刻まれた。

 画一的な枠からはみ出してしまうなら、枠の方を壊せばいい。

 最強の遺伝子は、小さな通知表には収まりきらないのだ。

(続く)

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