表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第1章:深夜のゴミ捨て場と、瀕死の原石(全10話)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/102

第9話:実験体へのオファー

「一ノ瀬さん」

 私は決意を固め、彼に向き直った。

 声をワントーン落とし、交渉プレゼンモードに入る。

「は、はい」

 私はテーブルの上に、常備しているプロテインのボトルと、サプリメントケースをドン、と置いた。

 そして、スマホのカレンダーアプリを開いて見せる。

「私と契約しましょう」

「……えっ?」

「私は美容と健康の専門家。あなたは過労死寸前の社畜。利害は一致してるわ」

「えっと、どういう……?」

「私があなたの健康管理マネジメントをする。食事、睡眠、そしてスキンケア。すべて私の指示に従ってもらうわ。あなたの身体という『システム』の管理者権限アドミニストレーターを、私に預けなさい」

 一ノ瀬は目を丸くしている。

 狂気じみた提案だと思っているだろう。当然だ。隣人からの突然の申し出。普通なら警察を呼ばれる案件だ。

 だが、私は畳み掛ける。

「その代わり、あなたは一ヶ月後、見違えるような健康体と美貌を手に入れる。朝はスッキリ起きられるし、日中の集中力も上がる。デスマーチも余裕で乗り切れるようになるわ」

「……本当、ですか?」

「私の肌を見なさい。これがエビデンスよ」

 私は自分の頬を指差した。

 深夜二時半でも一点の曇りもない、発光するような陶器肌。

 説得力としては十分すぎるはずだ。

「悪い話じゃないでしょう? あなたはただ、私が用意した『エサ』を食べ、私が指示した時間に寝ればいいだけ。考える必要はないわ」

「考える必要がない……」

 その言葉が、疲弊しきった彼の心に深く刺さったのが分かった。

 今の彼にとって、最大の苦痛は「決断」することだ。

 何を食べるか、いつ寝るか、どうやって健康になるか。それを考える気力すらない。

 そこに現れた、絶対的な自信を持つ管理者。

 それは、地獄に垂らされた蜘蛛の糸。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ