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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

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第87話:公立か、私立か、インターか

 秋。いよいよ進路の最終決定の時期が来た。

 ランドセルは買った(仮押さえした)ものの、まだ迷いはあった。

 選択肢は三つ。

 1.公立小学校:多様性があるが、画一的な教育。「出る杭」は打たれるリスク。

 2.私立小学校:設備は良いが、お受験(規律)の世界。通学時間が長い。

 3.インターナショナルスクール(初等部):自由で探究的だが、学費は大学並み。日本語力の低下リスク。

 夜、リビングのテーブルにはパンフレットが山積みになっていた。

「エマの特性(ギフテッド傾向)を考えると、公立の『みんな一緒に前ならえ』は苦痛かもしれない」

 蓮が分析する。

「かといって、日本の私立の『お行儀の良さ』も彼女には窮屈だ」

 私は、エマがドラムを叩いている時の顔を思い出した。

 あの子は、正解のない問いに自分なりのリズムで挑んでいる時が一番輝いている。

「……やっぱり、インターナショナルスクール継続かしら」

 私が言うと、蓮は電卓を叩いた。

「六年間で一五〇〇万円以上のコストだ。老後資金計画を根本から見直す必要がある」

「でも、コストカットのために娘の才能をカットするわけにはいかないわ」

 その時、エマが起きてきた。水を飲みに来たようだ。

 私たちは聞いてみた。

「エマ。小学校、どこに行きたい?」

 エマは少し考えて、こう言った。

「あのね、いまのスクールはだいすき。でもね、ランドセルもしょいたいな。だってパパとかってくれたもん」

 彼女は、パープルのランドセルを愛おしそうに撫でた。

 子供らしい、純粋な願い。

 日本の文化も体験したいし、自由な学びも欲しい。

 蓮が顔を上げた。

「……『二刀流ハイブリッド』はどうだろう」

「え?」

「平日はインターに通いつつ、放課後や週末は地域のコミュニティや日本の習い事で補完する。あるいは、最初は日本の小学校に入れて、基礎学力と日本語を固めてから、高学年でインターに移るというルートもある」

 私たちはハッとした。

 0か100かで考えていた。

 でも、教育はもっと柔軟でいいはずだ。

「……まずは日本の小学校(公立)に行かせてみましょう」

 私が提案した。

「あのランドセルを背負わせてあげたい。それに、日本の『掃除の時間』や『給食当番』も、社会性を学ぶ上では貴重な経験よ。もし合わなければ、その時こそインターに切り替えればいい(ピボットすればいい)」

「そうだね。選択肢を一つに絞る必要はない。僕たちがバックアッププランを持っていれば」

 結論が出た。

 私たちは**「公立小学校+家庭での英才教育(英語・数学・ドラム)」**というハイブリッド戦略を選んだ。

 あの派手なランドセルが、無駄にならなくてよかった。

 こうして、エマの就学先は決定した。

 しかし、入学早々、彼女はまたしても「事件」を起こすことになる。

 日本の学校の「常識」という壁に、最強の遺伝子が正面衝突するのだ。

(続く)

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