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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

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第81話:我が家の選択

 帰りのカフェ。

 私たちは重たい空気を払拭するように、アイスコーヒーを飲んだ。

「危なかったわ。ブランド名に踊らされて、エマを『量産型ロボット』にするところだった」

「同感だ。あそこの子供たち、目が死んでたよ。エマのあの天真爛漫な輝き(バグ)を修正パッチで消されるところだった」

 私たちは改めて話し合った。

 私たちが定義する「ハイスペック」とは何か?

 有名大学に入ること? 一流企業に入ること?

 違う。

 これからのAI時代に必要なのは、偏差値(認知能力)じゃない。

 **「非認知能力」**だ。

 やり抜く力、自制心、そして何より「好奇心」と「自己肯定感」。

「私たちはエマに、正解のない問いに立ち向かえる人間になってほしい。そのためには……」

 蓮がタブレットで新しいページを開いた。

「ここはどうかな? 『インターナショナル・モンテッソーリ・スクール』」

 教育方針:『Help me to do it myself(ひとりでできるように手伝って)』

 特徴:縦割り保育、泥んこ遊び推奨、給食は完全オーガニック&グルテンフリー対応。

「……!」

 私の目が輝いた。

「オーガニック給食! それにモンテッソーリ教育は、GoogleやAmazonの創業者も受けた論理的思考を育むメソッドよ!」

「しかも、英語環境だ。グローバルな視野も身につく。ただし……」

 蓮が苦笑いした。

「学費は高いし、親の参加行事も多い。お弁当の日もある。僕たちの負担コストは倍増だ」

 私はニヤリと笑った。

「望むところよ。投資額が高ければ高いほど、リターンへの執着も湧くってものよ」

「だね。それに、エマが泥だらけになって笑ってる姿の方が、想像できる」

 決定だ。

 私たちはブランド幼稚園という「既製服」を捨て、エマに合わせた「オーダーメイド」の教育環境を選んだ。

 数ヶ月後。

 エマは面接で、先生にこう聞かれた。

「エマちゃんは、何をするのが好きですか?」

 エマは、練習した定型文ではなく、目をキラキラさせてこう答えた。

「エマね、ダンゴムシあつめるの! あとね、パパのつくるプロテインパンケーキがだいしゅき!」

 面接官の先生(外国人)は爆笑し、こう言った。

「Perfect! You actuary have a great passion!(完璧! 君には素晴らしい情熱があるね!)」

 合格通知が届いた日。

 私たちは紺色のスーツをクリーニングに出し、代わりに泥汚れに強いスニーカーを新調した。

 最強の遺伝子は、野に放たれることになったのだ。

(続く)

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