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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

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第80話:説明会の違和感

 週末。私たちは「聖・マリアンナ幼稚園」の説明会に参加した。

 そこは、異様な空間だった。

 会場を埋め尽くすのは、量産型のように同じ紺色のスーツを着た両親たち。

 そして、三歳児とは思えないほど静かに座っている子供たち。

 走り回る子は一人もいない。親の顔色を伺い、ロボットのように背筋を伸ばしている。

(……何、このコルチゾール(ストレスホルモン)濃度が高そうな空間は)

 私の野生の勘が警報を鳴らした。

 園長先生が登場し、高らかに理念を語り始めた。

「当園では、規律と忍耐を重んじます。お行儀よく、皆と同じことができる。それが立派な大人の第一歩です」

 皆と同じ。忍耐。

 蓮が隣で小さく貧乏ゆすりを始めた。彼も違和感を感じているのだ。

 事件は、体験保育の時間に起きた。

 おやつの時間。配られたのは、可愛らしいクッキーだった。

 一人の男の子が、クッキーを一口食べ、食べこぼしを落としてしまった。

「ああっ! ダメでしょう!」

 母親がヒステリックに小声で叫び、子供の手を叩いた。

「先生が見てるでしょ! 汚い食べ方しないの!」

 子供が泣き出しそうになるのを、必死で我慢している。

 その光景を見て、私は無意識に立ち上がりそうになった。

 三歳児が食べこぼすのは、指先の巧緻性が未発達だから当たり前だ。それを叱責して萎縮させるなんて、自己肯定感を下げる愚行だ。

 さらに、私は見てしまった。

 配られたクッキーの成分表を(職業病でついチェックしてしまったのだ)。

 ショートニング、着色料(赤色102号)、膨張剤……

(……規律を求めるくせに、与えるのは脳に悪い添加物まみれの餌?)

 矛盾している。

 ここでは「子供の健康や個性」よりも、「大人の都合(管理しやすさ)」が優先されている。

「……蓮」

「……ああ、帰ろう美玲」

 蓮も同じ顔をしていた。

 私たちは説明会の途中だったが、静かに席を立った。

 後ろ指を指されようが構わない。ここは、私たちがエマを預けるべき場所じゃない。

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