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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

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第71話:時短勤務のジレンマ

復職から三ヶ月。エマの体調もようやく安定してきた頃。

 私は新たなストレスに晒されていた。

 **「時短勤務(一六時三〇分退社)」**に対する、職場の視線だ。

 一六時二五分。

 私が帰りの支度を始めると、隣の席の独身社員が大きな独り言を呟いた。

「はぁ〜、いいなぁ。一六時半上がり。俺なんてこれから残業確定なのに」

「……」

 悪気はないのかもしれない。でも、その言葉は鋭利なナイフのように胸に刺さった。

 私は遊んで帰るわけじゃない。

 ここからダッシュで保育園へ行き、スーパーで買い物をし、夕食を作り、お風呂に入れ、寝かしつけるという「第二ラウンド」が始まるのだ。

 でも、会社から見れば「働いていない時間」であることに変わりはない。

 私は「すみません、お先に失礼します」と小さくなって退社するのが日課になっていた。

 ある夜、私は蓮に弱音を吐いた。

「私、会社のお荷物なのかな。フルタイムの人に申し訳なくて……」

「美玲、それは違う」

 蓮はキッパリと否定した。

「君はこの三ヶ月、目標達成率一〇〇%を維持しているよね? 勤務時間は二割減ったのに、成果は落ちていない。つまり、君の『時間あたり生産性』は以前の1・2五倍に向上しているんだ」

 彼は電卓を叩いて見せた。

「ダラダラ残業している社員より、君の方がよっぽど優秀だ。謝る必要なんてない。堂々としていればいい」

 翌日。

 例の同僚がまた「いいですね、早くて」と皮肉を言ってきた。

 私はニッコリ笑って、デスクに分厚い企画書を叩き置いた。

「これ、来月の新商品案です。一週間前倒しで仕上げておきました」

「えっ!?」

「時短勤務ですので、密度を上げて仕事をさせていただいています。何か不備があれば、明日の九時に即対応しますので」

 私は颯爽とバッグを肩にかけた。

「お先に失礼します。……あ、残業頑張ってくださいね。エナドリ飲みすぎると肝臓に悪いですよ?」

 同僚がポカンとしているのを背に、私はオフィスを出た。

 背筋が伸びた。

 私は時短社員だけど、半人前じゃない。プロフェッショナルだ。

 夕焼けの空が、いつもより綺麗に見えた。

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