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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

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第66話:久々のデート(お家編)

 週末。

 エマがお昼寝タイムに入った隙を見計らって、私たちは「お家デート」を決行することにした。

「外出はまだハードルが高いから、今日はUberEatsで贅沢しよう」

「賛成。私、ずっと我慢してたものがあるの」

 私がオーダーしたのは、**「特上寿司」**だ。

 妊娠中は水銀量や食中毒を気にして生魚を避けていた。約一年ぶりの解禁である。

 ピンポーン。

 玄関先に届いた寿司桶。

 リビングのローテーブルに広げると、そこはもう高級料亭だ。

「……大トロ。ウニ。イクラ……」

 私は宝石を見るような目でネタを見つめた。

「乾杯しよう。エマの誕生と、美玲の復帰を祝って」

 ノンアルコールビールで乾杯する。

 口に入れた瞬間、トロが溶けた。

 脳内でドーパミンが噴出する。

「んん〜っ! 美味しい〜!」

「よかったね。いい顔してる」

 蓮も笑顔で寿司をつまむ。

 エマが生まれてから、食事といえば「交代で急いで掻き込む作業」だった。

 こうして二人で向かい合って、味を噛み締めながら食事をするのは、いつぶりだろう。

「ねえ、蓮」

「ん?」

「私、完璧なママになろうとしてた。でも、無理だった」

「うん」

「これからは、適度に手を抜くわ。ミルクも使うし、たまにはお惣菜も買う。あなたが倒れたら元も子もないし、私が笑ってないとエマも不安になるもの」

 蓮は頷き、私の手に自分の手を重ねた。

「それがいい。僕たちが目指すのは『完璧な育児』じゃなくて『持続可能な(サステナブル)育児』だからね」

 サステナブル。

 その言葉が腑に落ちた。

 そうだ。育児は短距離走じゃない。一八年以上続くマラソンだ。

 給水ポイント(手抜き)を作らなければ、完走なんてできない。

「ふえぇ……」

 ベビーベッドから、エマの泣き声が聞こえてきた。

 お昼寝終了の合図だ。

 以前なら「また泣いた」と絶望していただろう。

 でも今は違う。

「はいはい、お姫様のお目覚めね」

「エネルギーチャージ完了したし、行きますか」

 私たちは顔を見合わせて笑い、寿司の最後の一貫を口に放り込んで立ち上がった。

 チーム・一ノ瀬、再始動だ。

(続く)

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