表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/102

第58話:バースプラン崩壊

 妊娠三九週目の深夜二時。

 私は完璧な「入院準備セット」を枕元に置き、優雅に眠っていた。

 予定日は三日後。

 計画無痛分娩の予約は完璧だ。陣痛が来る前に入院し、麻酔で痛みをコントロールしながら、クラシック音楽を聴いて優雅に出産する。これが私の描いたシナリオ(バースプラン)だった。

 ――パチン。

 体内で、水風船が割れるような音がした。

 直後、温かい液体が自分の意志とは無関係に溢れ出した。

「……え?」

 飛び起きる。シーツが濡れている。

 おねしょではない。破水だ。

 なぜ? 陣痛もまだなのに? 「前期破水」の確率は全出産の数%のはず……!

「れ、蓮! 起きて! エマちゃんがフライングした!」

 蓮は〇・五秒で覚醒した。

 「破水!? 量は? 羊水の色は?」

 「クリアよ! でも止まらない!」

 蓮は冷静に病院へ電話し、バスタオルを私に巻きつけ、陣痛タクシーを手配した。彼の動きに無駄はない。

 ここまではよかった。

 問題は、病院に着いてからだ。

 診察台の上。当直の助産師さんが無慈悲な宣告をした。

「九条さん、子宮口もう五センチ開いてますね。進みが早すぎます。今から麻酔の処置をしてると間に合わないかも……あと、麻酔科の先生が今別の緊急手術に入っちゃってて」

 私の思考がフリーズした。

「……は? 間に合わない? じゃあ、どうするんですか?」

「このまま自然分娩でいきましょう! 大丈夫、安産コースですよ!」

 詐欺だ。

 私は心の中で絶叫した。

 無痛分娩という文明の利器(課金アイテム)に頼る気満々だった私のメンタルは、武器を持たずに戦場に放り出された新兵同然だった。

 そして、本当の地獄はそこから始まった。

 腰のあたりに、重戦車が激突してくるような鈍痛が襲ってきたのだ。

「ぎ……ぁ……っ!!」

 生理痛の一〇〇倍? 嘘だ。

 これは、骨盤を内側からハンマーで砕かれる痛みだ。

 私の完璧なバースプランは、羊水と共に流れ去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ