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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第6章: 『第2部(続編):最強の遺伝子育成論』

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第57話:性別判明と、名前論争

妊娠二四週目の検診帰り。

 私たちはカフェ(デカフェ専門店)で、エコー写真を前に緊急会議を開いていた。

「……ついてなかったわね」

「うん、ついてなかったね」

 医師の判定は「女の子」。

 私の美貌と、蓮の知性を受け継ぐ(予定の)プリンセスの誕生だ。

 議題は、最重要項目である「ネーミング(命名)」へ移った。

「私は『玲奈レナ』がいいと思うの」

 私はタブレットの画面を見せた。

「理由は三つ。

 1.『R』の音は海外でも発音しやすく、グローバルに通用する。

 2.私の『玲』の字を継承し、透き通るような美しさを意味する。

 3.画数が総格三一画で、才色兼備の最強数」

 完璧なロジックだ。

 しかし、蓮は少し難色を示した。

「うーん、響きは綺麗だけど……ちょっとクールすぎる気がするなぁ。僕はもっとこう、温かみのある名前がいいな」

「例えば?」

「『陽葵ひまり』とか、『心春こはる』とか」

 蓮が出してきたのは、昨今のランキング上位に入る「ゆるふわ系」の名前だった。

「却下よ。ひらがなや当て字は、将来就職活動のエントリーシートで不利になる可能性があるわ。それに、キラキラネームは親の知性を疑われるリスクが……」

「美玲、それは偏見だよ。名前に込めるのは『機能性』じゃなくて『祈り』でしょう?」

 蓮が珍しく反論した。

「僕は、この子に『太陽のように周りを照らす子』になってほしい。美しさや能力も大事だけど、愛される子になってほしいんだ」

 愛される子。

 その言葉に、私は口をつぐんだ。

 かつて、能力や外見のスペックばかりを追い求めて、孤独だった自分を思い出したからだ。

 蓮は、そんな私を愛してくれた。そして今、娘にもその愛を与えようとしている。

「……わかったわ。機能性だけじゃダメね」

 私たちは妥協点を探った。

 海外でも通じやすく、知的で、かつ愛に溢れた名前。

 

 一時間後。

 一つの案が浮上した。

「**『エマ(恵麻)』**はどう?」

 蓮が提案した。

「エマ……Emma。英語圏でも一般的ね。ドイツ語で『全宇宙』、ヘブライ語で『神は我らと共に』」

「漢字は『恵み』の恵に、麻のように真っ直ぐ育つ『麻』。画数もいいし、響きも優しい」

 私はエコー写真の中の、まだ豆粒のような娘に呼びかけてみた。

 エマ。

 不思議と、しっくりきた。

「……いいわね。採用よ」

「決定だね。エマちゃん」

 蓮が嬉しそうにエコー写真に指を触れた。

 こうして、最強の遺伝子の名前は決定した。

 あとは、無事にこの世に送り出すだけだ。

 ……しかし、私たちはまだ知らなかった。

 「出産」というイベントが、どんな計画も通じない、人生最大のカオスであることを。

(続く)

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