表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第5章:契約終了と、新しい関係の始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/102

第43話:プロジェクト完了の通達

その日の夜。

 私の部屋で、私たちは祝杯を挙げていた。

 グラスの中身は、オーガニックの赤ワイン(ポリフェノール豊富)。

「バグ修正完了、そしてプロジェクトの成功。おめでとう」

「ありがとうございます。全部、九条さんのおかげです」

 カチン、とグラスを合わせる。

 一ノ瀬は本当に嬉しそうにワインを飲んでいる。

 その横顔を見ながら、私は胸の奥に冷たい石が落ちたような感覚を覚えていた。

 カレンダーを見る。

 今日で、ちょうど一ヶ月。

 私たちが交わした「一ヶ月でイケメンにする」という契約の満了日だ。

「……一ノ瀬さん」

「はい?」

「今日で、約束の期間は終わりよ」

 一ノ瀬の手が止まった。

「あなたはもう、健康的な生活習慣を身につけた。食事の選び方も、睡眠の重要性も理解している。肌も髪も、完全に生まれ変わったわ」

 私は努めて事務的な口調で続けた。

「つまり、私の『管理』はもう不要ということ。このプロジェクトはコンプリート(完了)よ」

 部屋の空気が、シンと静まり返った。

 加湿器の音だけが響く。

「……それって、もうここには来ちゃいけないってことですか?」

 一ノ瀬の声が震えていた。

 その捨てられた子犬のような目を見ないように、私はワインを一気に飲み干した。

「契約終了とはそういうことよ。あなたはもう自立できる。いつまでも私に依存していたら、せっかく上がったテストステロンが下がるわよ」

 嘘だ。

 本当は、「ずっとここにいて」と言いたい。

 でも、言えない。

 私は「管理者」として彼に接してきた。恋愛感情で彼を縛り付けるのは、私の美学プライドが許さない。

 もし彼が、私という「矯正器具」が外れて清々するなら、それはそれで彼の幸せだ。

 そう自分に言い聞かせた。

「……わかりました」

 一ノ瀬は静かにグラスを置いた。

 その表情が、ふっと大人びたものに変わったのを、私は見逃していた。

「契約終了ですね。承知しました」

「え、ええ……」

「では、これからは『契約外』の話をさせてください」

 彼は立ち上がり、私の前に立った。

 その影が私を覆う。

 一ヶ月前とは違う、男の圧迫感。

「今週末、空けておいてください」

「え?」

「僕にプロデュースさせてほしいんです。九条さんの時間を」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ