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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第4章:バグ発生と、独占欲の暴走

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第31話:昨夜の失言と、幸せな味噌汁

翌朝。

 私の部屋のダイニングテーブルには、気まずい沈黙……ではなく、妙にフワフワした空気が流れていた。

「……九条さん、味噌汁、染みます」

「そう。よかったわね」

 一ノ瀬が、私が作った「具だくさんの豚汁(酒粕入り)」を、幸せそうな顔で啜っている。

 私はコーヒー(もちろんオーガニックのカフェインレス)を飲みながら、視線を逸らしていた。

 ――昨夜の失言が、頭の中でリフレインしている。

『他の女の匂いをつけて私の部屋に入らないで』

『あなたはまだ私の管理下にあるんだから』

(……何様よ、私)

 思い出して、顔から火が出そうだ。

 あれでは完全に、浮気を疑う嫉妬深い彼女ではないか。

 私たちはただの「契約関係」であり、隣人だ。彼が誰と飲みに行こうが、どんな香水の匂いをつけてこようが、私の知ったことではないはずなのに。

「あの、九条さん」

「……何?」

「昨日のことなんですけど……」

 一ノ瀬が箸を止め、真剣な顔で私を見た。

 心臓がドクリと跳ねる。

 「やっぱり重いです」とか「契約解除します」とか言われたらどうしよう。

「僕、決めました。これからは飲み会の誘いは一次会だけで帰りますし、なるべく女性の隣には座りません」

「……は?」

「九条さんが嫌がることはしたくないんで。僕の身体は、九条さんの作品ですから」

 彼は爽やかな笑顔で、とんでもないことを言い放った。

 私の作品だから、汚さない。

 その忠誠心は嬉しいが、その言葉の裏にある「あなただけを見ています」というニュアンスに、私の脳内CPUがオーバーヒートを起こしかけた。

「……べ、別にそこまでしろとは言ってないわよ。付き合いも仕事のうちだし」

「いえ、僕がそうしたいんです。九条さんのご飯を一番美味しく食べたいですから」

 彼は豚汁の最後の一滴まで飲み干し、手を合わせた。

「ごちそうさまでした。行ってきます!」

 元気よく出勤していく彼の背中を見送りながら、私は熱くなった頬を両手で包んだ。

 ……調子が狂う。

 ホルモンバランスが乱れているのかもしれない。今夜はローズのアロマを焚こう。そうしよう。

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