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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第3章:外見の革命と、独占欲の芽生え

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第30話:独占欲の正体

 日付が変わる頃、玄関のチャイムが鳴った。

 私は飛び起きるようにしてモニターを確認し、ドアを開けた。

「……ただいま戻りました、九条さん」

 そこには、少し顔を赤くした一ノ瀬が立っていた。

 酒臭さはあるが、目元はしっかりしている。

「遅い。減点一〇よ」

「すみません……断れなくて……」

「何飲んだの?」

「ハイボール二杯と、ウーロン茶です。揚げ物は衣を剥がして食べました」

 私は呆れてため息をついた。

「……律儀ね」

「約束ですから。それに、早く帰りたくて」

 一ノ瀬はふらりと靴を脱ぎ、私の方へ倒れ込むように近づいた。

 私は反射的に彼の身体を支えた。

 ずしりとした重み。体温。そして、微かに香る、知らない女性の香水の匂い。

 瞬間、私の中で何かが弾けた。

「……シャワー浴びてきて。その匂い、嫌い」

「えっ?」

「他の女の匂いをつけて私の部屋に入らないで」

 私の声は、自分でも驚くほど冷たく、そして震えていた。

 一ノ瀬が驚いて顔を上げる。

 至近距離で目が合う。

「九条さん?」

「……あなたが綺麗になったからって、調子に乗らないで。あなたはまだ私の管理下にあるんだから」

 強がりだ。ただの嫉妬だ。

 一ノ瀬は私の瞳をじっと見つめ、ふわりと微笑んだ。

「大丈夫ですよ。僕の管理者は、九条さんだけです」

「……え?」

「今日の飲み会でも、ずっと九条さんのご飯のこと考えてました。やっぱり、あなたの作ったものが一番美味しいから」

 彼は私の手を握った。

 大きく、温かい手。

 一ヶ月前、カサカサだったその手は、今はしっとりと滑らかで、私を包み込む強さを持っていた。

「ガパオライス、まだありますか? お腹空いちゃって」

 その屈託のない笑顔を見た瞬間、私の心の氷が溶け落ちた。

 ああ、ダメだ。

 完全に、負けた。

 私は彼の手を握り返し、小さく呟いた。

「……温めてあげるから、先に着替えてきなさい」

 コスパがいいとか、エビデンスがどうとか、そんな理屈はどうでもよくなっていた。

 私はただ、この男を誰にも渡したくない。

 それが、このプロジェクトの最終結論コンクルージョンになりつつあることを、私は認めざるを得なかった。

(第3章・完)

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