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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第3章:外見の革命と、独占欲の芽生え

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第25話:月曜日の憂鬱を吹き飛ばせ

月曜日の朝。七時三〇分。

 決戦の時だ。

 私の部屋のチャイムが鳴る。

 ドアを開けると、そこにはフル装備の一ノ瀬蓮が立っていた。

 昨日仕立てたミッドナイトブルーのスリーピーススーツ。

 白のワイドカラーシャツに、ネイビーのソリッドタイ。

 髪はワックスで完璧にセットされ、額が出ている。

 足元は磨き上げられた黒のストレートチップ。

「おはようございます、九条さん」

 彼が微笑むと、朝の廊下の空気が一瞬で華やいだ気がした。

 爽やかすぎる。

 以前の、死んだような顔で「会社行きたくない……」と呟いていたゾンビと同一人物とは到底思えない。

「……おはよう。悪くないわね」

 私は彼に、特製の「朝食スムージー(小松菜、バナナ、プロテイン、MCTオイル入り)」を手渡した。

「これを飲んで出撃しなさい。脳のエネルギーになるわ」

「ありがとうございます。……あの、行ってきます」

「ええ。胸を張って行きなさい。あなたは私が作り上げた最高傑作なんだから、自信を持ちなさい」

 私が背中をバンと叩くと、一ノ瀬はハッとしたように振り返り、深く頭を下げた。

「九条さん。一ヶ月間、本当にありがとうございました。今の僕があるのは、全部あなたのおかげです。……この御恩は、必ず仕事の結果で返します」

 その真っ直ぐな瞳に、私はドギマギして視線を逸らした。

「い、いいから早く行きなさい! 遅刻するわよ!」

「はい! 行ってきます!」

 彼は颯爽とエレベーターホールへと歩き出した。

 その背中は広く、頼もしかった。

 

 エレベーターの扉が閉まるまで、私は彼を見送っていた。

 扉が閉まった瞬間、私は廊下の壁に背中を預け、ずるずるとしゃがみ込んだ。

「……カッコよすぎるでしょ、反則よ……」

 心拍数が上がっている。

 手塩にかけて育てた「推し」が、メジャーデビューする日のプロデューサーの気分。

 いや、それ以上の――独り占めしたかったという、厄介な感情が胸を締め付けた。


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