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課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第3章:外見の革命と、独占欲の芽生え

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第21話:表参道という戦場

土曜日の午前一一時。

 私たちは、東京のトレンドの最前線、表参道に降り立った。

 ハイブランドの路面店が建ち並び、道行く人々は皆、雑誌から抜け出してきたかのように洗練されている。

 そんなキラキラした空間に放り込まれた一ノ瀬は、借りてきた猫のように背中を丸めていた。

「く、九条さん……僕、場違いじゃないですか? 石とか投げられませんか?」

「背筋を伸ばしなさい」

 私は彼の背中をバン、と叩いた。

「今の一ノ瀬さんなら、石どころか熱視線を投げられるわよ。自分のスペックを信じなさい」

 今日の一ノ瀬は、私が指定した白のTシャツに、黒のスラックスというシンプルな格好だ。

 まだ髪はボサボサだが、服の上からでも分かる引き締まった肉体と、輝くような肌のツヤは、すでに「ただ者ではない」オーラを放ち始めている。

「いい? これから向かうのは私の行きつけの美容室よ。担当のカリスマ美容師には『最高級の素材を持ち込むから、震えて待て』と伝えてあるわ」

「ハードル上げすぎじゃないですか!?」

 一ノ瀬が悲鳴を上げたが、私は無視して彼の手を引き、雑居ビルのエレベーターに押し込んだ。

 最上階。扉が開くと、そこはアロマの香りとハウスミュージックが流れる、コンクリート打ちっぱなしの異空間だった。

「いらっしゃいませ、九条様。お待ちしておりました」

 出迎えたのは、金髪に黒マスク、全身をモード系ファッションで固めた男性美容師・サトウ(35)だ。

 彼は一ノ瀬を一瞥すると、プロの目で瞬時に「査定」を行った。

「……なるほど。これが噂の『原石』クンですか」

「どう、サトウさん。料理しがいがあるでしょう?」

 サトウはマスクの下でニヤリと笑い、一ノ瀬の周りを一周した。

「骨格、エグいっすね。特にこの顎のラインと後頭部の形。日本人の絶壁じゃない。欧米人の骨格に近いっすよ」

「でしょう? 素材はSSRなのよ」

 私とサトウの専門用語トークに、一ノ瀬はまな板の上の鯉のように震えている。

「あの……お任せします……」

「安心して。君の人生、今日ここで変えてあげるから」

 サトウがハサミを構えた。

 革命のゴングが鳴った。


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