第101話:帰国、そして逆輸入
エマの中学校進学を機に、私たちは日本へ帰国することにした。
「日本の文化や、同世代の友達との青春も味わいたい」というエマの希望だ。
成田空港の到着ロビー。
そこには、数台のテレビカメラが待ち構えていた。
ネットでバズった「覆面ドラマー」の正体が、実はMIT研究員の娘である日本人の天才少女だとバレていたのだ。
「エマさん! 一言お願いします! 将来の夢は?」
「一ノ瀬さん! どのような英才教育をされたんですか?」
マイクを突きつけられる私たち。
蓮が私を庇い、エマが前に出た。
彼女は動じることなく、流暢な日本語(少しボストン訛り)で答えた。
「英才教育というか……パパとママは、いつも私の『好き』を因数分解して、環境を整えてくれただけです。夢はまだ計算中ですが、世界を最適化する何かになりたいです」
堂々としたスピーチ。
そのニュースが流れると、日本中で**「一ノ瀬メソッド」**が話題になった。
便乗して、私は本を出版した。
タイトルは**『最強の遺伝子は「腸」と「ロジック」で育つ 〜コスパ最強の子育て論〜』**。
これがまさかのベストセラーになり、私は一躍、カリスマ教育ママ(?)としてメディアに引っ張りだこになった。
印税が入った通帳を見せながら、私は蓮にウィンクした。
「見た? これぞ投資回収(ROI)よ」
「さすが美玲。転んでもただでは起きないね」
私たちは「逆輸入ファミリー」として、日本での新生活をスタートさせた。




