表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
課金ゲーで推しを育てるより、隣の社畜を「腸活」でイケメンにする方がコスパいい件  作者: 東雲みどり
第1章:深夜のゴミ捨て場と、瀕死の原石(全10話)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/102

第10話:契約成立

 一ノ瀬は、テーブルの上の水と、私を交互に見た。

 その瞳が揺れている。

「……僕、変われますか?」

 消え入りそうな声だった。

 それは、諦めかけていた自分自身への、最後の問いかけのようだった。

「変われるわ。骨格ベースはいいものを持ってる。磨けば光るわ。私が保証する」

 私は彼を真っ直ぐに見つめ、断言した。

 嘘ではない。私の目は誤魔化せない。

 一ノ瀬の目から、一筋の涙がこぼれた。

 自分でも驚いたように、彼は慌てて手で拭った。

「……お願いします。もう、自分じゃどうにもできなくて……助けてください」

 彼は深く頭を下げた。

 その姿は、神に祈る信徒のようでもあり、主人に忠誠を誓う騎士のようでもあった。

 よし、落ちた。

 私は口元が緩むのを必死に抑えた。

「交渉成立ね」

 私は彼の手を取り、強く握手をした。

 彼の手はカサカサで冷たく、骨張っていた。

 だが、指は長い。爪の形も綺麗だ。ハンドクリームを塗り込み、ネイルケアを施せば、色気のある手になるだろう。

 ああ、忙しくなる。

 まずはあの汚部屋の掃除からか。それとも冷蔵庫の断捨離か。

 やることは山積みだ。でも、不思議と嫌な気分ではなかった。

「さあ、まずは手始めに……その甘ったれた顔を洗ってきなさい。私の洗顔料を貸してあげる」

「は、はいっ!」

 一ノ瀬が弾かれたように立ち上がった。

 深夜二時四五分。

 こうして、私と社畜SEの、奇妙で過酷で、そして最高にコスパの良い「腸活育成契約」が結ばれたのだった。

(第1章・完)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ