風鈴の音は♫ きらきら♫ 雨宿りの音も♫ きらきら♫
ーきらきらーと。しまい忘れた風鈴の音が軒先で鳴る。
『あ〜、玄関が夏のままだ。もぅ冬なのに〜』
風鈴をしまおうと玄関のドアを開けた時だった。
ーきらきらーと。綺麗な雨が降っていて、
ーきらきらーと。綺麗な雨の雫が、しまい忘れた風鈴を、
ーきらきらーと。綺麗な音で鳴らしていた。
そして、風鈴を吊るした軒先で静かに雨宿りする。
ーきらきらーと。した美少女と目が合った。
青みがかった綺麗な黒髪に深い海の様な色の瞳ーー。
私と同じ中学校の青いセーラー服を着ている。
透き通った白い肌に伏し目がちの重たげな長い睫毛が、
ーきらきらーと。綺麗に瞬いて傘を忘れてしまったのか、
ーきらきらーと。雨の雫が綺麗な髪を、セーラー服を、
ーきらきらーと。透き通った白い肌を伝ぃ。
ーきらきらーと。伏し目がちの重たげな長い睫毛から。
ーきらきらーと。涙の様に流れて彈けた。
あまりにもーきらきらーと。していたから。
雨の妖精かと思ったけど違う。私はこの子を知ってる。
『…吉良さん…』私と同じ苗字だから覚えてる。
今日、うちのクラスに転校して来た。転校生の子。
『同じクラスの…ごめんなさい…まだ名前覚えてなくて』
ーきらきらーと。風鈴の様な音の声が綺麗だった。
『私は、吉良 鈴風 もぅ一度、下の名前聞いていぃ?』
『…雨美…私は、吉良 雨美 よろしくねー鈴風ちゃんー』
『ー雨美ちゃんーよろしく。風邪引くょ雨宿りしてって』
私は家にー雨美ちゃんーを招き入れた。
『ーうんーありがとう』
ーきらきらーと。冬の風に雨が霙になった。
霙になった雨に風鈴の音が鳴った♫ーきらきらーと。
私の心の中で綺麗な音がーきらきらーと。鳴り始めた♫
ーきらきらーと。綺麗な何かが始まる音がした♫
風鈴の音は♫ きらきら♫
雨宿りの音も♫ きらきら♫
『冬の風鈴も綺麗だねーきらきらーしてる♪』
ーきらきらと。風鈴を見つめて雨美ちゃんが言う。
『ーうんーもぅ少し飾っておこぅかな♪』
ーきらきらーと。綺麗な雨と音に鳴る風鈴を、
ーきらきらーと。見つめる雨美ちゃんを見て、
ーきらきらーと。鳴る自分の心の音を聞きながら。
ーきらきらーと。笑って、私は言った。




