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第6章「愛の逃避行(物理)」

朝。


俺は目を覚ますと、天井を見上げて絶望した。


「……なんで、俺、ウェディングドレス着てるの?」


鏡の中には、純白のレースに包まれた俺(28歳・男・バイト暮らし)が映っていた。

背後からクラリッサの声が飛ぶ。


「レイジ、ステキ。キレイ。お嫁サン、サイコー!」


「違う!俺が嫁側じゃねえ!!お前だお前!!」


彼女は嬉しそうに俺の写真を何十枚もスマホ(なぜか使える)で撮っていた。

ゾンビなのにSNS依存症とは、時代の進化ってすごい。


「なんでこんなことに……俺、昨日まで普通の避難所にいたよな……?」


クラリッサが嬉しそうに語る。


「昨日、寝てるレイジ、さらった。サプライズ。シンデレラ式カンコンソウサイ!」


「どこから突っ込めばいいんだよ!!しかもカンコンソウサイって、仏前式混ざってない!?いやそもそもシンデレラじゃねぇし!!」



場所は廃ホテルの最上階。

なぜか式場用に改装され、紙吹雪まで用意されていた。

クラリッサの手下ゾンビたちが、見よう見まねでオルガンを弾いたり、司祭コスプレしていた。


ゾンビ司祭(口が裂けてる)が言った。


「――では、レイジ殿。死をも超えてクラリッサ様と結ばれることを誓いますか?」


「誓うわけあるかーーッ!!俺はまだ人生これからだし!納税もしてないし!推しのアイドルまだ解散してねぇし!!」


クラリッサがぽろぽろ涙(たぶん血涙)を流す。


「……レイジ、イヤ?」


「そうじゃない!違うんだ!お前のことは、嫌いじゃない!でも、お前、“食べる”じゃん!」


クラリッサ:「でも“愛情”こめて、やさしく食べる!」


「やさしくても無理ィィィィ!!」



そのとき――バァン!!


ドアが蹴破られ、現れたのは武装した人間たち。

「ゾンビレジスタンス」と名乗る、ゾンビと戦う組織らしい。

その先頭にいたのは――


「お、お兄ちゃん!?」


そこにいたのは、なんと妹の**東雲ヒナ(20歳・格闘系女子・厨二病ぎみ)**だった。


「やっぱりお兄ちゃんだ!うわーん、また変な女に追いかけられて!てか、なんでドレス!?そういう趣味あったっけ!?今度語ろうね!」


「誤解しかないからまず黙れヒナ!!!」


クラリッサが前に立ちはだかる。


「レイジは、ワタシのだもん……渡さない。ヒト間で引き裂かれる恋、サイコー!」


「勝手にロミジュリ再演すな!!」



一触即発の空気の中、ヒナが言った。


「クラリッサ。あんた、お兄ちゃんのこと好きなら、まず“本人の同意”を取れ。愛ってのは契約なんだよ!」


「……ワカッタ。勝負、シヨウ」


クラリッサがそう言うと、突然ボタンを押す。


ゴゴゴゴゴゴ……


部屋が傾き、床が開いて、俺とヒナはなぜか地下に落下。


「キャーー!!」


「ヒィィィィ!!俺ドレスのまま落ちてるー!!パンツ見えてるー!!」



気がつくと、そこは地下迷宮だった。

張り紙にはこう書かれていた。


《ゾンビ花嫁コンペティション・スタート!優勝者にはレイジとの結婚権を進呈!》


「俺の人権どこーーーーーッ!?!?」


クラリッサを筆頭に、なぜかゾンビたち(全員美女ゾンビ)が行進してきた。


「アイラブレイジー!」「クチヅケシタイー!」「アナタノアシ、タベテイイ?」


「誰かまともなヤツいないのかよこの世界!!!」


俺は走る。ヒナは大笑いしながら後を追う。


「お兄ちゃん、人生で一番モテ期きてるじゃん!!この地下迷宮から、逃げ切れるかな~?」


「俺は、普通に彼女と焼肉行って平凡に老後迎える人生がよかっただけなんだァァァァ!!!」


ドタバタ逃走劇、再開!


俺の逃避行は、まだまだ終わらない!

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