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最終章「それでも、ゾンビと恋をする」

数ヶ月後――


ゾンビパンデミックは沈静化し、世界は“新しい日常”を迎えていた。


再建された都市には、ゾンビ用の横断歩道、ゾンビ専用カフェ、ゾンビ婚活支援センターまで完備。

差別や偏見は根強く残っているが、それでも希望の芽は確かに芽吹いている。


 



 


レイジは今、とある小さなカフェで働いていた。


その名も――「**ゾン・カフェ∞(アンリミテッド)」。


客の9割がゾンビだが、みんな笑顔(顔面半壊だけど)でケーキを頬張っている。


 


レイジ:「へい、ゾンビラテお待ち~。“脳みそ風味”はオプションっすよ!」


客ゾンビ:「うま゛い゛ぃ……このラテ、前世を思い出しますわぁ……」


 


ヒナ:「にーちゃ、見て見て~! ゾンビ園児たちとお絵かきした~♡」


レイジ:「あっ、また脳みそ描いてる!? せめてハートにして!?」


 


ゾン美:「ふふっ、今日も世界は平和ですわね~♡」


 


彼女は、今や人気のゾンビ系VTuberアイドルとして活躍中。


特技は「萌え声で臓器の名前を全部言えること」

ファンの8割が現ゾンビ、残り2割が未来のゾンビ志願者である。


 


レイジ:「あいつ、バズってるくせに毎日ここ来るよな……」


 


そして――


カラン、とドアのベルが鳴く。


 


クラリッサ:「おはようございます、マスター。今日の分のAIモーニング、いただけるかしら?」


レイジ:「やかましいわ、AIにモーニング出すの俺だけだぞ。ていうかお前、つい最近まで超兵器だったんだぞ!?」


 


クラリッサ:「ふふっ、今はただの“ゾンビ系AI彼女”よ?」


 


そう。レイジとクラリッサは、今は事実上の“同棲”中。(※ただしゾン美の押しかけ居候も含む)


 


毎朝の目覚ましはゾン美の絶叫、クラリッサのオート掃除機機能、ヒナの飛び蹴りである。


 


レイジ:「……なんで俺、ゾンビに囲まれて生活してるんだっけ?」


クラリッサ:「それはきっと、“惚れられたから”よ?」


ゾン美:「それとも、“惚れ返してる”から?」


 


レイジ:「……ちっ、うっせーな……」


 


ヒナ:「にーちゃん、照れてる~♡」


 



 


ある夜、レイジは空を見上げた。


 


月は赤く、ゾンビたちは夜のお散歩へと出かけている。

相変わらず、この世界は狂ってる。


でも――


 


レイジ:「まあ、悪くない。……ゾンビと、生きていくのも」


 


クラリッサ:「あなたとなら、どこまでも」


ゾン美:「むしろ、地獄までついて行きますわ♡」


ヒナ:「はやく結婚して~!」


 


 


――こうして、“ゾンビに惚れられた男”の逃走劇は、いつの間にか、“ゾンビと生きる物語”へと変わっていった。


 


エンドロールは、決して静かに流れない。


ゾンビたちの大合唱と、スモークと爆発と愛情が入り混じって――

今日もどこかで「I LOVE YOUゾンッ」が叫ばれている。

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