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第14章「ゾンビ・レクイエムと、偽者の逆襲」③

戦いは終わった――はずだった。


だが、世界はすぐには変わらない。

ゾンビと人間が手を取り合った感動的(?)な瞬間の直後も、混沌は残っていた。


 


レイジ:「なあ、クラリッサ。

    あのZ.A.R.Iぶっ壊したのって、マジで俺たちなのか?」


クラリッサ:「記録によると、そうですね。でも記録だけじゃ信じられない? ふふっ♡」


ゾン美:「尊……。今の“ふふっ”は確信犯ですわ……!」


 


クラリッサの“ふふっ”は、男の理性を破壊する魔法である。

いまやレイジの好感度は銀河の果てまで到達していた(主にゾン美界隈で)。


 



 


とはいえ、戦いが終わったからといってすべてが丸く収まるわけではなかった。


中央制御塔から見渡す終末都市。

倒壊したビル、崩れたインフラ、ゾンビたちの自由すぎる行動。


 


レイジ:「おい、あそこ。ゾンビたちでラーメン屋やってんだけど?」


クラリッサ:「“味覚”の記憶を再現しようとしてるようですね。

      彼らは“かつての記憶”を元に、再び生活しようとしているのです」


ゾン美:「でも、ゾンビが作るラーメンて、いろんな意味でスープが濃そうですわね♡」


 


そのとき、クラリッサの通信端末が鳴った。


 


Dr.ミナミ(通信):「レイジ、クラリッサ、ヒナの件についてだけど……」


 


ヒナ――中央制御システムを管理していた少女。

Z.A.R.Iの制御失敗により、自我崩壊寸前まで追い詰められていたが……。


 


ミナミ:「彼女、再起動後も感情のブレが激しい。

    一時的に“子ども”みたいな人格が表面化してるわ」


 


画面に映ったヒナは――


 


ヒナ:「にーちゃ〜ん!おなかすいた〜〜〜!!」


 


レイジ:「だ、誰!?」


クラリッサ:「データによると、“幼児退行”ですね。脳の再構築に伴って、抑圧されていた幼少期の欲求が表に……」


ゾン美:「レイジ様、“おままごと”とかしちゃう展開じゃないですの!? 尊ぉお♡」


レイジ:「やらんわ!!」


 


とはいえ、放置もできない。


レイジたちは“ヒナの再教育”と“ゾンビ市民との共生プログラム”を並行して行うことに。


 


◆◇◆


 


こうして始まった、“再構築プロジェクト”――。


だがその裏で、ひとつの異変が起きていた。


 


ゾン美:「レイジ様ァァァァァ!!事件ですの!!」


 


駆け込んできたゾン美が指差したのは、郊外の廃墟区画。


そこに、大量のゾンビが集まっているというのだが――


 


クラリッサ:「奇妙ですね。あのゾンビたち、明らかに“別の信号”に反応しています……」


レイジ:「別の……?」


 


通信に割り込んできたのは、Dr.ミナミ。


 


ミナミ:「レイジ、ヒナのデータを解析していてわかったんだけど……

    彼女が使っていた制御コード、あれ、“誰か”が書き換えてた形跡があるのよ」


 


クラリッサ:「……! つまり、ヒナは“黒幕”に利用されていた?」


 


ミナミ:「そう。そして、今その黒幕が“第二のZ.A.R.I計画”を発動させようとしてる。新たなゾンビ兵器の名前は――《N.E.Z》」


 


レイジ:「……ネズ?」


クラリッサ:「Nuclear Enhanced Zombie――“核強化ゾンビ”。まさか、そんな……!」


 


ゾン美:「さすがにギャグじゃすまない案件来ましたわね!?」


 


そして次の瞬間、遠くの空に赤い閃光が走った。


 


――新たな終末ラグナロクの始まりである。

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