第10章「ゾンビ・カジノと脳の値段」
ド派手なネオン、ゴールドの看板、ゾンビがディーラーを務める終末世界最大の賭場――
ここは、ゾンビ・カジノ《DEAD or JACK》。
「なんで俺がこんなとこ連れてこられてんだ……」
レイジは、金ピカのスーツを着せられ、ヒナ(妹)に押されてカジノフロアへ突入していた。
「兄貴、ここに来るしかなかったの! 例のDr.ミナミが“レイジの脳”を高値で出品したって噂が流れてる!」
「脳を出品するって何!?ヤフオク感覚で言うなよ!!」
一方、クラリッサは露出度高めの黒ドレス姿。
背中のチャックが壊れているのはご愛嬌(というかゾンビ体型のせいで入らなかった)。
彼女は静かに言う。
「ここで“勝てば”……レイジを商品から外せる。ミナミを釣り出せる」
「……それ、俺が勝つ前提で話してない?てか俺、ポーカーもブラックジャックもルール曖昧なんだけど!?」
ヒナ:「大丈夫!このために“ギャンブル特訓モード”のゾンビたち育成しといたから!」
レイジ:「なにその便利な訓練!?ゾンビ使いこなしすぎだろ妹!!」
◆カジノバトル、開幕!
ゲーム①:ゾン美ジャンケン(プレイヤーの意思に反して腕が動く)
ゲーム②:ゾンビスロット(目玉が回るタイプ)
ゲーム③:ポーカーデスマッチ(負けるとトランプが刺さる)
レイジは最初こそ苦戦するが、クラリッサの必死のアシストと、ヒナのインチキばりの実況解説で大逆転。
「勝者、レイジ・ナガセ!“脳のオークション”への出場権獲得!!」
「いやその称号嫌すぎるからァァァ!!もっと他にあっただろォォォ!!」
◆ラストゲーム:脳オークション
司会:「本日の目玉商品はこちら!被験体No.6――“愛の記憶を埋め込まれた奇跡の脳”!」
「やめろォォォ!そんなふうに言うな!!めちゃくちゃ気持ち悪いから!!」
競りに現れたVIPたち:
・ゾンビ貴族:クラリッサの元婚約者!?
・サイボーグ医師:脳だけで100年生きてるヤバい奴
・Dr.ミナミ:ドレス+白衣でセクシー極振り
ミナミ:「レイジの脳は、“L.O.V.E計画”を完成させる最後のピースなの。……私の物になるのよ♡」
クラリッサ:「……ならない。絶対に、させない」
◆カジノ、暴走――そして真実へ
オークションは混乱。ヒナがカジノの中枢システムをハッキング(なぜか可能)。
クラリッサはミナミに殴りかかる。
その戦いの中、ミナミの言葉が飛ぶ。
「クラリッサ……あなたの記憶は、レイジだけじゃない。
あなた自身、“レイジの脳から作られた存在”なのよ!」
「……え?」
時間が止まったようだった。
「どういう……こと?」
ミナミが語る――
> 「君は、レイジの“愛の記憶”から再構成された存在。
つまり君は、“レイジが理想としていた女性像”のゾンビなんだよ」
クラリッサはその場に崩れ落ちる。
「……じゃあ、ワタシ……ワタシって、本当に存在してるの?レイジの“幻想”なの……?」
レイジは、目を伏せながら、それでも言った。
「たとえそうだとしても、お前が“目の前にいてくれた”ことは……嘘じゃない。
俺は……お前を、見捨てたくない」
ヒナ:「兄貴……やっと主人公っぽくなったじゃん」
レイジ:「お前には言われたくねぇ!!」
その瞬間、ミナミが最後の切り札を発動――
「じゃあ、“本物のレイジ”を起こしましょうか」
◆そして現れる、第2のレイジ。
氷のカプセルの中で眠っていた、もう一人の“レイジ”。
「……まさか、“今の俺”は、コピーだった……?」
クラリッサは震えながら、目の前の2人を見つめる。
「ワタシの“レイジ”は……どっちなの……?」