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最前線へのアタック配信(7)

 私は即座にミライちゃんに駆け寄り、軽く飛び上がった。

 そのままミライの突き出した拳に足を合わせ、勢いよく空に飛び上がる。


(ひえっ、ミライちゃん容赦ない!)


 凄まじい勢いで、空に射出される私。



 デスクラブの狙いは、隊列が乱れたところに魔法を打ち込み探索者を倒すことだろう。

 巨体での押しつぶしに見せかけ、本命は魔法による砲撃。

 デスクラブのハサミからは、凄まじい魔力の奔流が立ち上っていた。今にも魔法が射出されようとしているのだ。


(させないよ!)


 私は、バウンティタイガーのオーラをまとい、



「あっはっはっは、私の糧になれ!」


 全力で、拳を叩きつける。


(弱点部位は……、ここ!)


 私が狙ったのは、右側の大きなハサミの根本の部分。

 魔法の狙いを逸らせれば御の字。

 態勢を立て直す時間を稼げれば良い。

 そう思っていた私の一撃は、


 ――ものの見事に、デスクラブの右ハサミを根本から引きちぎった。


"ワロタ"

"美味しそう"

"消し飛ばなくて良かったな"

"↑↑レベル2000に全力で殴られて無事ですむわけないだろ、いい加減にしろ!"

"全員がポカンとしてて草"



(あれ? 意外と効いてる……?)


 私の役割は足止め。

 軍曹の口ぶりから推測するに、私がいくらぶん殴ったところでダメージにはならないと思っていたけれど……、



 私は天井にしがみつき、デスクラブを注意深く観察した。 

 部位破壊――体の一部を破壊され、スタン状態に陥っているように見える。

 それにしても……、


「本当に美味しそうですね」


"草"

"※ダンジョン最深部での感想です"

"捕食者に目をつけられたらもう終わりよ"

"捕食者からは逃げられない"


「私の捕食者って二つ名、どんどん広まってるんですが何でですか!?」


"鏡見て"

"その前に敵を見てw"

"なんでこの状況でコメ欄凝視できるの、この子……"


 心配症のリスナーさんに怒られ、私は巨大カニに向き直る。

 どうやらスタンが回復したデスクラブは、またしても魔法を準備しているようだった。


(ハサミを壊して魔法を妨害しながら、地面に叩き落とす!)

(できれば傷つけずに倒したかったけど、さすがにそんなこと言ってられないよね)


 私はそう判断。

 天井を勢い良く蹴り、弾丸のような速度でデスクラブに突撃する。

 狙いは、魔力の溜まったハサミだ。


「えいっ!」


 全力で殴り飛ばし、私はハサミを吹き飛ばす。

 更にはその巨体を足場に、私は再び空高く飛び上がった。


 それから繰り返されるのは、似たようなやり取り。

 カニさんも途中からは足を巧みに操り、私を捕らえようとしたり、体当たりしようとしてきたがサッと回避。

 カウンターで、足を引きちぎっていく。


「あっはっはっはっは!」


"( ゜∀゜)/あっはっはっはっは!"

"( ゜∀゜)/あっはっはっはっは!"

"( ゜∀゜)/あっはっはっはっは!"



 魔法の危険が無くなったころ、私は軍曹にこう尋ねる。


「軍曹、撃ち落として良いですか?」

「…………あ、ああ」

「では、ここからは作戦通りです! カニ鍋のため、みなさん頑張りましょう!!」


"軍曹、困惑してて草"

"おまいら口空いてるぞ"

"俺たちはいったい何を見せられてるんだ……"

"料理やぞ"

"捕食シーンやぞ"



 私は軍曹の答えを聞くや否や、デスクラブに渾身の踵落としを叩き込む。


 まともに喰らったデスクラブは、凄まじい勢いで地面に吹き飛ばされ。

 ――激しい轟音とともに地面に激突し、ピクリとも動かなくなった。



(敵は、最前線のフロアボス)

(何をしてくるか分からないし、ここからが本番だよね……!)


 第2形態、第3形態があってもおかしくない。

 カニのすぐそばに着地した私は、警戒態勢を続けたまま、


「では皆さん、イレギュラーはありましたが、ここからは作戦通り。えっと前衛後衛で分かれて、私は右ハサミ担当で! えっと、えっと……!?」


 私は、そこで困って言葉を止める。

 肝心のハサミは、すでに宙を舞い、湖に沈もうとしていたからだ。

 


 ピクリとも動かぬカニ。

 おもむろに歩み寄るは軍曹。

 そうして、しばらく何かを観察していたかと思うと、


「――なるほど、もう死んでるな」


 ぽつりと一言。


"ぽかーん( ゜Д゜)"

"ぽかーん( ゜Д゜)"

"ソロ狩りしやがったww"

"貴重な食料が湖に沈んでいく~!?"


 驚異的な速度で流れていくコメント欄。



「あ~!? メインディッシュ~~!?」


 続けて、私の悲鳴が響き渡るのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。



・面白い!

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― 新着の感想 ―
[一言] 所でそのカニはワタリガニなのかモクズガニのどっちだったんだろうモクズガニなら周り洗ってから茹でワタリガニならそれもよく洗ってぶつ切りにしてお味噌汁の具材で美味しい
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