役廻令嬢は家族と邂逅する
今回はキリのいい部分で切り上げているため、少し短いです。
ステラの専属侍女の名前を変更しました。
ゆっくりと目を開けると、大きなドアの前に立っていた。
徐々にステラと融合しているのか、見慣れた感覚があり、すぐにヴァルストレーム家の玄関だと認識した。前世では魔法自体が存在しないので、アレクの部屋から帰る際、息をするように転移魔法を使えたときは内心驚いていたが、幸い顔には出なかった。
「ここにステラの家族が・・・」
ごくり、と生唾を飲み込んだ。
ファンブックでしか見たことのないステラの家族。メインキャラではないため、ラフ画で描かれていた。モブ的立ち位置なので程よく手を抜きそうなものだが、相当なイケメンと美女が描かれていてよく覚えている。
そんな方たちがこの家で暮らしてるかと思うと、徐々に興奮してきた。自然と鼻息が荒くなるのは許してほしい。
私は深呼吸を数回繰り返し、意を決して目の前のドアを開けようとした途端、向こうからドアが開いた。そこには執事らしき男性と、ステラと同じ髪色にエメラルドグリーンの瞳のイケメンとアッシュブルーの髪とステラと同じ瞳の美女が揃ってステラを出迎えた。
「おかえりなさいませ、ステラ様」
「「おかえり、ステラ」」
背面から後光がさしてる面々を前に歓喜の叫びが出そうになったが、素早く口元を両手で押さえる。
その様子を不思議そうに見る3人。
「「ステラ?」」
「ステラ様?」
「・・・っ、いえ、なんでも、ありません・・・ただいま帰りました」
流石にCVまで手が回ってないだろうと思ってたのに、3人とも美声でビックリした。こんなのご褒美でしかない。絵師様ありがとう。CV担当様ありがとう。あぁ、前世の友らと一緒に喜びを分かち合いたかった、と感傷に浸っていると後ろから声がした。
「お嬢様、そろそろ夕食ですので、お着替えを」
「分かったわ、リア」
自然と口から出る名前。ステラの記憶によると専属侍女のようだ。執事のジェフリー、父のセドリックに母のミレイユ。ステラの大事な家族たちだと理解する。
リアに連れられ自室に戻り、着替えを済ますと食堂へ向かった。