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役廻令嬢は決別し、心機一転する

あれから3ヵ月。


私はヴァルストレーム家が運営する商会で働き、忙しい日々を送っている。


転生者が推しの攻略対象と別れ話をするなんて所業、私くらいしかいないのでは。

理想と現実は違うっていうけど、ホントだった。


アレクは承諾の返事を貰えると思っていたようだけど、別れ話を突き付けたら大いに動揺していた。相手は情報ギルドのマスター、利用価値のある人間がいなくなるのは困ったのだろう、かなりごねられた。


まぁ、そうでしょうね。


本人よりアレクのことを熟知している私にしてみれば、対策なしで別れを告げるはずがない。

アレクとエヴァンの関係性を逆手に取って介入させ、無事別れることに成功し、事なきを得た。


持つべきものはお兄様、とはこのことね。



◆◇◆◇◆◇



Stardust Garden、略して「星庭」。


星庭は4月から物語がスタートし、翌年3月にエンディングを迎える1年サイクルが採用されている。私が転生した時には既に秋だったので半年は確実に経過している。


その後調べたら、今は前世のサイクルでいうと12月ということが分かった。ということは、あと3か月でエンディングを迎えることになる。


当時の時点でヒロインはアレクと付き合うどころか彼女でもなかった。その時点で「星庭」の関係相図が狂っているのだ。


転生者確定のヒロインが強行突破してイベントを起こしたのも頷ける。


ぶっちゃけ、時期的に遅い気もするけど彼女なりの打開策なのだろう。ヒロインには迎えたいエンディングに向けて頑張ってほしい。

私はあくまで「モブキャラ」だ。なにも主軸に関わる必要はない。あとは彼らでよろしくやってくれればよいだけの話。


晴れて自由の身になったし、好きなように生きるって決めた。


なんだかんだでプライベートのゴタゴタを精算した私は心機一転、清々しい気持ちでヴァルストレーム家の仕事を手伝っている。


元会社員だった私にとって自営業の経験は無い。ただ、私の会社員スキルは思ったより優秀だったようで、すんなり職場の雰囲気に馴染めたし、仕事内容も会社員時代にやってたことと然程変わらなかったので特に問題なかった。


あと、自営業だからって家族贔屓は一切しないっていうお母様の方針のもと、商会のみんなと同じように働いているけど全然楽しいし、なんなら元いた会社より働きやすくて快適だ。


あと、なにより嬉しいことが一つある。それが『定時退社』!!


当時、憧れだった定時退社。

まさか、この世界で叶うとは・・・もうね、モチベーション爆上がりよ。

退社後は自由にさせてもらっているので、空いた時間は働いたお金で買い物したり、魔力量アップの鍛錬と魔法のスキルアップ訓練をエヴァンに教えてもらったりしている。


鍛錬を始めて約2か月。当初よりだいぶ魔力量が上がってきた。


ステラはモブだけど決して魔力量や魔法スキルは低くない。

実のところ、ヒロインは物語後半になると窮地に立たされる場面が必ずあり、その時に助けに入るのがヒロインの友人であるステラなのだ。


エヴァンに教わる前は平均的な魔力量とスキルだったが、今は基本元素である「火・水・風・土」は詠唱なしで応用魔法を使えるまでになった。

次のステップとして特殊元素と呼ばれる「光・闇」の基本魔法を習得中なんだけど、この世界は基本元素だけでなく特殊元素も習得しようと思えばできる、らしい。


それには日々の鍛錬が重要らしく、すぐに成果が出るわけじゃないからみんな挫折しちゃうみたい。

地道にコツコツ推しのグッズを集めていた私にとっては全然余裕なんだよね、むしろ楽しい。


今のところ全元素を使える人間は高位神官と一部王族だけだとお父様は仰っていたけど、私は知っている。

攻略対象全員が既に全元素を使えるってこと。


え、それチートじゃん、って思うでしょ?

実はヒロインは隣国生まれだから諜報スキルは使えど魔法は使えない。魔法が日常的に使われている国にいるからか、いつも命の危機に晒されて油断すれば死亡エンドまっしぐら。


そこでヒロインお助け要員として私と攻略対象を充てがうってワケ。


ただ、ステラはあくまでモブだからいつも助けるわけじゃない。

ヒロインからしてみれば常に守ってくれる攻略対象がいてくれた方が生存率安定するし安全だし、異性だから恋愛もできて良いこといっぱい。


でもさ、転生した私から言わせてもらうとモブって人権ないよね?

適当に役割割り振られてあっという間にフェードアウト。

美味しいところは主人公と攻略対象が頂いちゃうなんて正直ズルいと思う。

プレイヤーの時はこんなこと思いもしなかった。

この残念な役廻り、絶対に変えてやる。


「よく考えたらヒロインってさ・・・っと、集中力切れちゃった」


プツン、と糸が切れたような感覚がして、目を開ける。ここは私が働いているヴァルストレーム家直営の商会施設の一室だ。


お父様に許可を頂いて、空き部屋を鍛錬部屋として利用させてもらっている。

建物と商会メンバーに被害が出ないよう、部屋一帯に防振・防音と現状回復魔法が張り巡らされており、私がうっかりなにかしちゃっても大丈夫な仕様になっている。


「・・・余計なことを考えてたのが良くなかった」


目の前を見ると、壁に大きな穴ができていた。風魔法の加減が微妙だったようだ。右人差し指をくるくると逆時計回りに回せば、壁は元通りになった。


「ま、いっか。今日も頑張ったぁ!今日の夜ご飯は何かな~」


壁掛け時計が19時を指している。私は鼻歌を歌いながら転移魔法を展開して部屋をあとにした。

大幅改稿しました。

ブックマークそのままにしていただいている皆様、ありがとうございます(涙)

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