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FREEDOM  作者: ホーリン・ホーク
fourth season
66/83

66.渦巻く殺気

 ギングス・ファーム。

 闇の会議室では三大ファミリーのドンと〝死の商人〟リガル・ナピスが顔を突き合わせている。

「真意……とな。私は商売人だ。利益の追求以外に何があるかね?」

 リガル・ナピスの答え。ストーン・サンダースはこめかみに指を当て詰問する。

「目的だ。貴方は政府に取り入ってる。共明党のどの議員を抱き込んだ?」

「……ほう。私のやり方に何か不服でも?」

 ナピスは身を反らし、隣りのウォルチタウアーと顔を見合わせ首を横に振る。

「そう。貴方は挨拶も無しに我々の領地に土足で入り込んだ」

「フッ、ドン・サンダース。皆様も所詮ぶら下がって生きてらっしゃる。法を欺いてな。私どもと何が違う? 同じドングリだろうが」

 サンダースの顧問ビフ・キューズの目が吊り上がった。

「何だと貴様」

 サンダースがビフを制した。そしてクワトロとジャグアの表情を窺う。彼らはどう思ってるか。



 リガル・ナピスは言った。

「……どうやら私が気に入らんようですな。残念だ。折角皆さんと新たな暗黒時代を築けると思ったのに。私は武器を売りに来たのにあなた方は私に喧嘩を売ろうとする」

 ビフは指差し、歯を剥き出して言う。

「そっちが仕掛けたんだろうが! 我々は調べたんだ。あんたらはスプンフルの残党を使い我々の仲間を殺させた。たとえばトミー・フェラーリらを雇い」サンダースはビフの手を掴んだ。

「知らんな。何の話だ」とナピスは首を横に振る。

 ドン・ジャグアが手を上げ口を挟んだ。

「まあ待て。ミスター・ナピス。新しい武器の話だ。本題はそれだろう? どんな武器だね。あんたらが売ろうとしている新兵器がどういうものなのか、先ずは見せていただきたい」

 舌打ちするビフ。同じくナピスの態度に苛立ち爪を噛むドン・クワトロも訊く。

「ミスター・ナピス。そもそも()()()のようだが。どこかにそれを隠し持ってるのか?」

 ちょうどそこへ門番から護衛を介し、ビフ・キューズに伝言が入った。

 ビフはそれを伝えた。

「ミスター・ナピスとウォルチタウアー。ヴァル・ヴォーンと名のる男がお届け物だと。〝ジャック・パインドと金〟だそうだ」



 ****



 反ナピスの地下組織ソサエティの指導者ベルザ。

 窃盗団ソウルズの運転手ルカ・スティーロ。

 彼らがいよいよギングス・ファームに到着する。


 黒いスーツの胸に黄色い薔薇をつけた出立ちの二人はサンダース傘下の者として門を難なく通過し、農舎脇の駐車場へ。

 ちょうどそこを警備の男が長髪に眼鏡の小男(変装しているトミー・フェラーリ)を連れ、農舎の中に入って行った。

 何台もの車の隅の方、緑のボルボアマゾンの横にルカは車を駐めた。


 ベルザは農舎の方を見つめながら言った。

「ここまでありがとうルカ君。君は帰るんだ」

「ええ?」

「殺気が渦巻いている。これは罠だろう。サンダースはナピスを誘き出し、そのナピスは私が現れるのを待っている」

「それはおおよそ想定内だ。わかってて俺もここへ来たんだ」

 ベルザはルカの目を見る。そこには揺るがぬ覚悟が宿っていた。

「……そうか。だが、これは私がしなければならないことだ。君には、私の逃げ道を作ってほしい。だから今はここで待機していてくれ。いつでも動けるように」

「ああ。もちろんだ」

「よし。何かあったら連絡する」

「手段は?」

 ベルザはルカの厚い胸板を指し、微笑んだ。

「君のここに呼びかける」

 そう言って静かに車を降り、農舎へ向かった。



 潮の香りを漂わせ……ベルザとは真に何者なのか……ルカは首を傾げながら、それにしても先ほどから変な物音がする。隣りのボルボから。

 ルカは車を降り、その中を覗き込んだ。

 すると後部座席には縄で全身縛られ、横たわる男の姿が――ルカは目を疑った。その姿は見紛うことなき、ジャックだった。


「お、お前どうしてジャック! こんな目に」

 粘着テープで口を塞がれたジャックはモゴモゴと助けを求めた。

 ルカはドアの窓ガラスを叩き割り、携えたナイフでジャックを解放した。

 テープを剥がされたジャックは痛気持(いたぎも)ち良く叫んだ。

「……ぃって! あ、ああああ、ルカさん! ありがとう、たぁーすかったああっ!」


 顔も腕も痣だらけのジャックを、ルカはガシリと抱きしめた。

「ジャック、いったいどういうことなんだ? ダグラスさんは?」

「い、痛いよルカさん。いろいろあって……あれから」

 ジャックはこれまでの経緯を手短かに説明した。そして決意の眼差しで立ち上がる。

「……ダグラスさんを捜しに行く前に……俺はリガル・ナピスを()る!」

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