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FREEDOM  作者: ホーリン・ホーク
third season
49/83

49.帰還、ジャックとマルコ

 アパートに着き、車を降りると四人の前に二人の警官が立ちはだかった。

 懐中電灯で照らされるクリシアとブリウス。

「お前はジャック・パインドの妹だな。そしてお前はボーイフレンドか?」

 警官の質問にブリウスは、

「はい。いや、もっとそれ以上ですが、何か?」

 すると警官は「ワハハ。そいつはハッピーだな。で……」と、後ろの二人を照らす。

「爺さんと……お前は何者だ? 包帯なんぞしやがってミイラ男か。ちょっとその鼻の絆創膏をめくって見せろ」

 へっ? とボビィは両手を広げた。

 車をチェックしたもう一人がボビィに接近し、荷物も照らした。

「こら。顔をしっかり見せろって言ってんだ! この中身は何だ?」

 ボビィはしぶしぶ傷を負った素顔を晒す。

 どう見てもギターでしょとギターケースも開けて見せる。

 事態にイラついたブリウスが割って入った。

「ちょっとお巡りさん、俺の友達に何すんですか!」

 警官同士は顔を見合わせ、つまらなそうにライトを消し舌打ちした。

「お前ら。ジャックを匿ったりするんじゃないぞ。逃亡幇助の罪でブタ箱行きだからな」



 ****



 アパートの一階、管理人室マルコ・チェンバース宅に入る四人。

 小声で囁きかける爺様ジャックの姿にマルコは仰天したが、その手を握り抱きしめた。


 ソファに座り、向かい合う。間を置かずジャックはマルコに訊いた。

「セリーナさんから聞きました。マルコさんは指導者ベルザのことを知ってたんですね。ソサエティという地下組織の存在も」

「……ああ。俺はジョージの親友だ。知ってたさ。彼らもお前たちを見守っていた」

「ベルザは、今どこに?」

「うむ。おそらくこの町にはいない。リッチーさんたちとジミー・リックスの居場所を探してるはずだ」



 ジャックはマルコにこれまでの事を話し、ボビィを紹介した。

 マルコはボビィを歓迎し、妻のジェーンに彼の包帯を換えさせた。

 まとわりついていた子供たちはやがて躾を守り、ベッドに横になった。


 ジャックは頬に深いしわを刻んだシリコンマスクの下で微笑んだ。

「……とにかくソサエティのセリーナさんたちが味方だ。心配するなクリシア。ブリウスもいるだろう?」

「これからどうするの? お兄ちゃん」

「またアナザーサイドに行かなきゃならん」

 黙って聞いていたマルコが目を丸くして口を開いた。

「お前そのトミー・フェラーリって奴を追って、どうするつもりだ?」

 マルコを見つめるジャック。

 マスクの下の目は苦渋の怒りを宿していた。

「殺してやりたい。……でもあと二人いる。そいつらの名前を吐かせて、三人まとめて警察に突き出す。そう、セリーナさんが協力してくれる。法で裁いてもらうさ」

 顎をさすりながらマルコは見つめた。

「ジャック。一つ気になることがある。ウィップスとここへ来た男。ポールさんを脅した〝ヴァル・ヴォーン〟て名のる男。奴はその昔、クリスティーンの付き添い人だったブライアンに雰囲気がよく似ていた」

「え?!」

「いや、顔はちょっと違うんだがな。俺を見る目つきが昔ネイバーフッドで見せた、あの嫌悪感」

「……ブライアン」

「ブライアン・ヒル。その男もソサエティのメンバーだった……だが彼は敵地で死んだと、以前ベルザから聞かされたんだ。まさかな」

 マルコは両掌を広げ、首を横に振り撤回した。



 長居はできない。

 やがてジャックは立ち上がり、車の鍵を手にした。

 午後十時、皆に別れを告げ、先を急いだ。

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