4.クレモンズ・タワー ※
「あの岩の小島から南西に五キロ、水深三十メートルの海の底にブツは眠っている――」
晴れた空の下、西からの冷たい風が強く吹きつける白い円柱形の展望所には四人の男がいる。
海岸からの距離、経緯を確認したルカは次に双眼鏡をホウリンに渡した。
ルカはリッチーの方を向き、
「しかしこんな浅瀬にあったとはな。全く見当もつかなかったぜ」
「ああ……」
「デッド・ポエッツ・ソサエティ号は東エルドランド海のど真ん中に沈んだんだろ? どうしてこんな所に?」
ルカの問いにリッチーは頷き、さらに遠くの海原を見つめた。
「船は鯨に守られていたという」
「クジラ?」
ルカの横に立ったジミーが耳を傾ける。
「何の話だい?」
リッチーは微笑み、人差し指を立てた。
「お宝はいったいどこにあると思う?」
「どこって、海の底だろ?」
「そう。海底。鯨の腹の中」
「え?」三人がリッチーの方を向く。
「どういうことだ?」
眉をひそめる三人を前にリッチーの表情は引き締まる。
そして長く埋もれた神話の謎を解くかのように整然と語り始めた……。
やがて三人は頷き、それぞれに決行の時を思い浮かべた。
ホウリンは煙草に火を着け、
「鯨が飲み込んだのはピノキオではなく金銀財宝だったというわけだ」と言って反対側の街が一望できる方へ足を向けた。
ルカが「その話。ここまで来たからには信じるさ。……で、いつやるんだ?」と訊くと、
「準備が整い次第。情報提供者との打ち合わせもある。あれこれ考えるとイブの夜あたり……というか、あえてそこを狙ってる」
とリッチーは答えた。
ジミーは一番若く、経験が浅い。
リッチーがその肩を揉んで言う。
「ジミー。よろしく頼むぞ」
「あ、ああ。わかった。足手まといにならないよう気をつけるよ」
イーストリートの街にそびえ立つクレモンズ・タワー。
リッチー、ルカ、ホウリン、ジミー。
今四人の男たちが降りてきた。
十八世記中期、海賊キャプテン・キーティングが海に残した財宝。
ついにその封印が解かれる日がやってきた……。