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FREEDOM  作者: ホーリン・ホーク
third season
33/83

33.キャプテン・キーティング ※

 一七五〇年。

 海賊船〝デッド・ポエッツ・ソサエティ号〟は王族の豪華客船を襲った。

 荒くれ者たちが着飾った者たちから金品を奪ってゆく。



 操舵室、その船長ノーランに歩み寄ってゆく海賊キャプテン・キーティング。

 腰を抜かし、ぶるぶると震えあがるノーラン。

 キーティングはサーベルを抜き、問いただす。


「船長よ。船倉には何を積んでいる?」

「……しょ、食料だ」

「嘘だ。俺に嘘をつくな。貴様らが言うところの〝奴隷民族(スレイヴス)〟だろう? 知ってるんだ。解放しろ」

「……もう金は盗っただろう、見逃してくれ」


 ぜえぜえと胸をさすりながらノーランは懐をまさぐった。


「解放するんだ。貴様らの方が上だなどと勘違いするな。寧ろ彼らの方が神に近い」


 次の瞬間、銃を引き抜いたノーランは手首ごと斬られ、そのまま胸を貫かれた。



 側近の二人、ベルザとカイザが駆け上がってくる。

「キャプテン、今し方()を破り、彼らを解放しました」

「人数は?」

「およそ百名」

「ベルザ。その頭領(アタマ)を甲板に上げろ」

「はい」


 カイザが得意げに呟く。

「金になりますね、キャプテン」

「……はあ? 何がだ?」

「いやいや奴隷たちが。売りさばいてナンボでしょ? あ、それともコキ使うおつもりで?」


 キーティングはカイザの左頬をぶっ叩いた。

「いっ、(いって)えっ!」

「彼らの力は借りる。だが強要はしない。カイザよ真実を教えてやろう。彼らは爬虫人類(レプタイルズ)。我々よりも優れている」





 ベルザは鎖に繋がれた一人を連れ、キーティングの下へ。


 傷めつけられた顔、地肌の文様、纏うボロの下には隆々とした肩と胸が盛り上がっている。

 血の滲んだ素足で、そのレプタイルズの頭領は完全に冷めた目でキーティングを見ていた。


 キーティングは訊ねた。

「名前は?」

「……ヘイワース」

「すまない。まず先に名のるのが礼儀だな。俺はキャプテン・キーティング。君たちを解放するのは目的があってのこと」


 ヘイワースは動じず見つめている。

 だがその後、彼は目を見開いた。


 なんとキーティングはひざまずき、頭を下げたのだ。

「頼むヘイワース。俺たちの仲間になってくれ」



挿絵(By みてみん)

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