衣装と武器はカッコよく
今回は演劇で使う衣装と武器が完成します
「・・・やっぱりアクションシーンはそれなりに練習が必要みたいね・・・」
そう言って香野が見ていたのはアクションシーンの練習で
会長にボコボコにやられた好夜と慶太の姿だった
「・・・さすがに・・・手加減くらいは・・・して・・・欲しい・・・」
好夜はもっと手加減をして欲しいと告げながらゆっくりと意識を失った
「本当・・・どうやったらこんな綿の棒でこんなにダメージを与えられるのよ・・・」
これにはさすがの香野も驚きを隠せずそしてこれをやった当の本人も驚いていた
「俺もそれに関しては反省している・・・
とにかく午前に関してはアクションの練習はやめておこう」
会長も申し訳ないと思っているようでとりあえずはアクションシーンの練習はこれで終わりとなった
「そうですね・・・さすがにこれ以上は体が持たないです・・・特にこっちが・・・」
そう言って好夜が見ていたのは全く起き上がれない慶太だった
もはや誰が何を言っても無反応でまさしく屍として転がっていた
「・・・瑞樹くんに関してはもはや午前中に練習自体がもう無理でしょうね・・・
それじゃあ午前はこれくらいで終わりにしてお昼の買い物をしに行きましょうか!」
すると足立が午前の練習を切り上げてみんなで昼ご飯の買い物に行こうと告げる
「そうね・・・私達も衣装に必要なものとかもあるし男であると嬉しいかも」
香野も衣装で使うのに必要なものを買いたいので男手が欲しいと話していた
「わかった・・・それじゃあみんなで買い物に行くとするか・・・」
会長と好夜もそれに賛成して慶太を置いて五人で買い物へと出かけて行った
「それで?ご飯に関しては買い物しながら考えるとして・・・
衣装の材料に関しては一体どこで何を買うつもりなんだ?」
まだお昼まで時間があるので会長は先に衣装の買い物をしようと香野にどこへ行けばいいのか聞く
「そうね・・・やっぱりちゃんとした手芸屋さんに行った方がいいとは思うんだけど・・・
今回に関してはまだ大まかなデザインした決まっていないからモールにあるお店でも大丈夫かな?」
どうやら香野の話では今回に関してはモールの中にあるお店で問題はないそうだ
「さすがに五人で回るのも邪魔になりそうだし私達が手芸屋に行ってくるから
お昼の食材に関しては命ちゃんと好夜くんの二人に任せるわね?」
そう言われて好夜と命の二人は食材コーナーへと取り残されてしまった
「・・・とりあえず食材を買っていきますか・・・」
好夜は仕方ないと思いながら命と一緒に食材を買いに向かった
そして一方、三人は手芸屋さんへと向かい衣装に必要な色々を選んでいた
「やっぱり刀を使っているんだから和風な感じの方がいいわよね?」
主人公が刀使いという事で和風なものを使った衣装がいいのではないかと香野が告げると
「そうですね・・・でもあまり和風な感じを強くしてしまうと世界観が崩れてしまうので
そこら辺を注意して作ってもらえないかと・・・」
足立も世界観を崩さない程度の感じで和風な印象は欲しいと考えていた
「それじゃあやっぱり幹部の二人に関しては黒い感じで統一した方がいいかな?」
すると香野はそれならば好夜達が演じる悪役は黒に統一するべきなのか確認する
「う〜ん・・・瑞樹くんの役に関してはそれで大丈夫なんですが・・・
如月くんの役はどちらかというと赤をメインに作って欲しいんですよね・・・」
どうやら足立の方では好夜の役に関しては赤をメインに衣装を作って欲しいと思っているようだ
「赤をメインか・・・さすがにここでは決めきれないからそれはみんなで会議してからかな・・・
どっちにしても全員のデザインに関しては初めからやり直しだし・・・」
香野はとりあえず衣装のポイントになりそうなものだけを買って
これをメインにデザインを考えてみんなで会議をしようと考えた
「・・・いつもこんな風に衣装を作っていたのか・・・結構意外だったな・・・」
そしてその様子を見ていた会長はここまで真剣な香野の姿を見て感心していた
「まぁね・・・今回に関してはトラブルだらけの演劇部を助けたいって事もあるから
手芸部のみんなは凄い張り切ってるわよ?・・・まぁ・・・他の理由もあるんだけど・・・」
香野を含めた手芸部の全員は演劇部を助けたいからこそこんなに張り切っているのだと話していたが
実際はそれだけではなく衣装を着るのが会長だからというのも含まれていたがそれは黙っていた
「あれ?もうそっちの買い物も終わったんですか?」
そして三人は買い物を終えるとちょうど買った食材を袋に詰めている好夜と命の姿があった
「そっちの方も終わっていたみたいだな・・・それじゃあ瑞樹の奴も待っているだろうし
急いで帰って午後の練習を始めるとするか」
五人はそのまま一緒に帰って行きそしてお昼を食べて再び練習を再開しようと決意を一つにした
「・・・まぁ・・・それをやった時に俺はいないんだけどな・・・」
その時にその現場にいなかった慶太は帰ってきた瞬間に不貞腐れた様子で広間に座り込んでいた
「悪かったって・・・てかそんな不貞腐れてる暇もないと思うぞ?これからまた練習だし」
しかし残念ながら不貞腐れている慶太を構っている暇などなく
お昼ご飯を食べ終わった三人は再び芝居の練習を始める
(まぁ・・・もちろんこの後にはアクションシーンの練習もあるんだけどな・・・)
好夜は再び訪れるであろう地獄を前に自分は本当に生きているだろうかと心配するのだった
そしてもちろん・・・その心配事は見事に的中するのは言うまでもないだろう・・・
「そろそろ暗くなってきましたし本日の練習はここまでにしましょう!」
時刻は夕方になってきており足立はこれくらいで本日の練習を終了する事にした
「そうだな・・・もうこっちの方も体が動かなくなってきたみたいだしな」
会長の言う通りすでに好夜と慶太は体が全く動かせないほどにまで疲労していた
「・・・俺としては・・・会長の・・・体力の方が・・・異常だと・・・思うんですけど・・・」
しかし好夜からしてみれば
明らかに会長の方が疲れなくてはいけないのにピンピンしているのが異常だった
「だっ大丈夫ですか?こっこれ・・・!」
そこへ命がやってきて動けない好夜と慶太に飲み物を持ってきてくれた
「ありがとう・・・でも慶太の分はいらなかったかもな・・・」
そう言って好夜は再び屍のように倒れている慶太を見ていた
「・・・彼ってサッカー部のエース候補なのよね?困難で大丈夫なの?」
香野はその様子を見て来年のサッカー部は本当に大丈夫なのかと心配するのだった
そして翌日、好夜達は授業が終わってすぐに演劇部の部室に向かっていた
というのも朝に足立とあった時、みんなに見せたいものがあると話していたのだ
それが一体何なのか気になった好夜達は急いで部室に向かうと
「三人ともよく来てくれました!本日見せたかったのはこれです!!」
そこにはすでに足立の姿がありみんなに見せたかったものを見せてくれた
それを見ていたみんなはとても驚いていた
なんとそこにあったのは好夜達が演劇で使う武器だったのだ
「おぉ〜!!すげぇ!特撮とかで見た武器とほとんど変わらねぇ!!」
慶太は自分の使う武器を見てとても喜んでいた
それこそ本当におもちゃをもらった子供のようにはしゃいでいた
「てかこんな短期間でもう完成させちゃったんですか?すごいですね・・・」
それと同時に好夜はこんな数日でまさか完成させるとは思っておらず
その作業スピードにも驚かされていた
「まぁ・・・ぶっちゃけ暇だったからな・・・俺らは・・・
でも何かしないと落ち着かないのも事実でさ・・・」
どうやら道具を担当している人達も今回のトラブルを何とかしようと必死だったみたいなのだが
どうしていいのか思いつかなくて結局、こう言った道具を作る事以外思いつかなかったらしい
「別に皆さんが気負わなくてもいいんですよ?俺達も楽しくやってるんですから・・・
まぁ・・・会長とのアクション以外はですけど・・・」
それに対して好夜は別に大道具の人達が気に病み必要はないと慰める
実際に自分達もお芝居が出来る事を楽しんでいるのだから
「・・・それじゃあ今日からこれで本格的に練習するのか?」
そこへ会長が今まさに好夜と慶太が絶対に聞きたくない一言を話していた
「会長!作ったばっかりなのでやっぱり壊れたりとかしたらあれなんで
しばらくはいつもの綿の棒でやりましょう!いいですね?!」
もはや必死で食いついてくる二人に会長は何も言えずただ頷くだけだった
「それじゃあ私達、手芸部の方からも発表がありま〜す!!」
そこへ更に香野が手芸部からも発表があると宣言する
それを聞いて急いで命が鞄の中から三枚の紙を取り出した
「実はこっちも衣装のデザインが決まったからみんなに見て欲しかったのよ!
現物に関しては今も必死で部員達と作ってる真っ最中だけどね?」
そう言って命が三枚の絵をみんなに見せてくれた
そこにはとてもかっこいい衣装のデザインが描かれていた
「うぉぉぉぉぉ!!当日これを俺達が着るのか!!ヤベェ興奮してきたぁぁぁぁぁ!!」
始まるまでまでやる気がなかったはずの慶太ですらデザインを見て興奮してしまうほど
その衣装はかっこいいもので他のみんなもデザインを見て感心していた
「・・・ここまで盛り上がってしまっては本当に失敗できないな・・・」
それを遠くから見ながら会長はこの期待を裏切るわけにはいかないと思っていた
「確かに・・・でも逆にここまで盛り上がって成功すれば・・・
その時は今以上に大騒ぎで喜ぶ事になりそうですね」
しかし好夜は逆に成功させすれば今以上の喜びが待っているだろうと思っていた
「・・・そうだな・・・なら・・・それを目指して今日も練習を頑張るか・・・!」
会長もその通りだと思いより一層、今日からの練習に力を入れようと思っていた
(・・・やばい・・・余計な事を言ったかもしれん・・・)
そしてその様子を見ていた好夜は失敗したかもしれないと思うのだった
次回は演劇に関わっていない三人のお話です




