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寂しさと共に

大会を終えた部活についてのお話です

予選大会が終わり学校生活もいつも通りのものへと変わり始めていた

いや・・・一つだけこれまでと違う部分があった・・・

それは三年生が引退の準備を始めたという事だった

さすがに大会が終わってすぐには引退はしないのだが引き継ぎなどが終わると

三年生は受験に集中する為に部活をやめなくてはいけないのだ

そしてこの数日でその引き継ぎなどが順調に行われていた

「あの・・・さすがに一年生の俺が部長というのは・・・」

そんな中で困っていたのが野球部の部長を誰が引き継ぐのかについて口論になっている

先代の部長である龍間自身は晃平が部長にふさわしいからやってほしいとお願いしているのだが

晃平からして見れば入学したばかりの一年生の任せるのはおかしいと辞退している

「二年生の皆さんはやりたいって人はいないんですか?」

次に野球部を引っ張らなくてはいけない二年生に部長をやりたい人はいないのかと晃平は尋ねるが

「う〜ん・・・正直、俺達はお前がやってくれるのが一番だと思ってるからな〜・・・」

二年生の人達は弱い自分達よりも試合で結果を残している晃平にやってもらうのが一番だと考えていた

(((実際は部費とかの管理が面倒だとは言えないけどな・・・)))

しかし本音としては単純に部長は部活に関する全てを管理しないといけないので

それをやりたいとは誰も思っていなかったからこそ晃平に押し付けようとしていたのだ

「ほら!二年もこう言ってるんだしそれに・・・新しく入部した一年生もいるんだ!

 あいつらが野球を始めたのはお前のおかげなんだよ!」

龍間がそう言って指差した方向には新しく入った一年生が練習をしていた

実は大会が終わってすぐにボランティアに来ていた一年生がその様子をみんなに話したようで

それを聞いて自分もやりたいと結構な数の一年生が入部してきてくれたのだ

おかげで大会参加にギリギリだった選手層が一気に厚くなった

龍間はこれが全て晃平が活躍してくれたからだと告げる

「もう一回だけ言うぞ・・・二年生も来年の大会が終わったら引退するんだ・・・!

 だったら今の内から意識を高くする為にも強い意志のある奴が引っ張らないといけないんだ!」



「・・・・・」

正直な話をするとここまで言われてしまっては晃平も受けざる得ないのだが

しかしやはりと言うべきなのか二年生の中に不満を言う人間がいないとも限らない

そんな中で本当に大会に向けて心を合わせる事が出来るのか不安に思っていたのだ

「・・・何を迷っているのか知らないけど・・・さっきの発言は俺達二年生の総意だからな!」

すると二年生の仕切っている人が悩んでいる晃平へと近づいていく

「さっき部長が言っていた通り・・・俺達にとっては来年が最後の大会になるんだ・・・!

 だからこそ・・・どうしても勝ちたい・・・その為にはお前ら一年生の力が必要なんだ!」

彼の言っている通り次の大会を勝ち抜けるかどうかは入部した一年生次第だ

そしてそれを誰かが引っ張っていかなくてはいけない

だからこそ二年生は彼に部長をやってもらいたいと考えていたのだ

「・・・わかりました・・・覚悟を決めますよ・・・」

晃平は渋々ではあるもののとりあえずは覚悟を決めて部長をやると宣言した

「そうか!なら早速ではあるがこれから引き継ぎに関して色々と教えていくぞ!」

龍間はそう言って部活に関するありえないほどの用紙を持ってきた

(・・・もしかしなくても・・・この人・・・これが目的だったな・・・)

実は龍間が晃平に部長をやってもらおうとしていたのは

自分が溜めていた事務の処理をしてもらう為でもあった

「・・・いいですけど・・・これ終わらない限りは部長も引退させませんからね?」

しかし龍間の狙いとは違い晃平は自分の分は自分でやれと彼の引退を長引かせるのだった

「・・・終わらない・・・終わらない・・・終わらないぃぃぃぃぃ!!」



「・・・なんか悲痛な叫びが向こうから聞こえてきたんですけど・・・」

一方その頃、慶太が所属するサッカー部では普通に二年生が部長を引き継いで

何事のなかったようにいつも通りの練習が行われていた

「多分・・・龍間さんが野球部の事務を残しすぎて今頃になってやらされてるんだろうさ・・・」

すると二年生の先輩が龍間が事務を残しすぎて必死にやっているのだろうと予測していた

それを聞いて慶太は呆れたような表情を浮かべていた

「まぁ・・・ウチの部長も似たようなもんですけどね・・・」

その理由は自分達の部長であった真島も同じように事務を残していたからだった

龍間とは違い真島は勉強はできる方なので事務仕事もできるはずなのだが

やはり後輩への入部アピールは大会に向けた練習をしていた所為なのか

今日という日までかなりの事務仕事を残してしまっており

今も部室に残されて必死に片付けを頑張っていた

「なんか・・・こうしてみると本当に似た者同士なんスね・・・あの二人・・・」

慶太はどうしてこんなにもあの二人は似ているのだろうと思っていると

「さぁ・・・でも俺達が入部した時からあの二人はあんな感じだったな〜・・・」

どうやら二年生の先輩達が入部した時から二人はあんな風に張り合っていたそうで

もはや運動系の部活にとっては恒例行事のようなものにすらなっていた

「だからまぁ・・・それが見れなくなるのは悲しいな・・・」

そして同時に自分達の当たり前が終わってしまうのだと

二年生は少しだけ悲しそうな表情を浮かべていた

「さぁ!感傷に浸っている場合じゃないぞ!俺達も来年は優勝を目指すんだからな!」

するとその話を聞いていた次期部長が励ますように練習に集中するように喝を入れる

それを聞いてみんなは急いで練習へと戻って行き意識を切り替える

(・・・そういえば・・・テニス部の方は誰が部長をやるんだろうな・・・)

その時に慶太は好夜の所属しているテニス部は後任を誰がやるのだろうと思いながら

練習へと戻っていった



「まぁ・・・普通に副部長がやりますよね・・・次の部長・・・」

好夜のテニス部では普通の部活と一緒で二年生が副部長を務めていたので

そのまま繰り上がる形で次の部長をやる事になったのだが

「それで・・・なんで俺が次の副部長なんですかね・・・」

問題は空いた副部長の席に何故か好夜が知らない間に決められていた事だった

「代々テニス部は部長が三年生になって引退したら二年の副部長が次期部長

 そして一年生を空いた副部長にすると決まっているんだ」

会長が設立当初からこんな感じでやってきたのだと教えてくれたのだが

好夜が聞きたいのはどうして自分がその副部長に決まっているのかだった

「他の一年生が全員お前に任せたと推薦したのでな・・・それで決まった」

どうやら会長の話では一年生に話を聞いたところ

全員が好夜を副部長にするべきだと推薦したそうだ

「お前らな・・・俺は生徒会もあるから忙しいんだぞ・・・」

正直な話をするのならば好夜は生徒会の仕事などもあるのでかなり負担は大きかった

しかしそれでも一年生のみんなは好夜ならばなんだかんだでやってくれそうという思いが強かった

「ハァ・・・って事は来年は部長確定かよ・・・マジか〜・・・」

もはや拒否権のない好夜はこうして副部長そして来年の部長が決まるのだった



「・・・俺だけかよ・・・なんの役職もないの・・・」

昼休みになりみんなでお昼を一緒にしていると慶太は自分だけ何もないと嘆いていた

「そりゃあ、あんたに重要な役職を任せるわけにはいかないでしょ・・・赤点のあんたに」

残念ながら敬子の言う通りとても慶太がそんな重要は役割を果たせるとは思えなかった

それは他の四人も同意見だったようで静かに頷いていた

「お前らな・・・さすがの俺でも傷つくぞ・・・!」

これにはポジティブだけが売りの慶太も傷ついていたが五人はそんな事すら気にせずに話を続ける

「そういえば敬子の方はどうなったんだ?」

好夜は敬子が所属しているバレー部はどうなっているのかと確認する

「さすがに二人みたいに役職にはついてないけどスタメンにはなりそうかな?」

敬子の話ではやはり昔もバレー部に勤めていただけあってスタメンになったそうだ

それを聞いてみんなはとても喜んでいた

「まぁ実際に大会で成績残してるからな〜・・・そりゃあスタメンになるか」

敬子は先輩が怪我をしてしまい代理として大会に参加し結果を残している

それを考えればスタメンの採用は当然といえば当然だろう

「でもね〜・・・正直抜けちゃう先輩と同じだけ活躍できる自信はないんだよね〜・・・」

しかし敬子からしてみれば先輩を存在が偉大すぎて同じだけの結果を残せるか不安に思っているようだ

「それ・・・俺も似たようなもんだからな?」

それは好夜にとっても同じようなものだった

自分は大会に出ていたにも関わらず試合すら行っておらず

それなのに目標となるべき人はまさかの全国大会で準優勝を収めている怪物

そんな人をどうやって追い抜けというのか好夜からしてみれば高すぎる壁だった

「「ハァ・・・」」

改めて自分が超えなくてはいけない壁の大きさを知った敬子と好夜は深いため息を吐いていた

「まっまぁまぁ二人ともそれだけ期待されてるんですよ!すごい事じゃないですか!」

そんな二人を四人で必死に慰めるのに残された昼休み全てを使ったのだった



そして放課後になり好夜と命は生徒会の仕事を行なっていた

「そういえば・・・生徒会長は誰が引き継ぐんですか?」

そんな中で好夜は次の生徒会長は誰がやるのか気になっていた

何故ならば今の会長である菓家はまさしく完璧超人と呼べるだけの天才だった

正直な話、そんな人の後を本当に継げるのか不安に思っていたのだ

「来年の会長に関しては足立に任せている・・・

 と言うか・・・二年生の役員は彼女しかいないからな」

そしてそんな重荷を背負うのはドジっ子属性のある足立だった

それを聞いて二人は肝心の足立を見てみると

真剣な顔をしながら作業をしていて大丈夫かと思っていたのだが

「久実ちゃん・・・それ・・・去年のやつで計算終わってるわよ?」

まさかの計算するものを間違えており一からやり直す事になってしまった

「・・・本当に大丈夫なんですか?」



「・・・正直・・・俺も不安になってきた・・・」

次回はとある催しがあります!

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