島を離れて
今回は大会編前の準備回です
いよいよ明日には島を出発して開催地へと向かう事になった好夜達
やはり大会に参加する三人はそれぞれ色んな不安や緊張を持っておりとてもそわそわしていた
「・・・大丈夫かな〜・・・三人とも・・・」
今朝の晃平の様子を見て他の二人も同じように緊張しているはずだと思っている明希音
「いや・・・まぁ・・・晃平と好夜は大丈夫でしょ・・・問題は・・・」
するとそこに敬子が現れて二人に関してはおそらく緊張もどうにかできると判断していたが
問題は最後の一人である慶太が一番ダメなのではないかと考えていた
明希音はそんな事はないだろうと思って否定しようと思ったのだがその瞬間に
「オラァ瑞樹!!なんで何もないところで転けてるんだ?!試合でやったら即、大怪我だぞ?!」
外の方から慶太が転けたらしく先輩に怒られる声を聞いて何も言えなくなってしまった
「・・・本当にあれでスタメンで行って大丈夫なのかな〜・・・」
敬子は本当に彼がスタメンで大会を勝ち抜いていけるのだろうかと不安に思ってしまった
しかし部長である真島が認めている以上は何かを言う権利は自分にはないのですぐに諦める
「・・・そういえば明希音もボランティアに参加するのよね?他には誰かいるの?」
話を逸らそうと思った敬子はボランティアの話を思い出し明希音に残りの参加者について尋ねる
「実は・・・最初から手芸部の人達にお願いする予定だったようで・・・」
そう・・・このボランティアに関しては信用できる人物に任せたいと最初から思っていたので
香野は最初から自分が所属している部活のメンバーに頼んでみてもらおうと考えていたのだ
つまりたとえ命が明希音に言っていなかったとしても結局は誘われていたという事だ
「それって・・・いわゆる嵌められたってやつなんじゃないの・・・」
敬子はそれを聞いて完全に嵌められているではないかと呆れていた
「まぁ・・・でもおかげでいく決心はついたのである意味良かったと思ってます」
しかし命に言ってもらったからこそいく決心をつける事が出来たと思っていた
おそらく香野に言ってもらってもそんな決心はつかず行かなかっただろう
でも命に言ってもらい悩んだからこそ行く決心がついたのだ
「そっか・・・ならそれはそれで良かったのかな・・・」
一方その頃、生徒会室では明日から持って行く器具の準備と点検をしていた
「・・・なんか・・・かなり多くないですか・・・?」
そのあまりに多い機材の数に好夜は思わずそう呟いてしまった
「いやぁ〜・・・実はこれでもかなり減った方なんだよ?」
しかし香野の話ではこの生徒会を埋め尽くすような機材の数ですら減った方らしい
「前までは宣伝活動の為に大会の映像を使っていたからな・・・
今回は各大会用に一個のカメラだけでいいと言う事になってこの数まで減ったんだ」
どうやら去年までは大会の映像を使って高校の宣伝をしていたようなのだが
今年からはそれはあまり必要がないようで各部活に一つのカメラで良くなったそうだ
(それって・・・確実にこの人の全国準優勝が響いてるよな〜・・・)
好夜は数が減った理由は確実に目の前にいるこの人の影響なのだと思っていた
「それにしても・・・数が多すぎて充電が間に合いませんね・・・」
足立の言う通り数が多いので明日までに充電が終わる気配がなかった
「仕方ない・・・ここは先生達に幾つか渡しておいて家で充電してもらおうか・・・」
このままでは無理だと判断した生徒会長は先生達に
替えのバッテリーなどを持って帰ってもらいそれを家で充電してもらおうと考えていた
「まぁ・・・それしかないですよね・・・
いくら学校に集合って言っても一日中いるわけにはいきませんし・・・」
その意見には好夜も賛同していた
何故ならここに残っていたとしても充電しきった時にはすでに自分達は帰っているので
バッテリーを替えるという作業ができないのである
なので出来れば先生達に持ち帰ってもらい自分達の負担を減らしたかったのだ
「わかった・・・それでは俺はこれを持って先生達に交渉してくるからお前達は
出来るだけバッテリーの充電を済ませておいてくれ・・・
後、自分達が持ち帰るようのバッテリーも選んでおいてくれ」
そう言って生徒会長は幾つかのバッテリーを入れたダンボールを持って職員室へと向かっていった
「・・・そっそういえばれっ練習はいっいいの?」
すると命が部活の練習の方に出なくても大丈夫なのか尋ねる
「今日は明後日からの試合に備えてみんな自己練習する事になったんだよ
だから後で練習するから心配しなくてもいいよ」
どうやら今日はみんなで練習するよりもコンディションを整えておいた方がいいだろうと
判断されたようで今日は自己練習する事になったらしい
「そっそうなんだ・・・なっなら良かった・・・」
正直、命としては自分が仕事がちゃんと出来ていないので
部活を休ませてしまったと言う不安があったのだが
どうやらそういう訳でもなかったのホッと胸を撫で下ろしていた
「まぁ・・・大将にされてる分、頑張らないといけなんだけどな・・・」
そう・・・何故か好夜は新人大会のチームで大将を任されてしまう結果となっていた
「大丈夫よ!何だったら菓家だって新人の時は大将だったんだから!」
すると香野が生徒会長も新人の時に大将を任されていた事を告げる
「・・・因みにその時ってどうなりましたか・・・?」
どうしても気になってしまった好夜はその時の試合結果について尋ねる
「どうなるも何も・・・その時はストレート負けしたから戦ってないわよ?
だから二年生の時に個人戦で参加する事になったのよね〜・・・」
香野の話ではその時に圧倒的な実力があったにも関わらず試合をできなかったので
それを踏まえて二年生の時から生徒会長は個人戦に参加するようになったそうだ
「・・・それ・・・来年から俺もって事になりませんよね?」
その事実を聞いて一抹の不安を覚えた好夜は自分もそんな風になるのか尋ねる
「まぁ・・・今年で試合に出られなかったらあるかもしれないわね」
どうやら今年の試合で大会に出られなければその可能性は十分にあると告げられた
「・・・部活の奴らを鍛えた方が良かったかもしれない・・・!」
今更ながらに後悔し始める好夜に三人は何も声をかける事ができなかった
そして夕方になり全ての部活は終了しみんなは家へと帰っていく
晃平達も練習で使った用具などを片付けて家へと帰ろうと思っていると
校門の前で好夜達が明希音を含めた手芸部の部員と共に明日のスケジュールを確認していた
「おっ!ちょうど練習終わりなのか?晃平」
するとそれに気がついた好夜が晃平を呼び止めて自分達の方へを連れてくる
「悪いんだけど明希音の事を送ってもらっていいか?他のみんなは学校に近いんだけど
一人だけ遠いし反対方向だからさ・・・お願いできるか?」
どうやら遅くなってしまったので晃平に明希音に事を家まで送って欲しくて呼び止めたようだ
もちろんそれを断るような理由もないので晃平は快く引き受けてくれた
「いよいよ明日には島を渡るんだよね〜・・・中学の修学旅行の時以来かな〜・・・」
歩きながら明希音はいつぶりに島を出る事になるのかと考えていた
もちろんこの前まで中学生だったのでそんな頻繁に島から出た事などなく
おそらくは修学旅行の時以来ではないのかと本人は思っていた
「中学の時は向こうに大会に行く事もなかったからな・・・せいぜいこっちに来てもらうくらいか?」
晃平の言う通り中学の時となると向こうから誰かが来る事以外は特になかった
そしてそれを経験したからこそ好夜は視野を広げるべくして島を出て行った
「そうだね〜・・・晃平くんは向こうのお友達と会えたりしそうかな?」
島の外にいた晃平なので友達はもちろんいるだろうと思った明希音はその友達に会えそうか尋ねる
「さぁな・・・野球部だったやつは何人かいるがそこで会えるかどうかな別だからな・・・」
晃平の言う通り同じ部活をしているからといってその友達に会えるわけではない
それこそ同じ一年生なので大会には参加しない可能性の方が高いだろう
「それに・・・一番会いたかった友達にはいつでも会えるようになったしな・・・」
晃平からして見れば引っ越した後の友達も確かに大切ではあったが
それ以上に明希音や好夜達の方を大切に思っていたからこそ彼は一人で島に帰ってきたのだ
「・・・なんかそんな風に言うのは卑怯だと思うんですけど・・・」
予想していなかった明希音はそれを聞いて顔を真っ赤にして照れてしまっていた
そして日を跨ぎ朝日が昇り始めた時、好夜は目を覚まし着替えて学校へと向かっていた
「ふぁ〜・・・さすがに眠いな〜・・・船の上で寝るか・・・」
朝が早かった所為なのか好夜はとても眠そうにしていた
「だっ大丈夫?すっ少しねっ寝ていいよ?」
心配した命は今からでも少し仮眠をしたらどうかと尋ねる
「いや・・・さすがにこれを放って仮眠はできないでしょ・・・」
そう言っている好夜の目の前には大量の機材が置かれていた
これを先生と生徒会の全員で運ばないといけないのだがもちろん命達が持てるわけもなく
先生達も部活で使う用具などを運ばないといけないので実質、運ぶのは好夜と生徒会長の二人だけである
そんな状況で仮眠をとってサボってしまったら確実に間に合わないので寝てなどいられない
(・・・てか・・・これこそ後輩に任せればいいのでは?)
好夜は運びながらこの作業をテニス部の後輩に任せようと思わなかったのかと疑問に思っていた
「とにかくこれで準備は整ったしそれじゃあ玄関前に向かいますか!」
準備の終えた生徒会のメンバーは玄関前へと向かうと
そこにはすでに気合の入った部員達が集結していた
「・・・バスが来たな・・・!一人づつ詰めて乗り込めよ!」
先生の案内の元、点呼をしてもらった後で続々とバスへと乗り込んで行き
そして船着場について全員がいろんな想いを抱きながら船へと乗り島を離れていくのだった
次回からは新しいキャラが出てきます!
(大会編でしか出てこないけど・・・)




