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初登校

今日は高校生になって初の登校日です

翌日になり好夜は制服に袖を通して朝食を食べる

「行ってきま〜す!」

そして朝食が済むと玄関から勢い良く飛び出していった

何故なら今日は高校生になって初の登校日なのだ

「・・・あっ・・・」

しかし好夜はしばらく道を歩いていくと急に足を止め

その場で何か考え始めた

「・・・よし!」

そして何かを決めたのか来た道を戻って行ってしまう



「えっと・・・ここだったよな?」

好夜が戻って向かった場所は大きな古い家だった

正直三年も前のことなので好夜自身も場所はうろ覚えだった

しかし意を決して好夜はインターホンを鳴らす

『はい?どちら様ですかな?』

インターホンに出てくれたのは男の人だった

「如月 好夜です!命を迎えに来ました!」

そう・・・ここは命の家だったのだ

好夜は命を迎えに行こうと考えわざわざここまで戻ってきた

『好夜様でしたか!わかりました

 今すぐにお嬢様を呼んでまいります』

そしてインターホンに出てくれているのは

命の家に仕えている実喜(みのよし)さんと言う執事さんで

好夜とわかるとすぐに命を呼びに向かった

「・・・急にきちゃったけど大丈夫かな?」

何の考えもなく思いついたままに行動してしまった好夜は

待っている間に本当に来て良かったのか不安に思っていた



『お嬢様?よろしいですかな?』

実喜はすぐに命の部屋の前に行きノックする

「んっ・・・はい・・・大丈夫です・・・」

寝起きの命はそれを聞いて何の用かと思っていた

何故なら実喜はこんな時間に部屋に来ることなどないからだ

いつもなら自分で着替えてご飯を食べて学校に行くので

実喜がしてくれるのはご飯の用意だけなのだ

そんな実喜が何をしに来たのかと思っていると

『好夜様がお迎えに来てくれました』



「・・・えっ?・・・」






「えぇぇぇぇぇ?!!」



「にゃにゃにゃにゃんで?!」

もはや呂律が回らないほどに命は混乱していた

それも仕方ないと思う

何せ好きな人がまさか迎えに来てくれてるとは思っておらず

しかも自分は何も約束はしていないのに

相手がわざわざ来てくれたのだから尚更だ

そして命は焦っていた

何故なら自分はまだ寝起きの姿なのだ

別に見られているわけではないのに家の前に彼がいるというだけで

命は意識してしまい恥ずかしくなってしまっていた

『お嬢様・・・あまり時間をかけてしまうと好夜様に申し訳ないかと』

すると扉の前で現状を察した実喜が早くするように説得する

「!」

それを聞いた命は急いで着替えを終えそのまま部屋を出る

そしてリビングに行き朝ごはんを食べ自分が作ったお弁当を持って

「お待たせしました!!」

勢いよく玄関から飛び出た

「お・・・おう・・・」

その勢いに思わず好夜はたじろいでしまう

「あっ・・・・・」

そして好夜のその反応を見た命は急に恥ずかしくなってしまった

先ほどまで自分がどれだけ慌てていて

しかも好きな人の前でその勢いのまま

飛び出てきてしまったのだから当然だろう

この時の命はやり直したいと深く後悔した



「それにしても意外だったな〜

 命ってあんなに朝弱かったけ?」

普段ならこれくらいの時間に出ていたはずなので

大丈夫だと思ってきた好夜だったが

実際に来てみればまだ命は寝ていたらしく

自分が来たのを知って急いで玄関から出てきた

それを不思議に思って聞くと

「えっえっと・・・きっ昨日は全然寝れなくて・・・」

どうやら命は寝不足だったようだ

「そうだったのか〜」

好夜はそういう時もあるかと思いながらそのまま道を歩く

(よかった・・・寝不足の理由までは聞かれなかった・・・)

実は命が寝不足だった理由は好夜にあった

昨日のデートの後命は部屋に戻り

嬉しさのあまりベッドの上で転がり回り

そのまま気付いたら深夜まで嬉し恥ずかしく思い出していたのだ

そして結果として寝たのは昨日の夜ではなく今日の深夜だった

(さすがにこれは言えないよね・・・)

あまりの恥ずかしさに命は思い出して顔を赤くしてしまい

決してこの事は本人には言うまいと決めたのだった



「お〜い!二人とも〜!」



「おっ?慶太に敬子じゃん!おはよう!」

道を歩いてると後ろから慶太と敬子が

こっちに走ってきていた

「いや〜!朝から仲がいいね〜!」

慶太はまるで茶化すかのようにそう言って好夜の背中を叩く

「・・・そういうお前も仲がいいんじゃないか?

 敬子と一緒に登校だなんてよ・・・」

すると好夜はまるでやり返すかのように慶太を煽ってみると

「べべべ別に深い意味なんてないわよ!!」

敬子がなぜか恥ずかしがっており顔を赤くする

「えっ?別にそこであったから一緒に来ただけだぞ?

 そうじゃなきゃこいつと一緒に来るわけないだろ?」

しかし相変わらず慶太の空気の読めない発言が出てしまい

先ほどまで顔の赤かった敬子は冷え切った表情をしていた

(あっ・・・終わったな・・・)

全てを察した好夜は心の中で慶太に合掌するのだった



「それはどういう意味よぉぉぉぉぉ!!」



「ぎゃぁぁぁぁぁ?!!」

案の定慶太は敬子にプロレス技を決められるのだった

「・・・放っておくか・・・」

好夜と命はそのまま二人を放って学校へと向かった



しばらく道を歩いていると今度は晃平と明希音の姿が見えてきた

「お〜い!二人とも早いな!」

好夜達は二人に追いついて話しかける

「そりゃあ遅刻するわけにはいかないし

 俺のアパートは前の家より遠いからな・・・

 早めに出ておかないと間に合わないんだよ」

どうやら晃平は住んでいるアパートが前の家より遠いらしく

その為早起きしないと学校に間に合わないらしい

「へぇ〜・・・どんなところなんだ?」

好夜は興味本意で晃平の暮らしているアパートがどんな感じなのか聞く

「別に普通の場所だったよ?

 でも住んでる住人さんはとてもいい人そうだった〜」

するとなぜかその質問に答えたのは明希音だった

「・・・なんで明希音が答えるんだ?」

晃平も自分に向けられた質問なのになぜ答えると言った

「ん〜?特に意味はないよ〜?」

しかし明希音は特に悪びれる様子もなかった

確かにそんなに言われて困るようなものでもなかったし

特に問題もなかったので晃平は諦めることにした

「そういえば・・・慶太達とは一緒じゃなかったのか?」

そして晃平はようやく二人足りない事実に気が付いた

「あの二人は仲良く喧嘩中だ・・・」

好夜は毎度お馴染みのことをしていると告げると

「・・・いつになったら素直になるんだろうな・・・」

晃平もそこだけは変わらないのかと思って呆れていた



そして四人は学校に着きそのまま初の授業を受け

そのまま時刻は昼休みの時間となった

「・・・てか・・・なんでお前らは普通に勉強ついていけてるんだよ?!」

あれから敬子と仲良く遅刻しかけた慶太は

自分は高校の授業についていけてないのに

なぜ五人はついていけているんだと抗議していた

「いや・・・それは単純にお前が勉強してこなかったからだろ?」

そう晃平に言われた慶太は何も言い返せなかった

なぜならそれは図星だったからだ

「しょうがねぇだろ?!高校生になるんだし

 ちょっとはモテたいと思って色々調べてたんだよ!!」

どうやら慶太は高校デビューをしようと考えていたらしく

だから勉強そっちのけで色々調べ周り

結果としてこんな状況になったようだ

「・・・もはや自業自得しか言いようがないな・・・」

さすがに晃平もこれには呆れるしかなく

慶太の将来を心配するのだった

「てか好夜もついていけてることが不思議・・・

 ってあれ?そういえば好夜は?」

すると慶太がこの場にいない好夜に気が付きどうしたのか聞く

「好夜ならさっき売店に向かったわよ?」

敬子の話ではどうやら昼飯を買いに売店に向かったらしいが

「・・・そっか・・・あいつは知らないのか・・・

 売店の地獄を・・・」



「ゼェゼェ・・・!」

売店の地獄から帰って来れた好夜の戦利品はおにぎり一個だけだった

「まさかあんなに売店が混むとは思ってなかったぞ・・・」

どうやら売店戦争は思った以上に過激だったらしく

この中で運動神経が一番いい好夜でもダメだったようだ

「まぁ・・・知ってたけどな?」

しかし慶太達はこれについて知っていたようだ

「・・・なんで知ってるんだよ・・・」

慶太の言う通りよく見たらみんなはちゃんとお弁当を持ってきていた

好夜はなんで売店戦争を知っているのか聞くと

「だって俺達は敬子の姉ちゃんから普通に聞いてたし」

どうやら当時高校生だった敬子の姉が

この戦争について教えてくれていたらしい

「俺はそれを明希音から聞いた」

そして自分と同じく島から出ていた晃平は

すでに明希音から情報を得ていたらしい

「つまり何も知らずに行ったのは俺だけか・・・」

好夜は売店戦争に負けた悔しさと

みんなに教えてもらえなかった疎外感から泣きそうになっていた

「ごっごめんね!お詫びにこっこれ!」

すると申し訳ないと思った命がお弁当のおかずを分けてくれた

「命〜!お前だけは俺に優しいな〜!」

そして命の優しさに触れた好夜はとうとう泣き始めてしまった

((((そんなに凄まじかったのか・・・))))

その様子を見ていた四人はそんなにも売店戦争は凄かったのかと思っていた



「ごちそうさまでした!」

好夜達は昼飯を食べ終わりそのまま時間になるまで喋ることにした

「はぁ・・・できることならもう売店戦争はやだな・・・」

先ほど売店戦争を始めて経験した好夜は

もうしばらくは行きたくないと思っていた

「弁当作ってくればいいんじゃないか?」

すると晃平が自分でお弁当を作ればいいんじゃないかと提案する

「それもいいんだけどさ・・・部活とかバイトするようになったら

 さすがに自分で作る余裕はないよな〜・・・」

しかし今はそれでもいいとしてもこのまま部活やバイトを

始めてしまったらさすがにそんな余裕はなく

どうしようか考えていると

「それじゃあ命ちゃんにお弁当作ってもらったら?」



「「・・・へっ?」」



「あああ明希音ちゃん?!いいい一体何を?!」

まさかここで自分の名前が出てくるとは思っておらず命は焦った

「う〜ん・・・それだと命の迷惑にならないか?」

しかし好夜はそれだと命の迷惑になってしまうと考え

遠慮しようとすると

「だっ大丈夫だよ!お弁当はじっ自分で作るって決めてるから!

 ひっ一人分より二人分作る方がらっ楽だし!」

必死で命は弁明し始めて好夜はそれを見て思わず笑ってしまう

「それじゃあ悪いけど頼んでいいか?」



「うん!」



こうして命は二人分のお弁当を作るのが日課になったのだった

命の作るお弁当・・・どんなんだろう?

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