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夏祭り

今回は好夜と命がメインで祭りを回ります

翌日になり好夜は筋肉痛でベッドから起き上がれないでいた

(まさかここまで腕が上がらないとは・・・正直やばい・・・!)

あまりの衝撃に好夜は驚きを隠せないでいた

それほどまでに体力には自信のあった好夜の腕が上がらないでいた

「しかし・・・今から着替えて命のところに行かないと・・・!」

それでも好夜は行かなければならない理由があった

何故なら今日はみんなでお祭りを回る日なのだが命は昨日の怪我でまともに動けないので

好夜が背負って一緒にお祭りを回ろうと考えていたのだ

だからこそ今から命の元へと迎えに行かなければならない

「とにかくどうにかしてこの筋肉痛を治さないと・・・!」

好夜はなんとかベッドから起き上がり薬箱から筋肉痛に効く何かがないかを探していると

「・・・これを使うか・・・!」

見つけたのは塗れば少しは筋肉痛の痛みを軽減できる塗り薬だった

しかしあくまで気休めでしかないのでこんな状態で動かせば悪化するのは確実だろう

「・・・えぇい!背に腹は変えられん!!」

それでも好夜は何もないよりはマシだと思いそれを塗って命の家へと向かった

「ん?これはこれは好夜様・・・随分とお早いお着きですね?」

家の前まで向かうとそこではちょうど掃除をしている実善さんの姿があった

「言い出しっぺの俺が遅刻するわけにはいかないですからね・・・

 それよりも命はもう起きてるんですか?」

好夜はもう命が起きているのかどうか確認する

「起きてはいるのですが・・・残念ながらまだ歩くことはできないので

 今はお部屋でお休みになられておりますよ」

やはり怪我がかなり響いているようで歩くのすらままならず

今は部屋でゆっくりと休んでいるのだと実善さんは教えてくれた

「わかりました・・・それじゃあ居間の方で待たせてもらってもいいですか?」



それから好夜は居間に上がり命が着替えるのを待つ事にした

「実は今日は私の家内が来て命様の着替えを手伝っているのでしばらくお待ち下さい」

どうやら今日は実善さんの奥さんが来て命の着付けを手伝ってくれているらしい

「・・・今更なんですけど・・・実善さんの奥さんって何をしてるんですか?」

今更ながら思い出してみたのだがそういえば実善さんの奥さんが

どんな仕事をしているのか知らない好夜は何をしているのか尋ねる

「ああ・・・そういえば話しておりませんでしたね・・・家内は呉服屋を営んでいるのですよ

 なので今回も私の仕事の手伝いではなく自分の仕事で来ております」

どうやら奥さんの仕事は呉服屋を営んでいるようで今回の着付けもその仕事の一環だったようだ

「なるほど・・・あれ?ならどうして実善さんは使用人をしてるんですか?」

その話を聞いて好夜の中に一つの疑問が生まれた

それは実善さんは何故その呉服屋の手伝いではなく使用人をしているのかと言う事だった

「ああ・・・それは彼女と出会った理由が使用人だったからですよ」

すると実善さんは奥さんと出会った時の事を話してくれた

「私は元々、命様の家に仕えている家系だったので例外なく使用人となりました

 そしてこの島の計画が出て移住する者の中に彼女はいました・・・

 計画がうまくいき島の移住が終わった時に祝いの式を行う事になり

 その時に彼女のお店で奥方様の着物を見繕ってもらったのです

 それから程なくして私達は結婚しましたが・・・やはり自分の仕事を気に入っていたので

 お互いに今まで通りの仕事をするようになったのですよ・・・」

どうやら実善さんは今の仕事をしていたからこそ奥さんと出会う事ができ

お互いに今の仕事が好きだからこそこうして続けているのだと教えてくれた

「いい話ですね・・・ちなみにどちらが先に告白したんですか?」

好夜はついでにどちらが告白して結婚に至ったのかを確認すると

「それは私ですよ・・・正直な話をすると当時の私は恋愛対象にすら見られてはおらず

 これはまずいと思い彼女にお付き合いをするつもりで土下座をしたら結婚していました」



「いや・・・むしろ何を飛ばしたら結婚になるんですか・・・」

さすがの好夜もどんな飛ばし方をしたら結婚に至るのだと呆れていた

「ははは・・・まぁ若気の至りと言いますかね・・・それよりも準備ができたようですよ?」

そう言われて廊下の方を見るとそこには着付けを終えた命の姿があった

「どっどうでしょうか?にっ似合っていますか?」

命は少し不安になりながら今の自分の格好がどうか尋ねてくる

「とっても綺麗だよ・・・似合っているね」

好夜は素直に自分の思った気持ちを伝えた

すると命は顔を真っ赤にして頭から煙を出していた

「あらあら・・・命様ったら本番の前にもう倒れてしまいそうですね?」

そこへ後ろの方から綺麗な着物を着たお婆さんが現れた

「もしかして・・・実善さんの奥さんですか?」

好夜は先ほどの実善さんの話を聞いてもしかしてと思い確認してみる

「はい・・・いつも夫がお世話になっております・・・」

奥さんはとても丁寧な挨拶を交わしてくれそれを見た好夜は丁寧に挨拶を返した

「それよりも早く行きませんと遅刻してしまいますよ?」

すると後ろから腕時計を見ながら実善さんが時間はいいのかと聞いてきた

「そうだった!命!とにかく急ぐぞ!!」

それを見て好夜は急がないといけないと思い命を抱き上げて外に出て行った

「あらあら・・・若いって羨ましいですね〜・・・」

奥さんはそれを見てとても嬉しそうに微笑んでいた

「全くだ・・・出来る事ならこの光景をずっと見ていたいな・・・」

実善さんもこんな光景をずっと見続けていたいと思っていた

「そうですね・・・それが一番・・・幸せですよね・・・」

二人が楽しそうに走っていく姿を見て奥さんは幸せそうだと思い

そっと実善さんの方に近づいて手を握りしめた



二人が祭り会場の前まで向かうとそこにはすでに晃平と明希音の姿があった

「悪い!遅れた!!」

それを見て好夜は遅刻したと思い二人に対して頭を下げる

「いや・・・時間通りだから遅刻ではないだろ?おまけにまだ来てないのもいる・・・」

しかしどうやら二人が早く来ていただけのようでありまだ遅刻と呼べるほど時間は経っていなかった

さらに言うのならば本当に遅れているのはまだ二人いた

「いいからとっとと起きてシャキっとしなさいよ!!」

そこへ向うの方から大きな声を出しながら隣いる慶太に対して怒る敬子の姿が見えた

どうやら彼らが最後のようだ

「珍しいな?てっきりもっと掛かるかと思っていたんだが・・・」

晃平はその二人を見て本当に遅刻するのではないかと思っていたようだ

「私が迎えに行ってなければ本当に遅刻していたわよ?こいつ」

しかし敬子の話を聞くとどうやら慶太は先ほどまでずっと寝ていたようで

様子を見に来た敬子が起こさなければおそらくは遅刻していただろう

「しょうがねぇだろ?昨日まで徹夜で宿題をやってたんだからよ・・・

 おかげで普通に寝不足なんだよ・・・ふぁ〜・・・」

どうやら慶太は未だに眠いらしくあくびをして何やらフラフラになっていた

「いや・・・それどう考えても自業自得でしょうが・・・」

敬子はそれを聞いて結局は自分の所為ではないかと呆れていた

「どうでもいいが・・・早くしないと祭りに遅れるぞ?」

すると晃平がみんなに対して急ぐように告げる

「そうだった!今の内に出店とか回らないと花火の場所取りができなくなっちゃう!」

実は今日は最終日なので花火が上がる日でもあったのだ

なので急いで祭りを回らないと花火を見る為の場所がなくなってしまう恐れがあった

「ちょっ?!俺はお前らと違って急いだりできなんだよ!!」

その後ろを命を抱き上げて付いていく好夜だった



「・・・思ったんだが・・・六人で回るって邪魔じゃないか?」

少しだけ祭りを回った頃、好夜はこんな大所帯で祭りを回ってていいのかと口にする

「確かに・・・少し邪魔になるかもしれないな・・・時間も掛かり過ぎる」

晃平もこのままだとみんなの行きたい場所を回っている間に時間になってしまうと思っており

みんなと話し合って別れて祭りを回る事にした

もちろん命の面倒を見る事になっている好夜は彼女と一緒である

「命はどこか見に行きたいとかあるか?」

好夜は正直な話この祭りに参加するのは中学の時以来なので

どこに何の出店が出ているのか分からず命の行きたい場所に先に向かう事にした

「そっそれなら一ついっ行きたい場所があるんです・・・」

すると命は珍しく自分の意思で行きたい場所があったらしい

それを聞いてもちろん好夜は驚いたがすぐに場所を聞いてそこへ向かった

「いらっしゃい!ってあれ?命ちゃんじゃない?!どうしたの?!」

どうやら命が来たかったのは前に手伝いをしていた和菓子屋の出店だったようだ

そのお店に着くと店主と思わしき人が命の姿を見て心配していた

「そっか〜・・・あの舞の練習で怪我をね〜・・・そんな事ちっとも知らないで見惚れちゃってたわ〜」

店主はまるで不覚と言わんばかりのため息を吐いており

命はそんなに気にするような事ではないと慰める

「でも実際、凄かったわよ〜!他のお祭りに来てた人なんて私と同じで見惚れてたし

 テレビの取材とかが来てなかったのがおかしいなんて言ってたんだから!」

そこまで褒めてくれる店主の姿を見て二人は頑張った甲斐があったと思っていた

「とりあえずこれはウチからのお祝いね!ゆっくり食べて行って!」

するとそこへお店の人がトレイに乗せた和菓子を持ってきてくれた

どうやら店主があの舞を見せてくれたお礼だという話だ

「ありがとうございます!いただきます!」

二人はその和菓子を食べてとても幸せそうな顔をしていた

次回は晃平と明希音のペアと慶太と敬子のペアの話です

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