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甘い瞬間

今回は好夜と命のお話です

「う〜ん・・・どうしよう・・・」

命はとある和菓子店の調理場で絶賛頭を悩ませていた

その理由は実はこのお店は命の祖父の知人が営んでいるお店で

いつも夏になるとその年の定番になりそうな和菓子を製作するのだが

命はこれに中学生の頃から参加させてもらっていたのだ

そして今回もそれに参加して新しい和菓子を製作しようと調理場に立ったのだが

イマイチ良いアイディアが浮かばず色々と考えながら作っていた

「やっぱり夏だから涼しい物を連想できたら嬉しいんだけど・・・

 それでも高くなりすぎるてもダメだし・・・できればお手頃に済ませたい・・・」

できる事なら安く手頃に食べて欲しいと命は思っておりどうにかコストを抑えたいと感じていた

しかし凝りたいと思っているのも事実なのでどうしようかと悩んでしまう

「お嬢様・・・少し気分転換に外に出かけられてはどうですか?」

そこへ執事である実善さんが現れて先ほどから気を張っている命に気分転換するように伝える

「・・・わっわかりました・・・」

命もこのままではダメだと感じていたのでとりあえず言う通りに外へと向かった

しかしそれでもどうすればいいのかとずっと考える一方だった

「いらっしゃいませ〜良ければ取っていきませんか〜?!」

すると前の方から知っている声が聞こえてきたので顔を上げてみると

そこには喫茶店の衣装を着てお客さんを呼んでいる好夜の姿があった

「あれ?命か!何してるんだ?こんなところで」

命に気配に気がついた好夜は手を振って呼んでいた

「えっえっと・・・なっ何をしているんですか?」

それに応えるように命は傍まで向かいここで何をしているのか尋ねる

「バイトだよバイト!夏の間だけここでバイトさせてもらってるんだ」

どうやら好夜はここで夏休みのバイトをしていたらしい



「そっそうだったんだね・・・はっ初めてしっ知りました・・・!」

命はそんな事を知らなかったのでとても驚いていた

「・・・命も寄っていかないか?俺が奢ってやるからよ!」

すると好夜は何かに気がついたのか命に自分のお店に寄るように言う

「そっそんなのわっ悪いよ・・・!ちゃっちゃんとじっ自分で払うよ・・・!」

しかし命は遠慮してお金なら自分で払うと言っていた

「・・・でも・・・お金持ってるのか?」

好夜にそう言われて命は自分の姿を思い出す

今日は和菓子店のお手伝いをするだけだったので財布は置いてきていたし

しかも今は実善さんもここにはいなかったのでお金を払う方法がなかった

「とにかく今日は俺が払うから遠慮しないで食べて行ってくれ」

そんな命に思わず笑ってしまう好夜はそのまま店の中へと案内する

「・・・おや?好夜くんその子はどうしたんだい?」

中に入ると店長であるダンディなおじさんが命の事を聞く

「俺の幼馴染の命です

 店長!今日は俺のおごりで何かご馳走してもらえないですか?」

好夜は命に何か奢ってほしいとお願いする

「わかったよ・・・それじゃあそこの席で待っていてもらえるかい?」

店長は了解と言って命に席で待っているように伝える

「それじゃあ俺はまた店の前でチラシとか配ってきますね!」

そして好夜は先ほどのように店を出てチラシを配りに向かった

「やれやれ・・・彼も働いてくれるのはいいんだけど・・・大抵やりすぎてしまうんだよね・・・」

それを見ていた店長はその元気すぎるのに姿に思わずため息が出てしまう

「あははは・・・」

命もそんな好夜を見たことがあるので思わず苦笑い

「まぁいいや・・・それじゃあ少し時間がかかるけど待っていてね」



しばらくすると店長がサンドイッチとコーヒーを持って現れた

(・・・あれ?・・・二つある?)

しかしトレイに乗せられたサンドイッチとコーヒーは二つずつあった

「これは好夜くんの分だよ・・・好夜くん!休憩に入ってくれ!」

どうやら店長さんは気を利かせてくれたらしく外にいる好夜に休憩に入るように伝える

「わかりました〜!それじゃあ相席失礼するな?」

実は好夜のおかげで喫茶店は満席になっており他に座るスペースがなかったのだ

しかしそれで命は好夜と一緒に座れるのである意味、ラッキーだろう

「なるほどな〜・・・和菓子のアイディアか〜・・・」

休憩をしながら命の話を聞いていた好夜は和菓子のアイディアと聞いて色々と考える

「やっぱり夏の和菓子っていうと寒天とかかな〜・・・でもな〜・・・他のも美味しいんだよな〜

 ・・・!ならその和菓子を夏風に変えればいいのか!」

確かに夏場の和菓子の定番といえば寒天もあり得るのだが

それ以外にも美味しい和菓子はたくさんあった

ならばその和菓子を夏風に変えればいいのではないかと好夜は考える

「たっ確かに・・・でっでもどんなかっ感じにするか・・・あっあと材料も・・・」

命はそうなった場合どんな感じの和菓子にすればいいのかとどんな材料を作るのかで悩む

「夏ならではの材料か〜・・・やっぱりスイカとかメロンかな?」

それを聞いて好夜は和菓子で使う夏ならではの果物などを挙げていく

「でっでもそれだとかっかなりのコストがかっ掛かってしまいます・・・

 でっできればみっみんなにたっ食べてもらいたいのでもっもう少しみんなにちっ近しい物を・・・」

しかしあまり高すぎると作る和菓子の値段も上がってしまうので

命はみんなに食べてもらえる値段の材料はないかと考える

「う〜ん・・・みんなで食べられる果物か〜・・・」

好夜はそんなに都合のいい果物があるかどうか考え始める

「やっやっぱりつっ都合がよっ良すぎるでしょうか・・・」



「いや・・・命らしくていいと俺は思うよ・・・やっぱりみんなで食べた方が美味しいしな!」

しかし好夜はそれに対して文句を言わずむしろいい考えだと言って賞賛していた

それを聞いて命も安心してホッと胸を撫で下ろした

「でもやっぱり問題は食材だよな〜・・・店長にも聞いてみるか!」

好夜は他の人の意見も聞いた方がいいだろうと思い店長にも聞いてみる事にした

「なるほど・・・和菓子に合いそうな食材ですか・・・それならブドウなんてどうですか?」

すると店長は和菓子の食材にブドウを使うのはどうかと言っていた

「ブッブドウ・・・でっですか?」

あまり和菓子としてのイメージがないブドウの名前を聞いて命は少し驚いていた

「そうだよ・・・ブドウはちょうど夏の時期に一番取れる果物だからね

 それに・・・いちごやリンゴとかと違って和菓子のイメージがないから新鮮だと思うよ」

確かに店長の言う通り和菓子の中にブドウのイメージはあまりなかった

それにコストという面でも安いものならスイカやメロンよりも安いだろう

「なるほど・・・それなら次の問題はそのブドウでどんな和菓子を作るかだな・・・」

好夜はそのブドウを採用する事を決定し次にどんな和菓子を作るのかを考え始める

「ブッブドウに合いそうなわっ和菓子・・・」

命もどんな和菓子にすればブドウに合うのかと思っていると

「それならこれからブドウを買って色々と試したらどうだい?

 ちょうど好夜くんも今日はもうお仕事はないはずだから荷物持ちに」

店長さんが気を利かせて好夜にもう仕事を切り上げて命のお手伝いをするように伝える

「いいんですか?!ありがとうございます!それじゃあ着替えてくるから待っててくれ!」

それを聞いて好夜は早速、更衣室に戻り制服を着替え始めた

そして数分もしないで着替えを終えた好夜が裏から出てきた

「待たせたな!それじゃあ早速お店に向かうか!」

好夜はそのまま早速、八百屋に向かってブドウを買いに行こうとすると

「・・・わっ私・・・おっお金・・・もっ持ってない・・・」



「ごっごめんね?にっ荷物をもっ持ってくれるだけじゃなくておっお金まで・・・」

命はお金まで払ってもらった上に荷物を持たせてしまって申し訳ないと思っていた

「別に構わないって!これくらいどうってことないからよ!」

しかし好夜はそんなに謝ることはないと言って命を励ますが

(実際はめちゃくちゃ懐が寂しくなったんだけどな・・・後で実善さんに請求しよう・・・)

結構な数のブドウを買ったのでそれなりに値段はかかり

好夜の財布はすでに空になろうとしていたので実善さんに払ってもらおうと考えていた

「問題はやっぱりこれでどんな和菓子を作るかってことか〜・・・

 正直、素人の俺はなんとも言えないな〜・・・」

そこまで和菓子に詳しくない好夜はどんな和菓子を作るべきなのか考えられないでいた

「かっ考えるのはわっ私だけじゅっ十分だよ・・・!

 こっこれ以上、こっ好夜くんにおっお世話になれないよ・・・!」

命はこれ以上は好夜のお世話になれないので考えて作るのは自分だけでやると言っていた

「そうか?悪いな・・・最後まで力になれなくて・・・」

それを聞いて好夜は最後まで力になれなくてとても残念だという顔をしていた

「うっううん・・・もっもう十分、ちっ力になってくれたよ・・・こっ好夜くんは・・・」

しかし命からしてみればいつもこんな風に彼は自分に力を貸してくれる

そんな彼だからこそ自分はこんなにも好きになったのだと思っていた

(・・・そうだ・・・!あれを作ってみよう・・・!)

すると命は何かを思い出したらしくそれをブドウで作ろうと考えた

「・・・どうやらなんか思いついたみたいだな・・・!それじゃあ急いでお店に向かうとするか!」

二人は急いでお店に向かい命はブドウを持って厨房に入り早速その和菓子を作り始めていた

「でっできました・・・!どっどうぞ・・・!」

そしてしばらくすると命がトレイを持ってやってきた

「・・・これが命の考えた和菓子か・・・!」

そのトレイに乗っていたのはなんと羊羹だった



「うん・・・!めちゃくちゃ美味しい!」

それを一口食べた好夜は素直に美味しいと思っていた

なんとその羊羹の中には丸ごとブドウが使われていたのだ

「よっ良かった・・・!」

命はその一言を聞いてとても安心していた

そしてどうしてこの羊羹を作ったのかというと

実はこの羊羹こそが命が好夜と始めて一緒に食べた和菓子だったのだ

その思い出を使ってこの新しい和菓子を生み出した

そしてこの思い出の羊羹はこの夏、島で最も多く売れたのだった

みなさんにとっての思い出のお菓子は何かな?

ちなみに作者はビスコです

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