地獄の宿題
今回は宿題をみんなで頑張ります
一学期が終わりいよいよ夏休みに入った好夜達
そして今日はこれからの夏休みを楽しく過ごす為に宿題を終わらせようとしていた
「・・・どんだけ出されてんだよ・・・」
宿題を手伝ってもらおうと考えていた慶太だったのだが
好夜と晃平の二人はそのあまりに多い宿題の量に驚いていた
「明らかに倍どころの騒ぎではないな・・・これは今日中には終わらないぞ・・・」
さすがにこれだけの量では今日中に終わらせるのは無理な気がしていた
しかし二人の手伝い無しでは絶対に終わらないと慶太も思っているらしく
「お願いします!なんでもしますから手伝ってください!!」
慶太は凄まじい勢いで土下座を決めて宿題を手伝って欲しいとお願いする
「いやまぁ・・・手伝うのはいいが・・・さすがに俺は自分の宿題もあるしな・・・」
しかしもちろん二人も自分の宿題があるので全てを手伝うわけにはいかないので
どうすればいいのか考えていると晃平は諦めたかのようにため息を吐いて
「しょうがないか・・・俺が手伝ってやるからできるだけ終わらせるぞ・・・」
晃平は自分の宿題を諦めて今日は慶太をみっちり教えることにしたのだ
「本当・・・すいません・・・」
これには慶太も頭を下げるしかなく感謝の気持ちでいっぱいだった
こうして三人は黙々と宿題を進めていった
「・・・そういえば・・・晃平の部屋って特に何にもないんだな?」
すると慶太が辺りを見回して普通の男子の部屋にしては何もないなと思っていた
彼らが今、勉強しているのは晃平のマンションだったのだ
「そうは言われてもな・・・必要不可欠な物はちゃんと揃ってるからな・・・
てかお前はまず勉強を終わらせろ」
どうやら晃平は必要不可欠な物以外は入れない主義らしく
それでこんなにも普通で生活感のない部屋になっているらしい
「確かにそれは思うけど・・・それ以外の何かも目立つんだが?」
どうやら好夜はすでに何かを見つけていたらしくニヤニヤしていた
「?一体何の話をしているんだ?」
晃平も何を言っているのか分からず首を傾げていると
「さすがの俺もそこに女性物のパジャマを置いておくのはどうかと思うぞ?」
そう言って好夜が指を差した方向には女物のパジャマが置かれていた
その持ち主は間違いなく明希音だろう
晃平が引っ越してきた時に荷解きを手伝うと言って泊まっていったのだ
そしてそれを今更になって好夜が見つけてしまった
「ああ・・・それは明希音が置いていった物だ」
しかし晃平はそれに恥ずかしがる事なく事実を告げた
「・・・お前・・・すごいな・・・」
その堂々とした姿に好夜は思わず感心してしまった
「そうか?あいつならお前らだって納得だろ?」
それを聞いて好夜も慶太も納得してしまっていた
彼らの事を考えたら確かに明希音以外にありえないと思えるほどだった
「それにお前らだって命とか敬子が泊まる事だってあるんじゃないか?」
晃平は二人に命と敬子が泊まったりするのではないかと告げるが
「いや・・・俺は面倒な事になるからさすがに遠慮するわ・・・」
好夜はもし命が来てしまったら両親が暴走しそうなので絶対に泊まらせないと言っており
「俺もな〜・・・親は大歓迎だけど全力で阻止する・・・!」
慶太は自分が来てほしくないから絶対に泊まらせないと宣言していた
「・・・随分と必死だな・・・お前ら・・・」
これには晃平もどんだけ必死なのだと呆れるしかなかった
「そういえば・・・命達の方は何やってるんだろうな・・・」
話題をした所為なのか好夜は命達が何をしているのか気になった
一方の命達も宿題をしに命の家に来ており休憩の為に命と明希音の二人はお菓子づくりをしていた
「毎回思うけど・・・あんたら手際良すぎない?」
二人の作業スピードを見ていた敬子は明らかに手際が良すぎると思っていた
「そうでしょうか?確かに慣れれば早くなりますね」
そう言いながらも明希音は作業のスピードを全然緩めてはいなかった
「・・・慣れだけの速度か・・・?」
しかし敬子はそれを見て明らかに慣れだけの速度ではないと思っていた
「えっえっと・・・あっ後はレッレンジでやっ焼くだけだよ?」
すると一通りの作業が終わったらしく命はレンジで生地を焼く準備をしていた
「ありがとうございます
私の方ももうすぐ終わるので少しだけ待っていってくださいね」
それを聞いた明希音は生地を作るスピードを速め始めそしてすぐに完成させた
「私の方も終わりました
それではレンジに入れて焼きましょうか?」
そして二人はできた生地をレンジに入れて焼き上がるまで宿題をしようと部屋に戻っていった
「なんかあんだけのものを見せられるとそこら辺の女子は形無しね・・・」
先ほどの光景を見ていた敬子は普通の女子なら間違いなく二人に勝てないと悟った
「あはは・・・さすがにそこまで達人じゃありませんよ・・・」
これはさすがの明希音もそこまですごくはないと否定する
しかし敬子からして見ればそれくらいすごい事だと思っているみたいだ
「でも普通に好きな人を満足させられるならそれに越した事はないですね」
明希音は達人じゃなくてもいいから好きな人を満足はさせたいと思っているみたいだ
それに対して命も顔を真っ赤にしながらも首を縦に振って肯定する
「はいはいご馳走様です・・・てか命に関しては別にちゃんと肯定しなくてもわかってるから」
敬子はもうお腹いっぱいとばかりにもう大丈夫だと伝える
「できましたよ〜!みんなで食べましょう!」
そして数分するとようやく作っていたクッキーが出来上がったらしく
明希音が大量のクッキーを持って部屋へと入ってきた
「う〜ん!やっぱり二人が作ったものは美味しいわ〜・・・」
敬子は一個を口に入れてその美味しさを噛み締めがならさすがだと思っていた
「確かに美味しいですね〜・・・後で好夜くん達にお裾分けに行きましょうか?」
明希音もかなりいい出来だと思っており後でみんなにもお裾分けに行こうと命に提案する
「うっうん・・・!」
それを聞いて命は恥ずかしながらもちゃんと行くと返事をする
「それじゃあ頑張って宿題を終わらせましょう」
明希音は早めに宿題を終わらせてみんなのところに行こうと告げると
命は必死で宿題を終わらせようと頑張り始めた
((・・・微笑ましいな・・・))
二人はその健気な姿を見てとても微笑ましく思っていた
こうして三人の頑張りで結構早めに宿題は終わり
先ほどのお菓子を持って晃平の家へと向かった
明希音は代表してインターホンを押す
『はい・・・どちら様でしょうか・・・』
インターホンに出たのはおそらく晃平なのだろうが明らかに元気がなかった
「明希音です
クッキーをお裾分けに来たんでけど大丈夫ですか?」
明希音はお裾分けに来たから中に入っても大丈夫か確認すると
『ああ・・・少し散らかっているが大丈夫だ・・・今から行く・・・』
どうやら中に入っても大丈夫なようだが明らかに晃平の様子がおかしかった
そしてようやく晃平が入り口を開けて部屋の中に入れたのだが
その中は三人が想像していた以上に凄まじい光景が広がっていた
「・・・もう・・・無理・・・死ぬ・・・」
それが好夜が第一声で放った言葉だった
彼の床には大量の宿題のプリントが転がっており
しかもそこには汚い字で無理やダメだという言葉が書かれていた
そしてその散らかった部屋の先には燃え尽きて真っ白になっている慶太の姿があった
「ああ・・・そういう事ね・・・」
敬子はその姿を見てどうしてこうなったのかを悟った
おそらく二人は慶太の宿題を手伝っていたのだろうが
もう彼の頭の悪さに付き合いきれなくなって先に倒れてしまったのだろう
「あいつの宿題を手伝うなんてあんたらも勇気あるわね〜・・・
前に付き合った事のある私からして見れば普通にバカよ?こいつ」
それに関してはこの二人もわかってはいただろう
しかしその想像すら超えるほどこの慶太という男はバカだったのだ
「はぁ・・・これじゃあ夏休み中に宿題が終わるのかすら不安になるぞ・・・」
晃平はこの調子だったら本当に宿題が終わらないのではと思っていた
「普通に無理なんじゃない?こいつのやる気が出ない限りはだけど・・・」
彼の宿題に何度も付き合った事のある敬子は普通のやり方では絶対に無理だと告げる
しかし彼のやる気さえどうにかなればなるはずだとも思っていた
「・・・どうすればやる気になると思う?」
復活した好夜はどうすれば彼がやる気になるのか聞く
「そうね〜・・・なら今回はあれでいくか・・・」
敬子は色々と考えて一つだけ思いついたらしく慶太のところへ行き耳元で何かを告げると
「うぉぉぉぉぉ!!」
いきなり復活した慶太が凄まじい勢いで宿題を進めていく
「めちゃくちゃすごいな・・・そんなに効果あるのか・・・」
好夜はやる気が出ただけでここまですごいのかと思っていると
「そうだな・・・ほとんど間違っているけどな・・・」
それを聞いてここにいる全員がこう思った
(((((多分再提出になるんだろうな・・・)))))
こうして凄まじい力を発揮した慶太だったがそれでも半分くらいしか終わらず
その瞬間に彼の電池も切れてしまったらしく再び真っ白に燃え尽きた
「まぁ・・・これだけ頑張ったんだから十分だろ・・・
それよりも明希音達の持ってきたクッキーを食べるか」
晃平は今日の宿題を終わらせて明希音達の持ってきたクッキーを食べる事にした
「うん!やっぱり美味しいな!頭を使った後には最高だわ!!」
好夜はクッキーを食べて大満足をしておりそれを見た命はとても嬉しそうにしていた
「頑張って作った甲斐があったね?」
それを見た明希音はよかったねと話していた
「うっうん・・・!」
命はそれを嬉しそうに肯定し自分もクッキーを幸せそうに食べる
「・・・そういえばお前はいつになったらあのパジャマを持って帰るんだ?」
すると晃平は先ほどのパジャマをいつまで置いていくのかと聞く
「だってまた泊まりに来るかもしれないじゃないですか」
しかし明希音は持って帰る気など一つもないようだ
「全く・・・仕方のない奴だ・・・」
果たして無事に宿題は終わるのだろうか?(特に慶太は)




