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再会の日

いよいよ物語が本格スタート!

あれから三年の月日が流れた

あの日は帰ってきてすぐに命は部屋にこもり泣きじゃくった

それこそ一生分の涙が出たと思うくらいだ

それでも命は約束の為に弱音を吐くわけにはいかなかった

好夜が帰ってきた時に笑顔で迎えることができるようにするために

彼にこれ以上の心配を掛けないために

しかし最初は学校にすら行くのが憂鬱だった

もうそこに好夜はいないから・・・

それでも頑張って行けば必ず三人には会えた

慶太に敬子そして明希音

明希音はあれからずっと晃平と連絡を取り合っていた

そのおかげか離れていてもそこまで不安はなかったらしい

慶太と敬子は相変わらず仲良く喧嘩をしている

命からして見ればいつ敬子が素直になってくれるのかと思って

心配になって見守ってしまうくらいだ

そして・・・神居祭にも行った・・・

本来ならば六人揃って行くはずだったお祭り

しかしそこには好夜と晃平・・・二人の姿はなく

彼らは四人だけでそのお祭りを回った

時折慶太が気を利かせて笑わせようとふざけたことをし

それを敬子がツッコむ

その姿を見て少しだけだが命は元気をもらえた

最後に彼らは花火を見に行った

とても大きく綺麗に夜の空を彩っていた

だが・・・それでも隣には彼がいない・・・

そんな虚しく悲しい気持ちが命の心にはあった



そして今日・・・命は高校生になる



「命〜!早く行かないと遅刻するわよ〜!」

あの日から朝になると敬子が命のことを迎えに来てくれた

おそらく命を心配してくれてのことだろう

もちろんそれを命も理解しており感謝していた

「いっ今行く!」

命は急いで制服に袖を通し玄関へと向かう

「行ってきます!」



「全く・・・入学式に遅刻とかシャレにならないわよ?」

入学式から遅刻しそうになっている敬子は歩きながら命を叱る

「ごめん・・・夢を見てたから・・・」

どうやら命はその夢がとてもいいものだったらしく

それを見ていて遅刻しそうになったらしい

「へぇ〜どんな夢?」

敬子は何も気にせずにどんな夢だったのか聞くと



「・・・好夜くんの夢・・・」



「・・・・・」

敬子は黙り込んでしまった

それもそうだ

まさか命の見ていた夢が好夜のことだとは思ってなかったのだから

そしてそれについては長らく黙っていたことの一つでもあった

もし命の前で彼の話をしてしまえば

きっと辛い思いをさせてしまう

そう思ったからこそこの三年間はずっとその話題を避けてきた

しかし今日は命自身から好夜のことを思い出す発言が出てきたのだ

そしてそれはこの三年間ずっと命が彼のことを忘れたことなどない

それを証明するにあまりあるものだった

「・・・どんな夢だったの?」

敬子は意を決して夢の内容を尋ねてみる

「・・・好夜くんが帰ってきてた・・・それだけ・・・」

それを聞いた敬子はやはりかと思っていた

確かに他の人からしてみればたったそれだけのことだろう

しかし命にとってはそれが一番望んでいる事だった

その想いはこの三年間ずっと変わることはなかっただろう

だからこそ今日この日そんな淡い夢を見たのだ

「ごめんね・・・変な話しちゃって・・・」

命はそう言って申し訳なさそうな顔をしていた

「命・・・」

敬子もそんな顔をしている命を

どうやって慰めればいいのかわからずただ見つめることしかできなかった



「おい〜っす!二人ともおはよう!

 あれ〜?なんだなんだ?朝っぱらからテンション低いぞ〜?」

そしてここで一番来てほしくない空気の読めない男慶太が参上した

「・・・こんのお馬鹿がぁぁぁぁぁ!!」



「ブゴォォォォォ?!」



「ちょっとは空気を読みなさいよね?!

 一体いくつになったらそれくらいわかるのよ?!」

敬子は慶太にハイキックをかましそのまま説教をする

「グォォォ・・・」

しかし予想外の威力で喰らってしまった慶太は

そんなものを聞く余裕はなかった

「全く・・・」

そして一通りに説教が終わった敬子はため息を吐いて呆れる

「なぁ・・・」



「何よ?」



「さすがにスカートでハイキックはダメじゃね?」



「なっ?!

 そういうところがダメだって言ってるでしょうがぁぁぁぁぁ!!」



「ゴフゥ?!」

どうやら先ほどの蹴りでスカートの中が見えてしまったらしく

慶太がそのことを指摘した瞬間に

彼は地面と熱烈なキスをする羽目となった

「・・・ふふふ」

いつもと変わらないその光景を見て

少しだけだが命も元気が出てきた

「ふん!命行きましょう!」

敬子は制裁を終えると一緒に学校へと向かう為に歩き出す

そして命も後ろから追いかけて横断歩道を渡っていた

その時だった



「?!」



なぜか赤信号を突っ込んでくるトラックの姿があったのだ

このままでは命が引かれてしまう

「命!」

慶太と敬子は必死で命の方を向き手を伸ばそうとするが

確実に届かない

もうダメだと思ったその時

誰かが命を担いで歩道を駆け抜けた






「あっぶね〜・・・大丈夫か?命?」






「好夜・・・くん・・・?」






「おう!戻ってきたぜ!」

命は驚いていた

それこそ今の状況が飲み込めないくらいに

なぜなら三年間ずっと想い続けていた人が目の前にいるのだ

しかもそれは今朝見た夢なのではなく現実でだ

(どうしよう・・・とりあえず笑顔で迎えなきゃ・・・)

命はずっと考えていた

どうすれば好夜が帰ってきた時に嬉しいと思うのか

だから帰ってきたらとりあえず笑顔で迎えようと考えていた

そして今それを実践しようとするができなかった






「・・・あれ?・・・」






なぜならすでに命の目から涙が出ていたからだ







「・・・好夜・・・くん・・・私・・・私・・・!」

そしてもう・・・命の心は限界だった

命は好夜に抱きつきながら泣いてしまった

笑顔で迎えるそんな考えを無視するかのように

涙が出てしまったからだ

だがこれは仕方のないことだ

三年間も想い続けた人が目の前に現れてくれたのだ

嬉しい思いでいっぱいになってしまうと同時に

これまでどれだけ寂しかったのか思い出してしまったのだから

命は失敗したと思っていた

笑顔で迎えるはずがこんなに泣いた姿を見せてしまい

三年間でこんなにも成長したのだと思わせることができなかった

・・・だが・・・






「・・・ただいま・・・」






好夜は笑顔で答えてくれた






ひとしきり泣いた命はようやく泣き終わり

好夜から離れた

慶太と敬子もそれを見てよかったと安心していたが

「あっ・・・学校」



「・・・急げぇぇぇぇぇ!!」



好夜は命をお姫様抱っこし学校に向かって走り出し

慶太と敬子は命の荷物を持って急いで後をついていく

「なんで毎回こんなことになるのよ?!」

まさかの再会して早々にこんなことになると思っていなかった敬子は

どうしてこうなるのだと嘆いていた

「今はそんなことを考えずに走るんだ!

 考えるな!感じろぉぉぉぉぉ!!」

それに対して慶太は今は走ることだけに集中するように言った

「それって意味が違うでしょうがぁぁぁぁぁ!!」



「ハァ・・・ハァ・・・間に・・・合った・・・!」

三人の全力疾走の甲斐がありなんとか入学式には間に合った

そのまま四人は入学式を迎えはれて高校生となった

「・・・そういえば俺達何組だ?」

そして入学式が終わりそれぞれの教室に向かおうとしていたのだが

彼らは自分の教室がどこなのかわかっていなかった

なぜなら急いでいた彼らはクラス分けを見ていないのだ

「・・・どうしよう?」

好夜は三人にどうしようか聞いていると



「好夜と命は俺と同じ一組だぞ」



「?!晃平!!」

懐かしい声が聞こえて振り返るとそこには

好夜と同じく島を出て行った晃平がいた

「ちなみに慶太くんと敬子ちゃんは私と同じ二組だよ」

そしてその後ろには明希音が嬉しそうに控えていた

「お前も帰ってきてたのか!!」

慶太は嬉しそうに晃平に近づいていく

「ああ・・・高校入学と同時に一人暮らしをするってことになってな

 どうせだから馴染みのあったここで暮らすことにしたんだ」

どうやら晃平は一人暮らしをするためにここへ戻ってきたらしい

「そうなのか〜!これでようやく幼馴染六人揃ったぜ!」

慶太はようやく揃った幼馴染達を見て大いに喜んでいた

「いや〜!なんだが昔に戻ったみたいだな!」

好夜はまるで昔に戻ったみたいだと言っていた

「うん・・・!そうだね」

それを聞いた命も嬉しそうにしていた

なぜなら命にとっては本当に昔に戻っているのだ



いや・・・ようやく動き出したのだ・・・



止まっていたはずのあの時間が・・・



そして担当の先生からの挨拶が終わり

使用する教科書の配布が終わると今日は解散となった

「・・・重い・・・」

慶太は渡された教科書の重さにまいっていた

「確かに・・・なんでいっぺんに持ち帰らせようとするんだろう」

敬子もなんでこんなに重いのをいっぺんに持って

帰らなければならないのだと思っていた

「大丈夫?好夜くん」

それを横目に命は自分の分の教科書を持ってくれている好夜を心配していた

「全然平気だぞ?これくらいなら旅の中でいつも持って歩いてくらいだしな」

しかし好夜からしてみればこれくらいの重さはすでに旅の中で慣れたものだった

「そういえばあれからどうしてたんだ?」

晃平は自分と別れてからどうしていたのか好夜に聞く

「普通に日本を回ってたぞ?

 おかげで三年もかかちまったけどな!」

なんと好夜はこの三年で日本を全て回ったと宣言していた

「・・・どんな生活してたんだよ・・・お前・・・」

晃平はそれを聞いて呆れてしまっていた

「まぁそれが好夜くんだしね」

明希音はそれが好夜だと言ってあきらめていた

「・・・お前ら・・なんで久しぶりに

 再会したのにそんなに冷たいんだよ・・・」

好夜は久しぶりにあった幼馴染の冷たい対応に泣きそうになっていた



「ふふふ・・・!」



「ん?どうしたんだ命?」

そんなやり取りをしていると命が急に笑い出したので

好夜はどうしたのか聞く

「ごめんね・・・ずっと待ってたから・・・

 こんな風にみんなで一緒に帰ること・・・」

命はこの光景が嬉しかったのだ

彼女からしてみればこの光景こそが三年間ずっと望んでいたものであり

それがようやく実現されているのだ

その嬉しさのあまり笑ってしまっていたのだ

「何言ってるんだよ?!これからは毎日あるんだぜ?!

 それどころか他の行事だって目白押しだ!」






「・・・今年こそはみんなで神居祭行こうな?」






「・・・うん!」

ようやく動い出した時間・・・

彼らはその時間をどう過ごしていくのだろうか・・・

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