後に託す想い
今回から学校編!
夏休みが終わり今日から学校が始まる好夜達だったが夏休みが明けるとすぐに行事が迫っており忙しい日々が始まる
その行事とは他でもない体育祭と並ぶ学生生活においてもう一つの代名詞との言えるであろう学校祭だった
もちろんそれ以外にも細かな行事は残っているが学生全員に関わってくる行事と言えばこれくらいだろう
そしてこれに対して積極的に活動していかなくてはいけないのは主に文化部の人達であり命達もそれに当たる
それにより生徒会の仕事は文化部に参加していない好夜達で行なっているのだがその量はかなり多く手が回らない
大会が終わった後でこれは厳しいと思いながらも好夜達は作業を進めているのだが中々に終わる気配がない
それにもう一つの行事として残っている事がありそれは他でもない慶太が出場するはずだった全国大会である
サッカー部はその為の準備に入っており関係者も色々と忙しそうにしている中でたった一人だけは違っていた
「あっ?試合に出れないのに行くわけねぇじゃん。むしろ手伝おうかって聞いたら邪魔だって言われたわ」
「・・・まぁ確かに慶太なら試合以外では邪魔なイメージしかないか・・・実際にそこまで役立つわけじゃないし」
後ろの方で事実を言われ何やら酷いと叫んでいる慶太を放っておいて好夜は生徒会の活動についてを考える
先ほどの全国大会に関しては生徒会が参加する訳ではないので彼らに対しての取材ぐらいしかやる事はないのだが
問題はそこであり慶太というエースを失った今、サッカー部はどう頑張ってもそこまでの活躍しか出来ないだろう
それこそ強豪校と当たってしまうと下手をすれば一回戦で負けてしまう可能性も十分にあると考えている時だった
何やら慌てた様子で真司がやってきて何かを手に持っており彼は息を整えながらその紙をテーブルに広げる
どうやらそれはサッカー部が出る全国大会のトーナメント表だったらしいのだがそれを見て好夜達は顔を顰める
「ん?この対戦相手の高校の名前・・・なんかどっかで見たことある様な・・・ない様な・・・なんだっけ?」
「ちょっ!?本当に知らないんですか瑞樹先輩!?去年の全国大会で準優勝した高校でここにはプロが注目してる
凄い選手が居るんですよ!・・・これじゃあどう考えてもサッカー部には勝ち目がないですよ・・・」
確かに真司の言う通り、まさかこんな序盤からこんなにも凄い相手が決まるとは思っておらず絶望的だろう
こんな中で今からサッカー部の人達に話を聞きに行くなどまるでトドメを刺しに行くようなものだろう
しかしこの対戦表を見ても慶太は特に何も思っていないようで真司の肩を掴んで大丈夫だと告げながら言っていた
「確かに相手は凄いチームだとは思うけど別のウチの先輩達は最初から勝つつもりなんてないだろうぜ?
そもそも俺が抜けちまった時点で全国大会だって諦めてると思うし・・・だからそんなに気にするんじゃねぇよ」
「・・・それ・・・自分で言っちゃうんですか・・・でもだからと言ってこれから聞きに行くのわ・・・」
「そんなの気にするんじゃねぇって!それじゃあ俺も一緒に言ってやるからよ!今からサッカー部に行こうぜ!」
こうして真司は慶太に引っ張られる形で取材道具を持ってサッカー部の元へと連れていかれるのだった
「なるほどね・・・確かに慶太の言う通り俺達としては全力で戦えないからそこまで全国大会の結果は気にしてない
むしろ全国まで進めた事自体が奇跡みたいなものだからな・・・正直、それくらいで満足してるよ・・・
だから今回のこの予選に関しては後輩の為に全国の強さを見るという目的の方が大きいかもしれないね・・・」
「そっそうなんですか・・・ところであの・・・そろそろ瑞樹先輩を許してあげたらどうですかね・・・」
サッカー部が練習をしているグラウンドまで向かった慶太達だったが速攻で慶太は部長に見つかりお仕置きを受け
その間に真司は色々な事を聞かせてもらっているのだが正直、後ろで行われている光景が気になってしまう
しかしこれに関しては怪我をして尚且つそれを理由に部活をサボっていた慶太が悪いので弁明の余地はなかった
そしてインタビューを受けて真司は確かに慶太が言っていた通り部長達はそこまで全国大会の結果を気にしておらず
むしろ最初から優勝候補と呼ばれている高校と当たって、ある意味では幸運かもしれないと考えてすらいた
その理由は他でもない後の慶太達にこれからを託すという意味でもある今年は全国の強さを知る事が目的だった
言うならば自分達はその為の捨て石であり本人達もその為に今年の大会は捨てるのだと覚悟を決めているようだ
「・・・部外者である自分がこんな事を聞くのはどうかと思うんですが・・・本当にそれでいいんですか?
三年生は今年で引退なんですよね?なら余計に全国って大舞台で活躍したいと思ってたんですけど・・・」
「・・・確かにそう言った気持ちがなかったと言えば嘘になるだろうね・・・でもさっきも言ったと思うけど
俺達からしてみれば全国の舞台に立てる事自体がほとんど奇跡みたいなもんなんだ・・・本当ならね・・・
全国に行くなんて俺達の力じゃ無理なんだよ・・・俺達の上の世代ではあの真島さんが居てくれた・・・
そのおかげで強豪の様ではあったけど実際は俺達の世代って不作の年って言われててもおかしくはないんだ
それなのにここまで来る事が出来た・・・それは他でもない瑞樹達みたいな優秀な後輩が入ってくれたからだ
きっとコイツらなら・・・来年の全国に必ず成績を残せるはず・・・俺達はもう一度アイツらに夢を託すんだ
俺達が夢を見せてもらった・・・せめてものお礼にな・・・まぁ当の本人には内緒だがな?調子に乗るし」
どうやら部長達は自分達がそこまで強くないと考えているようで実際に目立っているのは二年生の慶太達であり
申し訳ないと思いながらも全国に行ける貢献をしたのは間違いなく慶太だと真司も思っていたが口にはしなかった
しかしそれを一番自覚していたのはどうやら他でもない三年生達自身でありだからこ全国は無理だと考えていた
だからと言って先輩としての役目を捨てる訳ではなく力の自分達でもせめて何か出来る事があるはずだと考え
そして思いついたのが全国大会で少しでもその力を引き出して強豪と呼ばれている高校がどれほどまでに強いのか
それを後輩達に教えるのが自分達が出来るであろう精一杯の事であるはずだと彼らは考えている様だった
「・・・その取材を受けていただいてありがとうございました・・・!正直、自分じゃ先輩達の気持ちを理解を
その苦しみを理解する事は出来ないですけどその想いだけは十分に伝わってきました・・・!
必ずこの事をみんなに伝えたいと思います・・・そして自分達も来年は全力で応援させてもらいます!」
「おう!ウチのエースは相当に困った奴だからよろしく頼むわ!生徒会も頑張れよ!」
生徒会室に帰ってきた真司は取材してきた内容を好夜に見せると彼は真剣な顔でそれを見ていた
その後、何かを深く考えている様でしばらく黙り込んでいたが次に口を開いた瞬間、凄い事を言い始めた
「・・・なぁ黒谷・・・今回の生徒会新聞なんだけどさ・・・この特集をお前が担当してみないか?」
「ぼっ僕がですか!?いやいやいや無理ですよ!確かに生徒会に入ってもう半年は経ってますけど
まだまだ出来ない事の方が多いですしそれに大切な記事だからこそ経験のある人がやるべきなんじゃ」
「いや・・・この内容を聞いて俺は直接、話を聞いたお前ならその熱意を文字に出来るはずだと思った・・・
ここで必要なのはおそらくそう言った丁寧さや表現力じゃない・・・相手の熱意を知ったかどうかだ
そう言った意味じゃお前以外に適任者はいない・・・それにこれは黒谷にとっての試練でもあるしな」
真司の言っていた通り彼が生徒会に入ってもう半年が経とうとしており好夜としては重要な仕事を任せて
彼の成長を促したいと考えており今回、先ほどの真司が書いてきた内容を見てこれが一番だと考えたようだ
どうやら本人は本当に自分にその役目が務まるのかと不安視している様子だったがそんな彼の肩を叩く存在がいた
「大丈夫!何かあったら私達も手伝うからさ!だからやってみようよ!せっかくの機会なんだからさ!」
「千羽さん・・・そうだね・・・!僕も生徒会の一員だもんね!如月先輩!僕、やります!」
どうやら千鶴に言われてやる気になったようでこれならば大丈夫だろうと思いながら好夜は任せる事にした
その後、二人は資料が置かれている生徒会室では仕事が出来ないと図書室に向かい好夜は部屋に残される
目の前に残された大量の書類を見てこれを一人でやるのは厳しいなと思いながら作業を進めていた時だった
生徒会室の扉が開かれたかと思うと何やらとても疲れた様子で慶太が入ってきてソファに倒れ込む
「はぁ・・・部長め〜・・・怪我人にあそこまでの仕打ちをしなくてもいいじゃねぇかよ〜・・・そりゃ確かに?
あんな風に怪我をした俺が悪いとは思うけど俺だって怪我すると思って遊んでた訳じゃねぇんだし・・・」
「むしろそんな思いで怪我をする様な人間が居てたまるかよ・・・てか手伝わないのなら邪魔だから出てけ」
好夜にそう言われて渋々ながらも暇だという事もあり慶太は自分でも出来そうな書類を片付けていこうとする
するとそこへ何やら再び人がやってきたかと思うと今度は敬子がやってきて何やら追いかけられている様子だった
「どうした?なんか凄い慌ててる様子みたいだけど・・・なんか追いかけられるような事でもあったのか?」
「実は・・・今年は私を主体にしてクラスの出し物を考えたらしくて・・・その内容がこれなのよ・・・」
そう言って敬子が見せてきたのはいわゆる男装をした女子による王子様喫茶というものであり二人はそれを見て
全てを察したようでここに逃げ込んできたとしての後で捕まるだろうと何やら哀れみの視線を向けるのだった
「・・・とりあえず仕事を終わらせるか・・・そうしないと話し合いとかも出来ないだろうし・・・」
こうして好夜達は仕事を終えた後で敬子と一緒にクラスの女子と話し合いをする事になるのだった
次回はクラスの出し物を話し合うよ!
もしかしたら少し休載するかもしれません




