表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/204

夏休み最後の日

夏休み最後!

大会で疲れた体を休ませている間にいつの間にか夏休みは終わりを迎えようとしており好夜達も忙しくしていた

そんな中、彼らにとってまさしく事件とも呼べるべき事が起こってしまった。その内容とは・・・

「・・・お前さ・・・なんで全国大会を前にして全治二か月の怪我をするんだよ・・・しかも足・・・」

「いや〜!子供と一緒に年甲斐もなくはしゃいでたらこんなになっちまった!なははは!」

「いや笑い事じゃないから!アンタの所為で部長達も頭を痛めてたわよ!本当にアンタの頭はどうなってんのよ!?」

確かに敬子の言う通りこれはもはや笑い事などではなく本当に慶太の常識を疑ってしまうような事件だった

なんと彼は少しだけ敬子が目を離していた隙に勉強から抜け出してどこかへ遊びに行ってしまっていたようで

そこで知り合った子供達と遊んでいた時、過って足を強打してしまい骨に罅がが入ってしまったのだ

完治するには二か月は必要だと医者に言われ二か月ごともなれば全国大会が真っ只中で行われている頃

つまりサッカー部のエースであるはずの彼は全国大会に参加出来なくなったという事に他ならない

まさにサッカー部にとっては痛手であり本当に笑い事ではないほどの大きな事件になっているのだった

それにも関わらず怪我をした当の本人はあっけらかんとしておりまるで怪我の事など気にしていない様子

その態度に流石の敬子も腹が立ったのか今は慶太に全力のお仕置きをしておりその光景に好夜達は苦笑いする

「しかし本当にどうするんだ?いくらコイツが悪いとはいえ重要な戦力には変わりないんだろ?

 それなのに怪我で出場できないんじゃ正直・・・全国大会を勝ち抜くなんて不可能なんじゃないのか?」

「それに関してはサッカー部の部長達も同じ事を考えてるみたいで全国に進めただけ良しとするってさ」

どうやらサッカー部の先輩達は今回の怪我に関しては文句を言いたい事はあるがそれだけで済ませるようだ

そもそも自分達が全国大会に行ける事こそが奇跡でありそこで勝ち抜くなど慶太が居たとしても不可能に近い

だからこそ今年は自分達だけで行ってむしろ全国がどれほどまでに険しい場所なのかを見極めてくると言っていた

「本当に出来た先輩達よね〜・・・それとは一変してこの馬鹿はどうする?学校で居残りの補習でもさせる?」

「ちょっ!?俺は怪我人なんだぞ!?少しくらいは体を労ってくれよ!・・・怪我したのは悪いと思ってるけど

 ぶっちゃけ俺もそんな怪我するとは思ってなかったんだよ!不慮の事故って事で許してくれよ〜!」

そんな事を言われたとしても敬子は許すつもりはなく今日はみっちりと逃げ出した分も含めて勉強をさせるようだ

実際、敬子が怒るのも無理はなく彼女が怒っている本当の理由は大会を前にして怪我をした事ではなく注意力の話

これまでの慶太は調子に乗っては怪我をしている事が多くそれこそ周りが何度もヒヤヒヤさせたれた事もあった

そして一番の被害者は間違いなく敬子であり彼が怪我をする度に駆り出されこうして説教していたのだ



「アンタだってもう高校二年生なんだから少しは落ち着きってもんを覚えなさいよ!

 そうじゃなくてもせめて怪我をするかどうかくらいの判別は出来るようになりなさい!私はアンタのお母さんか!」



「なんか最後のだけ説教じゃなくない!?」



そして現在、どうして好夜達が集められているのかというと単純にいつも恒例になっている勉強会だった

今年も先ほどから敬子が言っている通り慶太は合宿以降は全くと言っていいほど宿題に手をつけておらず

このままでは絶対に間に合わないと彼女は感じたようで今年も同じく勉強会をする事になったのだが問題があった

それはいつもと違って好夜と晃平の二人も実はまだ夏休みの宿題を終わらせていなかったという事だった

「流石に今年は試合に集中していたらからな〜・・・おまけに帰ってきてからも疲れで勉強出来なかったし・・・

 まぁ慶太と違って俺達は普通に夏休みが終わる前には宿題を終わらせられると思ってたけど・・・」

「何気に俺を傷つけるような事を言うのはやめてくれる!?てか俺だってちゃんと終わらせるつもりだったんだよ!

 でもなんか宿題を見てたら全然わかんねぇ問題が多くて・・・気づいたらなんか時間がなくなって・・・」

「・・・嘘でしょアンタ?悪いけどアンタに出された宿題・・・一年生の時に出された問題の応用よ?

 ちゃんと基本が押さえてたら絶対に正解が分かるはずって・・・そうだったわ・・・アンタは基本も出来ないバカで

 だから一年生の時に夏休みでも冬休みでも宿題が終わらないって泣きつかれたんだったわ・・・はぁ・・・」

何やら敬子が頭を抑えて現実を見たくない様子ではあったが好夜からしてみれば彼も少しは成長していた

何故ならば一年生の頃は最初から出来ないと諦めて宿題をしないようにしてきたのに先ほどの発言は違った

ちゃんと宿題に向かい合いその上で分からなくて出来なかったのだと話しており少なくともやろうとはしていた

出来なかった事に関しては流石に苦笑いするしかないがそれでも好夜は彼が成長している事に少しだけ喜んだ

とは言えこのままでは確実に先生からのお説教は目に見えているので宿題を進めなくてはならないと考えていた

しかしこのまま去年のように宿題だけを終わらせたとしても結局はこの状況を繰り返すだけである

そこで好夜達は面倒ではあるがまずそもそも慶太に問題の解き方を覚えてもらおうと考えていたのだが

「・・・アンタね・・・なんでそもそも小学生で習うような部分が理解出来る事が分からないのよ・・・

 もしかしてと思うけどアンタって小学生よりも知能が下なの?だとしたら今から小学生の塾にでも行く?」

「いやあの・・・本当に悪いとは思ってます・・・なのでどうかそれだけは勘弁してもらえないでしょうか・・・

 と言うか正直、俺もそこまで深刻だとは思ってなかったです・・・もしかしてかなりヤバイでしょうか?」

正直な話をするのならばかなりどころか本当に彼は高校生なのかと思わず現実を疑ってしまうほどにヤバかった

まず最初に敬子がかなり丁寧にかつ分かりやすく説明しているにも関わらずその内容に対して彼は疑問を感じるのだ

その理由はそもそも小学生の問題ですらも彼は出来ていないという事でありそれ故にそこで分かるような説明でも

彼には全くと言っていいほど理解が出来ず結果として敬子の分かりやすく丁寧な説明も意味をなさないのだ



「・・・なんか・・・コイツと同い年とかもう嘘に思えるんだけど・・・もしかして年齢誤魔化してる?」



「そんなわけねぇだろ!第一、上にサバ読みするような事はあっても下にサバ読みするのは無理があるだろうが!」



そんなこんなと紆余曲折はあったがどうにか勉強は進んでいきなんとか半分くらいは終わらせる事が出来た

「・・・と言っても俺らはもう終わったんだけどな・・・結局、途中から慶太の勉強に付き合ってるし・・・」

「だな・・・しかも自分の宿題よりも時間が掛かってるのが一番、納得がいかないよな・・・本当に・・・」

既に二人が疲れている様子で慶太の宿題を手伝ったようで自分達の宿題よりもかなり苦労したと告げていた

げっそりとしている表情の二人を見てそれほどまでに苦労したのかとおやつを持ってきた命達は苦笑いしていた

おやつを食べながら好夜達は今年の夏についてを思い出していたが特にこれと言った思い出がない事に気がついた

と言うのも大会があった影響もあって合宿に全力を注いでおり海はおろか夏祭りにすら今年は行っていなかったのだ

「確かにそう言った意味じゃ慶太じゃなくてもどこかに行っておけば良かったかもって思うかもね〜・・・

 でもこの馬鹿がそうだけど私も怪我してるからそこまではしゃげるわけでもないし・・・ちょっとね?」

「そうか?俺なら別にこんな怪我をしていても夏祭りには行けるぞ!そして思う存分に楽しめる!任せろ!」

「へぇ?・・・それじゃあその調子で全国大会にも参加してもらおうかしら?サッカー部のエースさん?」

その一言を言われて流石の慶太も心にきたのか即座に謝ると実際に何か夏らしい事は出来ないかと告げる

実は好夜達も何かないだろうかと色々と考えてはいたのだが特にこれといったものは思いつかず勉強会に来ていた

どうにか出来ないだろうかと再び頭を巡らせていた時、そういえばと命は玄関から袋を持ってきて中身を取り出す

それに入っていたのは大量の花火であり命がこんな大量の花火を買うわけがなく好夜はどうしたのかを聞くと

「こっこの前のお詫びにっておっお爺ちゃんが買ってきてくれたんだけど・・・こっこれならみんなで出来るよ?」

「あの爺さん・・・あれだけの失敗をこれだけで済ませるつもりなのかよ・・・でも確かにこれなら楽しめるかもな

 それじゃあ宿題を終わらせて夜になったらやるとしますか!・・・てか夜までに宿題、終わらせられるよな?」

好夜の問いに対して誰も何も答えようとはせずもしかしなくても花火は無理かもしれないと考えてしまう好夜

もちろんそれでもやらないわけにはいかないのでどうにかして夜までに宿題を終わらせて庭で花火をする事になった

祭りで見るようなそこまで派手な花火ではないがそれでも彼らにとってはまさしく夏にふさわしいものではあった

怪我をしている慶太達も楽しくはしゃいでおり好夜達はその姿を見て少しだけ命の祖父に感謝をしていた

「・・・いよいよ夏休みも終わって学校が始まるのか・・・なんか休んだって気が全くしないな〜・・・」

「そりゃあ大会とかがあったんだから当然だろ?むしろ俺は今からでも休みが欲しいくらいだぜ・・・ないの?」

「そんな怪我をした人間が言うんじゃないわよ!・・・それにみんなで学校に行くのだって十分に楽しいでしょ?」

そう・・・好夜達にとってはこうやって全員で過ごせるのならば別に夏休みであろうとも関係はなかった



(・・・でも・・・来年になったらもうこんなに夏休みを楽しんでいる暇なんてなくなるんだろうな・・・)

次回から学校が始まります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ