新しきライバル
今回は新キャラが出てきます
「そっか・・・敬子は負けたのか・・・怪我で欠場してその結果って事はめちゃくちゃ悔しがってるんだろうな」
命から敬子が怪我で途中欠場する事になってしまいバレー部が準決勝で負けてしまった事を聞いた慶太
彼女の事をよく知っているからこそどんな気持ちで今を過ごしているのかその気持ちが痛いほどに理解出来た
だからこそ彼女の悔しさも背負って自分は全国に進まなくてはいけないとこれまで以上にやる気を出していた
その様子を見ていた部長もこれならば今日の試合は心配しなくても良さそうだと判断しており安心した様子だった
(・・・まぁ・・・正直な話をするのなら準決勝は普段のアイツの力でもおそらくそこまで問題じゃない・・・
むしろ重要なのはこの後・・・全国行きがかかっている決勝戦・・・その相手の情報がアレじゃあな・・・)
実はこれからの試合の事を考えて残った三校の情報を調べていたのだが実はその中の一校だけが異様だった
その高校こそが慶太達よりも先に決勝戦行きを決めここで勝てば決勝戦で当たる相手となっていた
そして部長がその高校を最も危険視している理由は明らかにベスト8になってからのメンバーが違う事だった
もちろん彼らがレギュラーメンバーである可能性は高いのだが問題は彼らを出すタイミングがあまりにも遅い事
普通ならばベスト8になる前から実力派の高校と当たる可能性もあるのでベストメンバーで挑むはずなのだが
その高校だけは何故かこんなギリギリの状態になってもそれを行わずここまでひた隠しにしてきた
故に部長はそこまで隠すほどの実力を持ったその高校の事を気にしており実は密かにその学校を調べてもらっていた
(と言っても急にお願いした事だから今は何の情報もないんだけどな・・・決勝戦には間に合わせるって言ってたけど
ぶっちゃけそこまでしてもらって情報を無駄にする可能性もあるなんて流石に言えないよな・・・)
現状では彼らに関する情報は何も得てはおらず全ては情報を集めてくれると約束した生徒会次第だった
それでも彼らの優秀さは理解しておりだからからこそ心配はしておらずむしろ気にしていたのはその情報を得たとして
果たして自分達がその情報を有意義に使い勝利する為の役に使えるかどうかという事だった
(まぁこれに関しては監督が対策とかを考えてくれるだろうし俺達は俺達に出来る事をして挑んでいかないとな・・・
それが全国に行けなかった先輩達に託された・・・夢でありそして今は俺達にとっての目標なんだからな・・・!)
そう・・・部長は先代である真島や他の先輩達から全国に行くという夢を託され自分達もそれを叶えたいと思っている
だからこそ自分達に出来る最大限の事をしなければならないと考えており作戦は全て監督に任せる事にした
そんな事を考えているとどうやらフィールドの整備が終わったようでスタッフの人がみんなを呼びに来た
「と・・・さてと・・・先の事を考えるのは後にして今は目の前の準決勝相手に集中しないとな・・・!
それじゃあお前ら!これに勝ったら残る相手はたった一つ!そしてその先は・・・全国だ!気合を入れろよ!」
『おう!』
こうして始まった準決勝だったが思った以上に慶太のやる気が働いたようで前半で既に勝負はついたようなものだった
すると観客席からそれを見ていたのは先に決勝戦へと出場を決めていた対戦校でありその監督とエースの二人だった
どうやら慶太達の事を見に来たらしいのだが結果としては別に自分達が見にくる必要はなかったと判断していた
「確かに目覚ましいまでの爆発力があの選手にはあるが所詮はそれだけ・・・感情でプレーに影響が出るようでは
お前にはまだまだ敵わないな・・・それに今日は来ていないアイツからゴールを奪うのすら困難なはずだ」
「・・・自分もそう思います・・・ですが油断は禁物・・・どうやら今日の彼はこれまでとは少し違うようです」
エースである彼だけは見抜いていたが実は今日の慶太は前に指摘された別方向からの攻めも試していた
やはり最初と言う事もあって全てがうまくいっているとは言えないがそれでも成功している部分もあり
徐々にコツが掴めているのか成功率を上げては来ているがエースの男はすぐにそれが練習段階だと見抜いていた
おそらくはそれほどまでにまだ何かしら弱点のようなものが存在するという事なのだろうがそれを本人は気づいてない
つまり現段階ではサッカーの技術力においてこの男は慶太よりも上の存在に位置しているという事なのだろう
しかしそんな中で彼が気にしていたのはどうして慶太がそこまでモチベーションを上げれるのかという事だった
(・・・確かにモチベーションでプレーが変わってしまうのはあまり褒められる事ではないと思いますが・・・
逆を言えばモチベーションを常に最高で保てるのなら・・・彼の力はある意味で脅威だとも言える・・・
・・・まぁ・・・あくまでもそれが出来るようになればの話ですし・・・彼個人だけでそれが出来たとしても)
確かに彼の言う通り慶太が脅威的な成長を見せていたとしてもそれはあくまでも個人だけの強さであり
チームで戦うのならば慶太以外のメンバーもそれほどのまでの成長をしなければ勝つ事はきっと不可能だろう
そんな事を思っているとどうやら試合が終わったようで慶太達が無事に勝利を収めて決勝戦の組み合わせが決まった
「・・・どうやら決勝戦の相手は彼らに決まったようだな・・・そして・・・私達の全国出場も・・・
後はあの気まぐれな男が決勝戦に出てくれるかどうかだけか・・・まぁもしも出なかったとしても
お前からボールを取る事はあのチームには不可能・・・点の取り合いで勝てばいいだけの話だ」
そう言いながら勝ちを確信している監督は観客席を立ち上がって帰ろうとしておりエースの男をそれに続く
実は彼はあまり監督が好きではなくその理由がこの実力があればどんな態度であろうとも寛大なところであり
同時に選手の事を道具として考えている冷徹な部分が人としてはあまり好きではなかったがそれでも従う理由
それは彼が監督として最も優秀だからであり実際に自分達を全国行き目前まで連れてきてもらってもいた
(・・・だが・・・流石のあの男の自由を許しているのはやはり納得出来ないな・・・チームの要だと言うのに)
こうして準決勝を勝利して無事に決勝へと駒を進めた慶太達だったがもちろんそれを祝っている余裕などはなく
むしろここからが本番だと考えており部員達はそれぞれに自分が出来るであろう最大限の事を行なっていた
ある者は必死に練習して自分の長所を磨くか弱点を克服したりまた、ある者は資料を見て相手の弱点を調べたりなど
まさにこれからの決勝戦に備えて最後の準備をしておりそれは慶太も例外ではなくグラウンドで練習していた
(・・・やっぱりまだ微妙にズレがあったり自分のやりやすい形と違う感じがするな・・・どうしたもんか・・・)
今日の試合でいつもとは違う逆サイドからの攻め方を見せた慶太だったがやはりしっくりこなかったようで
それを完璧にする為の練習をしているのだがやはり自分だけではどこが悪いのかを理解する事が出来ずに四苦八苦
どうすれば自分でも何がダメなのか理解出来るようになるかと考えているとそこへ誰かがやってきた
一体誰が来たのだろうと思っているとなんとやって来たのは敬子でありその手には包帯が巻かれていた
慶太としては怪我で欠場した彼女に何を言えばいいのか分からずどうしようか考えていると彼女から話しかけてきた
「・・・なんか柄にもなく随分と苦戦してるみたいね?いつも大口叩いているあの強気はどこにいったのよ?」
「お前な・・・素人の目から見たら簡単な事かもしれねぇけど実際にやってみたらかなり難しいんだぞ!?
しかも始めたのなんて準々決勝からだし・・・正直、決勝の相手に通用するかどうか・・・微妙なんだよ・・・」
珍しく弱気になっている慶太を見てやはりらしくないと思ったのか、敬子はゆっくりとベンチに座りながら
練習に戻った彼の様子を見守る事にすると長年、一緒にいるからなのか彼の癖みたいなものが見えてきていた
もしかしたらそれが原因ではないかとも思ったがあくまでも素人の意見なので言わない方がいいだろうと思っていると
「・・・なぁ・・・もしもお前の目から見てなんか感じた事があるんなら教えてくれねぇか?なんでもいいんだ・・・
とにかく何かを改善しないと不安でよ・・・もうお前以外に頼れる奴はいねぇし・・・見てるだけじゃ暇だろ?」
「・・・なんか随分と変わったわよね・・・まぁ・・・確かに暇だし感じた事もあるから教えるけど・・・
アンタが言ったように私は素人だからそれを改善したとしてもそれで上手くいく保証はないからね?」
その言葉に対して慶太はもちろん分かっていると頷いて返事を返し敬子が指摘した場所を重点的に直していく
すると先ほどまでやりづらかったのがまるで嘘のようにスムーズな流れで行えるようになっていき慶太は驚いていた
(スゲェ・・・さっきまで何がダメだったのか全然分からなかったのに今じゃ何が悪かったのかよく理解出来る・・・
人に見てそこを指摘されただけでここまで変わるものなのかよ・・・いや・・・もしかしたら敬子だから・・・)
これまで自分の事をずっと見続けてきた敬子だからこそ自分の知らない癖などを見抜く事が出来たのかもしれない
それを考えると慶太は少しだけ照れ臭そうな顔をしていたが今はむしろその関係性に感謝するしかなかった
(・・・こうなったらお礼にバレー部が行けなくなった全国へ俺が代わりに連れていかねぇとな・・・!)
次回は野球部がメインになります
 




