前準備
今回から林間学校の話をやります
七月に入り好夜達には新しい行事が待ち構えていた
それはこの人工島には珍しいキャンプ場への林間学校だった
「そんなイベントがあるのは全然知らなかったな・・・
やぱり何か準備とかしないといけないのか?」
この行事についてなにも知らない好夜は何が必要なのか聞く
「とっ特にこれと言った物はないけど
やっやっぱりキャンプ地に行くから虫除けとかは必要かも・・・」
どうやらそこまで珍しい何かが必要なわけではなく
普通にキャンプで必要な物だけを持っていけばいいようだ
「それじゃあ普通にみんなでキャンプに行くだけなんじゃないのか?」
それを聞いた晃平は普通のキャンプと変わりないのではと思っていた
「そっそんな事もないよ?たっ確かにほとんどは生徒の息抜きが目的だけど
ちゃっちゃんとした事もスケジュールには入ってるよ?」
しかし命の話ではちゃんとしたスケジュールも組まれているので
息抜きだけではないと言っていた
それを聞いて少し安心したのか晃平もそれ以上、質問することはなかった
「スケジュールってことはしおりみたいなのも渡されるのか?」
すると好夜は先ほど命の話に出ていたスケジュールは何で確認するのか聞く
「うっうん・・・前の週の最後に渡されるよ?」
好夜の予想通り学校からしおりが発行されるらしく
当日はそれに沿って行動しなければならないようだ
「ふ~ん・・・結構面白そうな行事だな!
当日が楽しみになってきたぜ!」
これまでの話を聞いて好夜は当日が楽しみになってきていた
「お~いおまえら~・・・とっとと席につけ~・・・」
そしてお昼の時間になりみんなでご飯を食べながら
林間学校の話をしていた
「う~ん・・・正直あんまり乗り気じゃないのよね~・・・」
しかし敬子はあんまり乗り気ではなかった
「だって森の中に行くんでしょ?
虫とかいっぱい出るから行きたくないのよね~・・・」
どうやらその理由は虫が大量に出るからだった
確かに普通の女子からしてみればあんまり虫は得意ではないだろう
だがそれも虫除けをつけていれば問題ないはずなのだが
「敬子はこの前虫除けつけてたのにも関わらず
虫が大量に押し寄せてから虫除けグッズを信用しなくなったんだよ」
慶太の話ではどうやら虫除けグッズをあんまり信用していないから
虫が大量に出そうな場所に行きたくないらしい
「ああ・・・たまにいるからな・・・虫除け効かないやつ」
それを聞いた好夜は納得していた
というのも彼自身も長い旅で虫除けグッズなんかは使っており
そんな中でも虫除けが効かない虫はそれなりにいたのだ
だからこそ敬子のその言葉には納得できた
「でも学校行事の一つだから休むわけにはいかねぇだろ?
単位として取り戻すのは無理なんだからよ」
しかしだからと言って休むわけにも行かなかった
この林間学校は二泊三日行う学校行事
つまり休んでしまったらその分の単位は消えてしまうのだ
「やっぱりだめよね~・・・それは・・・」
敬子もそれくらいのデメリットがあるのもわかっているので
ちゃんと合宿にはいくと宣言する
「それじゃあ今日の放課後にみんなで買い物に行きましょうか?」
すると明希音が放課後にその林間学校に向けて
必要な物をみんなで買いに行こうと提案する
「いいんじゃないか?
俺も普通のキャンプに何が必要なのかわからないしな」
自分もどんな物が必要なのかわからない晃平はその提案に乗る
「そうだな!みんなで買って分け合った方がやすそうだしな!」
好夜もみんなで同じ物買って分ければ安く済むからと言ってその提案に乗る
こうしてみんなは帰りに買い物へと向かうことにしたのだった
「そっか~・・・一年生はもうそんな時期なのか~・・・」
そして好夜と命は生徒会の仕事を手伝いに向かうと
香野は二人の話を聞いてもうそんな時期なのかと思っていた
「私達も一年生の頃は本当に楽しかったな~・・・
今ではもう遠い記憶だわ・・・」
と何やらしみじみとした遠い目をしていた
「いや・・・そんなに経ってないじゃないですか・・・」
しかし普通に二年前の話だからそんなに昔の話ではなかった
「あははは!まぁそうだね!でもこの行事は本当に楽しいわよ?
近くには人工の川なんかもあって川遊びできるし
でも授業とかも大変なのよね~・・・」
すると香野は昔のその時を思い出して浸っていた
「いや・・・おまえは遊んでしかいなかっただろ・・・」
そこへ会長が現れてそんな過去はないとツッコんでいた
「てへっ!」
それに対して香野はバレたかと舌を出して誤魔化す
「二人の時はどんな感じだったんですか?」
好夜は二人の時の林間学校はどんな感じだったのか聞く
「授業の方はキャンプ場の植物観察だったな・・・
それ以外はこいつの言う通りほとんど遊びのような感じだ」
どうやら授業は結構簡単な感じのものであり
むしろ香野の言う通り遊びの方がめいんでやっていると言う
(会長が遊んでるところ・・・想像できねぇ~・・・)
それを聞いた好夜は会長が遊ぶところを想像しようとしたが
欠片もイメージすることができなかった
「・・・何か失礼なこと考えてないか?」
すると何かを感じ取ったのか会長は好夜を睨み付けていた
「滅相もございません」
好夜はすぐに取り繕いなんでもないと言った
「まぁなんにせよ・・・一年生の中ではお前らしか
生徒会役員はいないんだからな
ちゃんとほかの生徒が暴走しないように宥めておけよ」
会長の言う通り彼ら以外に生徒会役員はおらず
他の生徒を宥めるのは二人だけでやらねばならない
これはかなりキツイ事を言っているようにも聞こえるだろう
だが会長からしてみればこの二人なら大丈夫だろうと
そこまで心配をしているわけではなかった
「そうですね・・・つっても
暴走しそうなのは一人しかいませんけど・・・」
そう言って好夜が思い浮かべていた人物は慶太だった
彼はいつもイベントになると絶対に舞い上がるタイプなので
正直な話をすると一番危険人物である
しかしそんな彼にもちゃんとした抑止力が存在する
それは誰なのか
もちろん敬子の事である
彼女は昔から慶太が暴走する度に実力行使(物理)で何度も彼を止めてくれていた
なので普通に彼らはそこまで何かを心配はしていなかった
(・・・まぁ敬子の場合はあくまで慶太しか見てないけどな・・・)
しかし敬子が動いてくれるくれるのは慶太の事だけであり
それ以外ではほとんど動いてくれる事は無い
そして放課後になり彼らは早速
商店街へ林間学校の買い物をしに向かった
「う~ん・・・やっぱり最初は無難に虫除けだよな~・・・
その後は・・・帽子とか日焼け止めか?」
好夜は虫除けグッズなんかを見ながら
何を買うべきなのか悩んでいた
「とりあえずこれとかにしたらどうだ?
結構有名なメーカーのだし量もあるからみんなで分けれるぞ」
すると晃平がこれがいいのではないかと箱の虫除けスプレーを渡す
「そうだな・・・それじゃあこれにするか」
好夜はこれでいいだろうと思い買いに向かう
「う~ん・・・このテントカッコいいよな~・・・」
そしてキャンプ用品のところでは慶太がとあるテントをみて
かっこいいなと凄くほしそうにしていたが
「いや・・・普通にテントは持参じゃないでしょ・・・
それ以前に・・・あんた・・・そんなお金持ってるの?」
実際はテントは持参ではなく学校側が用意してくれるので必要がなく
それ以前にそんなお金がどこにあるのだと敬子は告げる
「そんなもんはない!」
すると慶太は何故か誇らしげにお金なんぞ持っていないと言った
「はぁ・・・胸張って言えることじゃないわよ・・・」
敬子は頭を抱え溜息を吐きながらツッコんだ
「やっぱり動きやすい服装の方がいいですよね?
ジャージは学校のでもいいですが・・・
普段着はそうもいきませんよね~・・・」
衣服の方では明希音の方がどんな服装がいいか悩んでいた
「ワッワンピースどうかな?」
すると命がワンピースなんかはどうかと渡す
「う~ん・・・確かに可愛いですし涼しそうですけど・・・
私には似合わない気が~・・・」
しかし明希音は自分にはそれは似合わないのではないかと思っていた
「そっそんなことないよ!ぜっ絶対に可愛い!」
命は絶対にそんなことはないと必死でフォローする
「そうかな~?それじゃあこれにしましょうか?」
明希音はその説得を受けてそのワンピースを購入した
「さて・・・最後は帽子か・・・どれにするか・・・」
そして好夜は最後にどんな帽子を買おうか悩んでいると
「・・・あれ?・・・普通の帽子がないんだが・・・」
何故かそこには奇抜な帽子しか置いておらず
普通の帽子なんてものはひとつもなかった
「マジか・・・さすがにこれ買って
かぶっていくわけにもいかないよな~・・・」
さすがの好夜もこんな帽子をかぶっていくわけにもいかないので
どうしたものかと悩んでいると
「ん?普通の帽子があるんじゃん・・・ってなんでふたつ?」
ようやく普通の帽子を発見し一安心と思ったのだが
何故かその帽子はセットで売られていた
「お客様その帽子はいわゆるペア帽子と呼ばれており
カップルがキャンプでかぶっていくものなんです」
するとそこへお店の店員さんが現れてこの帽子について説明してくれる
「・・・因みに単品では売ってくれませんか?」
好夜は最後の望みを掛けて単品で販売してくれないか聞くが
「残念ですがそう言った販売はやっておりませんので」
「・・・はい・・・」
好夜は仕方なくそのペア帽子を買うことにしたのだった
「ん?命も帽子買いにきたのか?」
そこへ命も現れて好夜と同じく帽子を買いに来たらしい
「うっうん・・・でもいい帽子がなくて・・・」
しかし先ほどの好夜と一緒でいい帽子を見つけることはできなかったらしい
「それじゃあ俺の帽子をやるよ」
それを聞いた好夜は自分が買ったペア帽子の一つを渡した
「いっいいの?」
命はお金も払っていないのにもらっていいのかと心配する
「むしろこの帽子しかいいのがなかったんだよ・・・
二つ持ってるわけにもいかないからな」
好夜としては二つも帽子はいらないのでもらってくれるのは大歓迎だった
「そっそれじゃあ・・・ありがとう・・・!」
それを聞いた命はとても嬉しそうにその帽子を受け取った
こうして各々の林間学校に向けた買い物は終了した
次回から林間学校スタートです!




