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怒涛の活躍

今回はサッカー部とバレー部のお話

翌日、いよいよ試合をする事になった慶太達は試合会場に着くとそれぞれアップを始める

そんな中で彼らが気にしていたのはやはり前の試合に貢献していたディフェンダーの三人だった

特にパワーとガタイの良さがある大型のディフェンダーの人には全員が圧倒されていた

「マジでスゲェな・・・ぶっちゃけあんだけ大きいなら別にサッカーじゃなくてもよかったんじゃね?」

「いやいや・・・昨日のプレーを見たら彼がサッカーをし続けたのは明確だろ・・・

 それを一朝一夕で身につくような動きじゃなかった・・・相当な特訓をしてきたんだと思うよ・・・」

部員の一人が言っている通り目の前にいる彼は実を言うと小学生の頃からサッカーをやっていた

しかもその当時は誰よりも背が低くてどちらかと言うとスピードで相手を翻弄するタイプだった

中学に上がると同時に身長がどんどん大きくなっていきそれにより動きも鈍くなっていった

つまりスランプに陥ったのだが、そこから彼は努力で今のディフェンダーとしての地位を確立したのだ

「・・・ぶっちゃけ俺らもその話をマネージャーから聞いた時は信じられなかったけどな・・・」

「そりゃそうだろ?そんな困難があったなんて感じさせないだけの力をアイツは試合で見せていた

 でも逆を言えばその事実が本当なら・・・ちょっとやそっとじゃ動じたりしない精神を持ってるって事だけどな」

そう・・・先ほどの話が本当だとするのならば最も警戒するべきなのは彼の身長やパワーではなくその精神力

おそらくは試合でどんなに不利な事が起きようとも決して動じる事がないだろうと慶太は考えていた

そしてそういう相手が最も厄介だと理解しており今日の試合はとても苦戦しそうだと思っていた

(・・・そう言った意味じゃあのスピードの速い奴はちょっとでも崩せば問題なさそうだな)

慶太はもう一人の足の早いディフェンダーの事を見ており彼はアップなどの様子からしてみても

自分と同じくすぐに調子に乗ってしまう実力が精神に左右されるタイプだと判断していた

おそらくは突き崩す部分があるとするのならば彼だろうと思っていたがそれにはもう一つの不安要素があった

それは残された最後のディフェンダーであり未知数な部分が多かった謎の三年生

彼と真っ向から対決したほとんどの選手は全く反応出来ずにボールを取られてしまっており

他の二人と違って目立ったプレーをしているわけではないがそれでも慶太達はちゃんと気づいていた

前の試合で相手にシュートを一本も打たせなかった立役者は間違いなく彼だという事を・・・

(アイツはボールを持った相手を自然と端や味方のいる方に追い込んでシュートを打たせないようにしてたし

 真っ向からの勝負では必ず相手からボールを奪い取っていた・・・間違いなくチームのキーマンだ・・・!)



一方で向こうのチームも慶太達がアップしている姿を見て今までの相手とは違うと警戒していた

その理由は他でもない自分達のチームの要となっており選手を見抜いているからだ

それ故にこれまでのような自分達を油断していた相手のようにはいかないだろうと判断していた

そんな中でいよいよ試合開始の時間になったようで彼らはそれぞれの場所へと向かう

先攻はどうやら向こうのようで守備を得意としている彼らは最初に得点を取りたい気持ちがあった

そしてそれは慶太達も理解しておりだからこそここは敢えてその一点を取らせるつもりで行動していた

その動きを見ていた相手チームはすぐその違和感に気がついたのだが点を取らないわけにはいかず

何よりも、味方のディフェンダーを信じているからこそ果敢に攻めていく事が出来た

それによりゴール手前までやってきたのだがそこは部長達が根性で相手のシュートを外させた

「ナイス!ここから反撃開始だ!」

部長の掛け声でみんなはボールを繋いで中盤まで持っていくのだがやはり問題はここからだった

どうやら慶太のマークについているのは足の早い二年生のディフェンダーのようで

おそらくは高さの勝負よりも地上でのスピードで勝負をしてくると判断したのだろう

しかし彼らはこの時、気づいていなかった・・・それこそが慶太達の狙いだと言う事を・・・

(まさかこんな綺麗に予想通りの展開になるとは・・・さてと・・・それじゃあお仕事開始しますか!)

(っ!?こいつ!急にスピードを上げて走り出しやがった!でもこんぐらいの速さじゃ俺は振り切れねぇよ!!)

突如として走り出した慶太だったが相手の選手もちゃんとそれについてきておりその距離が開く事はなかった

このままでは慶太が不利になるが・・・それはあくまでも慶太がボールを持つのならばの話である

「確かにお前らの守備は凄いけど・・・そういった守備には速攻の攻撃が効くって決まってるんだよ・・・!」

なんとここで慶太達は相手の守備を振り払うかのようなワンタッチプレーでボールを回しており

その目紛しく回る攻撃に相手の選手は全くと言っていいほど付いていく事が出来なかった

そしてもちろんそれは点取り屋でもある慶太の元まで向かってきてそのまま華麗に一点を決めるかと思われたのだが

そこへ例の三年生が現れて丁度、慶太がシュートしようとしていたコースを塞いでしまう

慶太はそれでもなんとかゴールを決めようとカーブしたシュートを放つが僅かにゴールの上を通過してしまった

「ちっ・・・!やっぱり守備が硬いだけあってそう簡単に得点してもらえるほど甘くはないか・・・」

「・・・こちらとしても正直、驚いている・・・まさか俺達の守備をこんな方法で突破してくるとはな」



勝負はまだ始まったばかりだが既に両チームは観客が驚くほどの激しい攻防戦を魅せるのだった



一方その頃、別の会場では敬子達バレー部が試合をしていたのだがここで問題が起こってしまった

なんと三年生の二人が接触事故によって二人共、試合続行不可能に不可能になってしまったのだ

もちろん代わりの選手はちゃんと控えているので試合を続ける事自体は問題ないのだが

その接触事故によってチームに悪い空気が流れてしまったのかみんなの動きが硬くなっていた

(まずい・・・昨日の緊張とは違って今回は三年生の接触事故っていう恐怖という理由から体が硬くなってる・・・

 本当はどうにかしてあげなくちゃいけないんだけど・・・一体、どうすれば・・・)

昨日は緊張から体が強張っており動けなくなっていたのだが今回は理由が違っていた

目の前で自分達よりも上手い三年生が接触事故を起こしてしまいそれを見てしまったという事実

その恐怖から交代する事になった二年生達はこの前とは違う別のプレッシャーを背負う事になってしまった

これは一朝一夕では解決するような問題ではなく試合の中で払拭するしかないのだろうが

どうすればそれが出来るのか、その正解を知っている者はここにいない

そしてそれは敬子も例外ではなくどうやって彼女達の不安を取り除けばいいのかと考えながらも

試合が止まってくれるわけでもなくどうにか2セット目は付かず離れずを維持してきた

(と言ってもここで相手に決められたらデュース・・・持久戦になったらこっちが不利だ・・・!)

どうにか早めに決着をつけなければならないと考えていた敬子だが相手もこのチャンスを活かさないわけもなく

意地で一点を決められてしまい最悪な予想通りというべきなのか、デュースへと持ち込まれてしまった

これにはレシーブに飛べなかった二年生達も青い顔をしておりとても試合を続けられる雰囲気ではなかった

先輩達もその失敗を責めるわけにもいかず完全な手詰まりになろうとしていた時だった

「何、下向いてるのよ!?そんなんでボールが拾えると思ってるの!?ちゃんと上を向きなさい!!」

突如として大きな声が聞こえてきたかと思うとベンチに先ほど接触事故を起こした二人の先輩が戻ってきていた

どうやら怪我の具合を見る限り、この試合に戻る事は出来なさそうだが深刻な怪我というわけではないようで

二人の無事を確認出来た二年生は安心すると同時にようやく試合に集中する事が出来そうな感じだった

これならば今までのようなプレーはもうしないだろうと安心しながら敬子もプレーに集中する

その様子を見ていた相手チームはどうやら自分達のチャンスは終わったのだと理解し

ここからは実力勝負だと判断するのだが心の底ではもう理解していた・・・自分達の勝ちが無くなった事を・・・

(・・・それでもタダでは負けられない・・・!粘れるところまで必死に粘ってやる・・・!!)



試合の結果としてはこの後、敬子達が2点を決めて見事に勝利を収める事が出来たのだが

その2点はその試合を見ていた誰しもがそんな簡単に取れたわけではないという事を理解していた

試合が終わるとすぐに交代した二年生達は怪我をした三年生の二人の元へと向かい怪我の具合を聞いていた

本人達が言うにはそこまで試合に関わるような怪我をしたわけではないようなのだが

一応は明日の試合も控えるように言われており先ほどの二年生達に任せる事を告げていた

「敬子も二人の事を頼んだわよ?もう緊張とかで体が動かなくなるとかはないでしょうけど

 明日からは試合の質が変わる・・・おそらくだけど今日との差に付いていけないかもしれないわ」

「・・・分かってます・・・でも今日の状況を乗り切れたんです・・・あの二人は大丈夫ですよ」

敬子の隣にやってきた部長は同学年である二人の事を任せたと敬子にお願いするのだが

その本人はそこまで気にしている様子は一つとしてなかった

その理由は今日のこの出来事が間違いなく彼女達を強くしたと確信していたからだった

だからこそちょっとやそっとの出来事では決して動揺はしないだろうと彼女達を信じていた

その言葉を聞いて部長もその通りだと言いながら笑みを浮かべており来年のバレー部も安心だと感じていた

こうしてバレー部の試合は終わりを迎えその様子を撮影していた千鶴達も荷物を片付けていると

サッカー部の試合を見に行っていた真司からメールが来ていた

その中身とは・・・サッカー部がピンチだと書かれていた・・・

次回は慶太が大ピンチ!?

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