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それぞれの強敵

今回はサッカー部で動きがあるかも?

本日は他の学校が予選を行なっている為、好夜達は休みという形になっていた

しかしちゃんとした休みとなっているわけではなく実際にはこれからの試合に備える準備期間である

そして同時に今日は相手の調子を調べられる絶好の機会であり部長などの責任者は会場に向かっていた

もちろん野球部の部長である晃平も例外ではなく球場に向かい今日の試合を行なっている二校を見ていた

「この試合に勝った方が僕らの相手になるわけだけど・・・晃平君としてはどっちが勝ち上がってきそうかな?」

「試合に絶対はないのであまり確定的な事は言えないですし・・・何よりもこの試合は長引くと思います・・・

 どうやらお互いの実力は完全に拮抗している・・・後は監督の采配や読み合い次第ですね・・・」

晃平の言う通り今、試合を行なっている二校の実力は拮抗しておりどちらも点は取っていなかった

恐らく体力が尽きるか監督の采配次第で点は取れるだろうが問題はそれがいつ来るか

そしてどれだけの点を取れるかによってこの試合に勝利する高校は変わってくると考えていた

(これだけ拮抗している高校同士なら恐らくそこまでの大量得点は取れないはず・・・

 逆を言えば大量に点を入れる事が出来れば確実に勝利する事が出来る・・・

 後はその点をどうやって取るか・・・これは監督の采配や選手達の力が試されるだろうな)

正直な話をするのならばこれくらい実力が離れている相手ならば試合を見なくても勝利する事は出来るだろう

しかしたとえどんな相手であろうとも一切、油断などせずに確実な勝利を納めたいと思うのが晃平だった

それにつまらない油断などで先輩達から託された想いを無駄にするなど絶対に出来ない

「・・・それにしても・・・どんな高校を見たとしてもそこまで驚く事はなくなってしまったな〜・・・

 これに関してはやっぱり龍間先輩達のおかげなんだと思うけど・・・ちょっぴり複雑かな・・・」

「確かに・・・あの人は才能も凄かったですけどそれ以上に性格でちょっと難がありましたからね」

二人はどんな強豪校の試合を見たとしても驚く事よりも冷静に選手のデータなどを分析する事が出来た

その理由は他でもない彼らよりも凄い選手が身近におりその人の実力を知っているからだった

問題はその人物が性格的にとても扱いづらい人物でありとても苦労させられたという事

そこに関しては感謝するべきなのかそれとも厄介だったと思うべきなのか微妙な部分ではあった

しかしそれでも尊敬するだけの先輩であり彼らの残したものは野球部の支えとなっている

「・・・どうやら試合は決まったみたいだね・・・晃平君の言う通り接戦になったけど・・・」

「ええ・・・お互いに全力で戦い誰も最後まで諦めていなかった証拠・・・ですよね?」



一方その頃、伊勢谷達は晃平の頼みで別の会場でやっている二校の試合を見ていたのだが内容は一方的なものだった

「これが先輩達が去年、負けた相手か・・・改めて見ると自分達の先輩がどれだけ凄いのか分かるな・・・」

「ああ・・・相手のチームも決して弱くはないけど・・・これは相手が悪すぎたな・・・」

試合が開始されてまだそこまで時間が経ったわけでもないのだがそれでも回は二回の表までしか進んでいなかった

その理由は他でもなく相手の高校がずっと打たれ続けて点が入るのが止まらないからだ

そしてずっと点をとり続けているのは他でもない・・・去年、晃平達が敗北を喫した高校だった

彼らの実力は去年の三年生が抜けても未だに衰えてはおらずむしろ上がったと言っても過言ではないだろう

その証拠に現在の得点差は二桁を超えておりコールドになる事はもはや確定していた

正直、晃平に言われて様子を見に来た伊勢谷達もここまで一方的な試合を見せられるとは思っておらず

どうして自分達が偵察をさせられる事になったのかここに来るまでその理由は分からなかったが

一瞬、彼らのプレーを見ただけでその理由に気付かない者はおらず全神経を集中させて試合を見ていた

しかしこれまでずっと野球をしてきた伊勢谷ですら彼らに対して凄いという感想しか出てこなかった

(・・・選手を見たらその人の長所と短所を見分けられるぐらいに俺は野球をしてきたつもりだったが・・・

 この高校は違う・・・!長所と呼べる場所は伸ばされ短所と呼べる場所も人より優れている・・・!

 間違いない・・・こいつらは明らかに他の高校生とは違う生き物だ・・・!)

同じ高校生のはずなのに伊勢谷はまるで彼らが別の生き物なのではないかと思ってしまうほど色んなものが違っていた

そしてもしも自分が彼らと相手にするとするのならばどうやって抑えなくてはいけないのかを考える

しかしどんなに考えても彼らから無失点で抑えると言うイメージは湧いてこなかった

(・・・どうにかしてこの差を埋めない限りは試合に勝つなんて言えないよな・・・

 それよりも問題なのはウチが得点する方法・・・あの俺よりも凄い投手から・・・!)

そして伊勢谷達が試合を見守る中でマウンドに上がったのは前に煮湯を飲まされた相手であるエース村上

恐らくはこの地区で最も強い投手だと言われているであろう選手で彼からホームランを打った事があるのはたった一人

その事は彼自身も覚えている事でありそれ故なのか甲子園では一本もホームランを許してはいなかった

もちろんこの試合でもその強気のピッチングは健在でありとんでもないストレートでバットに掠らせすらしなかった

(・・・あれで高校生とか・・・もはやプロの投手だって言われても分からねぇよ・・・!

 本当・・・津城部長はどうやってあんな怪物からホームランを打ったんだよ・・・)



そしてサッカー部も同じく次に自分が戦うかもしれない二校の試合を見に来ていたのだが驚きの結果を目にしていた

「あの・・・確かどっちもウチと同じで無名の高校でしたよね?でもこの結果は・・・」

「ああ・・・どうやら無名だったのは去年までの話みたいだな・・・まさかこれほどとは・・・」

試合の内容を見ると結果は5対0と言う大差ではあるのだが部長達が気にしていたのはそこではなく

なんと相手チームがシュートを打った本数が0本と言う脅威の数字に驚かされていたのだ

もちろん彼らは無名校の選手なのでそこまで強いわけではないがそれでも一本もシュートを打てないのはありえない

あり得るとすればそれは一本もシュートを許しはしなかった勝利校の守備が固かったという事だろう

(特にあのディフェンスの三人・・・高さとパワーがある三年生に脅威的なスピードの二年生・・・

 そして・・・何故か誰も彼に対して反応する事が出来なかった謎の三年生・・・)

向こうの主力となっている選手はディフェンダーの三人でありそれぞれがとんでもない実力を持っていた

キャプテンマークをつけている三年生はその高い身長とパワーで空中戦に対して圧倒的な強さを持っており

平面においては脅威的なスピードでどんな相手にも追いついてしまう二年生

しかし何よりも不気味だったのは最後の一人である謎の三年生の実力だった

彼だけは何故かフィールド内の選手にだけ反応されず簡単にボールを奪い去ってしまうほどのテクニックを持っていた

あまりにも凄すぎて正直な話、相手の方が油断して盗られてしまっているのではないかと誤認してしまうほど

(果たして彼を相手にした時、ウチの慶太だけで三人を抜き去る事が出来るかどうか・・・賭けだな・・・)

こんな強いディフェンダーを前にして部長は慶太のワントップフォーメーションを変えようかとも悩んだが

残念ながらというべきなのかフォーメーションを変えても慶太についていけるフォワードはいない

それならば慶太を信じて敢えてこの不利な勝負を挑む以外に彼らと対等に戦う術はなかった

(恐らく勝負は一点をどちらか先に取るか・・・相手が守備に特化しているチームならその一点さえ守り切れる

 後は俺がこの試合からあの三人の弱点なんかを探って精一杯のアシストをするしかないな・・・)

試合が始まってしまえば部長は自分のプレーや周りへの指示を出す事に専念しなくてはいけなくなる

つまり慶太だけに集中しているわけにはいかず彼に対して個人的なアシストをする事は出来ないと言う事だ

だからこそ逆に試合以外で出来るだけサポートをしておかなくてはならないと部長は先ほど撮った映像を抱えて

彼らと戦うその時までに三人の弱点を暴いてやろうと覚悟を決めるのだった

(俺達は必ず勝って・・・全国まで行く・・・!それが真島部長達との約束だ・・・!)



そしてその夜、練習に励んでいた慶太達は帰ってきた部長に先ほどの試合の映像を見せてもらっていた

ほとんどの者達が自分達の考えていた試合内容とは違い同時に彼らを相手にするのかと緊張していた

そんな中でたった一人、慶太だけはまるで関係ないと言わんばかりに試合の様子を見ずに眠っていた

「アホか!!ちゃんと部長が撮ってきたんだからお前も見なきゃ意味がねぇだろうが!!」

それを同級生の一人が叩き起こすと慶太は文句を言いながらもちゃんと試合に関しては見ていた事を告げる

「確かにディフェンダーの三人は戦う相手としてはキツいけど・・・関係ねぇよ

 要はまともに相手をしなきゃいいだけの話なんだからよ」

「まともに相手をしなきゃいいって・・・それ・・・まともに相手をしなくちゃいけないお前が言うのか?」



「何言ってんだ?むしろ俺が一番、あいつらの相手をしないとも言えるぜ?」

次回はライバル達の視点でお送りします

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