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合宿が終わ・・・ってない?

合宿から帰ってきたのだが?

こうしてみんなの合宿が終わりようやくあの地獄から解放されたと思っていたが

残念ながらごく一部の人間にとってはある意味で本当の地獄が始まろうとしていた

「さてと・・・それじゃあそろそろ弁明を聞くとしようか?もう夏休みも終わるよな?」

「・・・それでまさか宿題に一切、手を付けていないとは・・・頭が痛くなるな・・・」

頭を痛める好夜と晃平の目の前にいたのはもはや何も言い返す事が出来ないで正座している慶太だった

実はあと一週間もしないで夏休みが終わりを迎えようとしているのだが目の前にいる彼は

全くと言っていいほど宿題に手を付けておらず今日まで来てしまったのだ

「流石に合宿があったから出来ない時間は多かったとしてもだ・・・それでもやってないのはおかしいだろ?」

「実はそれなんだけど・・・こいつ・・・ついこの間まで宿題を間違えてたのよ・・・」

「えっえっと・・・そっそれってどういう事なんですか?しゅっ宿題って一つしかないんじゃ・・・」

命の言う通り本当ならば宿題は一つしかないはずなので敬子が言ったように間違えるはずがないのだ

しかし普通ではないのが目に前にいる慶太であり彼女はゆっくりと事情を説明する

「実は夏休み前に先生がこいつの春休みにやった宿題を返して復習させる事にしたのよ

 もちろんそっちに関しては個人でやるようにって渡されたやつだからいつでもよかったんだけど

 こいつ・・・それを夏休みに出された宿題だと勘違いしてそっちをやってたのよ・・・」

「なるほどな・・・それで敬子と宿題の確認をして自分の出された物が違うってようやく気がついたのか・・・」

「だがどうするんだ?こいつの学力だったらあと数日で宿題を終わらせるなんてほとんど不可能だぞ?

 ・・・まぁ・・・一日の睡眠時間を極限まで減らせばおそらく問題はないだろうが・・・」

その言葉を聞いて慶太はもはや覚悟を決めたのかそれとも諦めたのか無言で宿題を机に広げていた

流石の好夜達もその光景を見てよほど精神的に響いているのかと可哀想な気持ちになってきたが

本人の自業自得でもあるのでやはり仕方ないと思いつつ慶太に宿題を教えていく

「つっても俺らも今回は普通にまだ少しだけ宿題が残ってるからそこまで手伝えないけどな」

「俺も今回は合宿に専念していて宿題にそれなりに残っているな・・・すまんが・・・」

「・・・えっ?って事はもしかして・・・命以外、宿題が終わっている人いないって事?」

敬子の言う通り実を言うとこの中で宿題を終わらせている人間は命しかおらず

慶太に教えるにしても今日は絶対に無理だと言う事が発覚してしまった



「・・・えっ?もしかしなくても・・・こいつ大会に参加出来ないんじゃ・・・」



こうして好夜達は急いで宿題を持ってきてみんなでの地獄の勉強が合宿が幕を開けたのだった

「とりあえず俺と晃平は全力を出せば今日の午前中には終わらせる事が出来そうだな・・・そっちはどうだ?」

「私は今日中なら終わらせられるって感じかな・・・流石に手伝うのは無理だと思う・・・」

「私も・・・今回は予定が多かったので終わらせるとなると今日一日は必要かと・・・」

どうやら好夜達は全力で終わらせようと思えば今日の午前中には終わらせられると宣言していたが

敬子と明希音に関してはどうやらそれは無理なようなので手伝う事は無理なようだ

「それじゃあ午前中は慶太に出来る部分だけをやってもらうとして午前からは俺らが手伝うか」

「それしかないだろうな・・・しかしあと数日か・・・本当にギリギリだな・・・間に合うか?」

「間に合わせるしかないだろ・・・じゃないとマジであそこまで練習したサッカー部が可哀想だ」

確かに好夜の言う通り目の前の男は馬鹿ではあるがちゃんとした戦力ではあるので

彼が抜ける事は戦力が半減するしてしまうせっかくの全国進出も逃してしまうという事でもある

そうなってしまえばあんな合宿までしたのにサッカー部が可哀想なので好夜達も全力を尽くす事を決めた

好夜と晃平は凄まじい速度で宿題を終わらせていく一方で慶太は本当に解ける部分だけを必死にやっていた

その様子はもはや完全に意識を失った機械であり頭で答えていると言うよりも体で答えている感じだった

しかしそれでも解けているだけマシというものでありこれまでの慶太だったら絶対に解けていないだろう

だが問題はこの状態がいつまで続くのかという事であり途中で電池切れを起こすのではないかと全員が考えていると

「・・・あっ・・・気絶した・・・」

思った以上にその時は早く慶太はよく分からない言語を発したかと思うと次の瞬間には机に倒れた

おそらくは頭が限界を迎えたのだろうが好夜達としてはもはやこれすらも想定内だった

「思ったよりかはもった方だな・・・まぁもうそろそろお昼だしちょうど良かったって感じか?」

「そうだな・・・だがこれで一割ほどか・・・出来れば今日で二、三割は終わらせたいんだが・・・」

「・・・大丈夫か?どう考えてもそれは本人が最後まで持たないような気がするんだけど・・・」

「いいんじゃない?それくらいすれば大会でどんな事があっても動じない精神力が身につくでしょ?」

敬子の言葉を聞いて好夜達はスパルタだと思ったが残念ながら宿題が出来ていない慶太が悪いので反論の余地はない

と言うわけで好夜達は敬子の案を採用して本人の許容範囲ギリギリまで勉強させる事にした

(・・・これ・・・もしかして今日が俺の命日なるんじゃ・・・いや・・・なるかも・・・)



「どうにか終わらせる事が出来たな・・・後は慶太の手伝いをするだけだが・・・これ大丈夫か?」

「一応はこいつの勉強を見てやったが・・・かなりヤバいぞ?さっきの解いていた一割も間違えてたしな」

好夜も先に宿題を終わらせていた晃平が気絶している慶太の勉強を見ていたらしいのだが

どうやら先ほどの問題に関してもかなり間違いがあったようで晃平は頭を抱えていた

何故ならば今日中にこれを直した上で更にあと一割も終わらせなくてはいけないと言うノルマがあるからだ

しかもこれを終わらせたとしてもまだまだ宿題は終わらないので本当に終わるのかとかなり不安になっていた

「・・・とりあえずは何も考えず昼にしようぜ・・・今は腹にエネルギーを溜めないと・・・」

「・・・そうだな・・・どうやら午後から本当に地獄が始まりそうだからな・・・俺らも・・・」

男二人はもうダメだと判断したのかご飯を食べる前から若干、やつれたような表情をしており

その様子を影から見ていた命達も流石に同情しながらとりあえずお昼ご飯であるそうめんを持ってきてくれた

「はぁ〜・・・そういえば野球部って新しくコーチが入ってくれたんだよな?どうだったんだ?」

好夜はご飯を食べながら命から聞いていた野球部のコーチについて詳しく本人から聞いてみたいと思い

晃平からどんな人物でどんな練習をしてもらったのかを聞いてきた

「そうだな・・・正直な話、入ってくれただけでも嬉しいとは思っていたが野球の知識はかなり豊富だし

 練習もかなり効率の良いものを考えてくれていて俺としてはかなり助かっている・・・

 後は部員である俺達がどれだけその経験を大会で活かせるかってところだろうな・・・」

「なるほどな〜・・・まぁ頼りはお前もそうだけど後は野球部のエースである伊勢谷か・・・」

野球は基本的に九人でやるものではあるがその中でもエースと四番の役割はかなり大きいと言っても良いだろう

それこそ試合を左右するほどに重要でありその役目を持っている伊勢谷と晃平次第で大会の行方は変わってくる

しかしここで問題になってくるのは晃平は去年の大会でかなり目立ってしまっていると言う事であった

「今年の大会は最初から敬遠される事が多そうだな〜・・・となると今年は投手頼みか・・・」

「ああ・・・伊勢谷にはかなりの負担を強いる事になってしまうがそれは先輩達でカバーするしかない

 コーチも三年生はあの地獄の練習を超えてきたから精神力は問題ないと話していたしな」

そう・・・今年の三年生は地獄とも言えるべき龍間の特訓に二年も付き合ってきた猛者達なのだ

野球の実力はともかくとしても精神力に関してはそこら辺の高校に負ける事はないだろう

だからこそどんな逆境であったとしても必ず後輩達を支えてくれるはずだと晃平は信じていた



「そう言う好夜はだったんだ?確か生徒会長を鍛えてくれた人の場所で練習したんじゃなかったか?」

「まぁな・・・流石にめちゃくちゃ強くなったとは言えないけどそれでも試合を楽しめるくらいには強くなったさ」

「試合を楽しめるだけにはか・・・それを聞くと逆に余裕そうだと思ってしまうな」

確かに晃平の言う通り今の好夜の表情と言葉を聞けばとても緊張しているようには見えなかった

しかし彼は知らない・・・こんな彼でもついこの間までずっと心の中で心配していたという事を・・・

そしてそんな彼の迷いを晴らしてくれたのが命だと言う事も・・・

肝心の本人がその言葉を聞いてとても恥ずかしそうに顔を赤くしている事も・・・

「でも・・・少しだけ悲しいのはこの大会がどんな形で終わるにしても・・・三年生は引退だって事だよな・・・」

「・・・ああ・・・そう言った意味では今年こそは先輩達に最高の形で引退してもらいたいと俺達は思っている

 流石にそこまで大きな目標を掲げるつもりはないが・・・それでも甲子園出場くらいは狙いたいな・・・」

そう・・・かつて龍間と追いかけていた夢でありその半ばで終わってしまった大きな夢

それを今年こそは叶えて先輩達に良い思い出を残してあげたいと晃平は考えていた

だからこそ野球部の部長である自分に出来る事はなんでもしておきたいと決意していた

「・・・まぁその前にまずは目の前にいるこいつの問題を片付けないといけないんだけどな・・・」

「・・・正直な話、自分の部活よりも心配になっている・・・サッカー部に関しては・・・」



「・・・もう・・・ムリ・・・」

次回でいよいよ合宿編は終わりです!

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