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合宿へのおやつは何円まで?

今回は合宿前の買い出し回です

いよいよ学校も夏休み直前、好夜達は合宿に向けて最後の準備を始めていた

「後は合宿に持って行く色々を買うだけだな・・・つってもこの量はな〜・・・」

「見事なまでに多いですね・・・これってもしかして部員全員分ですか?」

実は好夜のメモに書かれていた内容は自分だけの物ではなく部員全員分の量が書かれていたのだ

流石にこれを一人で買う訳はなかったのだが実は今回だけ好夜しかいない理由があった

「実は俺と一緒に買い物するはずだった先輩が風邪を引いちゃったらしくてさ・・・

 熱は治ってるんだけど合宿までには治してもらいたいから帰ってもらったんだ」

「あ〜・・・確かに今の時期って風邪を引き易いですからね〜・・・何かお手伝いしましょうか?」

「いや・・・お前らだって仕事が残ってるんだろ?これは俺一人でどうにかするから心配するな」

今回は生徒会の仕事を手伝えないので好夜はこれくらいだけの仕事ならば一人で片付けようと考えていた

しかしやはりこれだけの量を一人で持つのは無理だと考えておりどうしようかと悩んでいた

「あの〜・・・そのお手伝いなんですけど他の人に頼めないんですか?」

「今はどこの部活も合宿の準備で忙しくて手を貸してくれそうな部員なんて一人も・・・」

真司の問いに対して好夜の回答はそんな暇な人物は今の時点ではいないという事だけだった

だが彼らは忘れていた・・・そんな忙しい時にこそ絶対に部活をサボっているであろう男の存在を・・・

「・・・どこに行くんだ慶太?確かサッカー部は合宿前の追い込みをしているはずなんだが?」

「いっいや〜・・・その練習の途中でトイレに行きたくなったから学校の中にいるだけだけど?」

「それなら別に一階のトイレでも問題はないはずだよな?なんで生徒会室のある三階にいるんだ?」

明らかにサボりに来ていた慶太は次々に好夜からの正論を言われて徐々にその逃げ場を失っていく

そんな中で好夜は特別に練習からサボる代わりに自分を手伝わせる逃げ道を用意するのだった

「まぁそこまで練習をサボりたいのなら俺の買い出しを手伝ってもらおうか?」

「・・・それって確実に拒否権がないやつじゃねぇか・・・はぁ・・・しょうがねぇな〜・・・

 まぁあんなきつい練習をするよりかは重い荷物を運んだ方が大分マシか」

こうして渋々ながらも慶太は好夜の買い出しに付き合う事を決めたのだが彼はまだ気づいていなかった

これで練習をサボる口実を作ったとしてもそれで今日の練習自体が無くなるわけではないと言う事を・・・

そう・・・つまりは買い出しが終わった後で彼は今日の分の練習をする事になるのだった・・・



「てか好夜のテニス部は今年もやっぱり期待されてたりするのか?前回は全国優勝したし」

「そんなわけないだろ・・・むしろ会長が抜けて大丈夫なのかって心配されてるくらいだよ」

好夜の言う通りあくまでテニス部が名門と言われていたのは菓家会長が居たからであり

その彼がいない今年はむしろ地区大会すら勝てるのかと心配されているほどだった

だからこそ他の部員達は一番の実力者である好夜に期待しているのだが本人にその自覚はない

「へぇ〜・・・でも好夜だったら普通に地区大会くらいは勝ち進んでもおかしくはないんじゃないか?」

「それはトーナメントである人次第かな〜・・・あの二人と当たったら勝てる気がしない・・・」

その二人とは去年の大会で実際に戦ってはいないが会った事だけはある宮園と東の事だった

宮園とは彼のウォームアップに付き合ってその時にとんでもない実力を持っている事が理解出来た

おそらく今の自分では絶対に勝てないだろうと思ってしまうほどの決定的な実力の差が・・・

「ぶっちゃけあの二人が同じブロックで俺が反対側で決勝まで行ければ可能性はあるんだけどな〜・・・」

「お前がそこまで言う相手なのかよ・・・俺らはそんな相手がいなくてよかった〜・・・」

確かに慶太の言う通りそこまでの実力者と同じ地区ではないサッカー部はそこまで気負う必要はないだろう

しかしそれはあくまでも明確な実力を持っている相手がいないと言うだけで強い相手は普通にいる

実際にサッカー部は去年の大会で決勝戦までは進んだが全国常連の高校と力は拮抗しており

たった一点の差で負けてしまったがそれで全国の道を逃してしまったのは間違いない

「つまり今年で全国に行こうとするのならこの周辺の学校には負けないようにしないとな?」

「そんな事は分かってるよ・・・だから先輩達もあんなに必死で練習してるんだろうが・・・俺は違うけど」

「いやそこはお前も練習しておけよ・・・去年の事で一番悔しい思いをしたのは他でもない・・・お前だろ?」

去年の大会では慶太は最後の最後に体力が尽きてしまいそこで交代させられてしまった

結果として試合にも負けてしまい健太は途中で退場した事を踏まえて二重の意味で悔しい思いをしていた

だからこそ今年はその高校にも負けず全国まで勝ち進まなくてはいけないのではないかと告げるが

「いや〜・・・俺も確かにそこまで頑張らないとダメかもな〜って考えたんだけど・・・

 よくよく考えたらあの学校ってほとんどが三年生だったし控えの選手も見えなかったから

 もしかしたら今年は実力を落としてるんじゃないかと思ってさ〜」

「・・・いやそんな簡単に実力を落とす高校なら初めから全国常連なんて言われてないだろ・・・」



「・・・そういえばさ・・・去年はサッカー部って合宿しなかったんだよ・・・」

「そうなのか?真島さんが部長をしてたのにしなかったなんて変だな?」

「いや単純に去年は合宿をする場所がなかったし学校に申請しても通らなかっただけなんだが・・・

 俺が気になっているはそこじゃなくて・・・合宿におやつって持っていっていいのか?」

いきなり慶太は何を言い出すかと思えばなんとその口から発せられたのはめちゃくちゃどうでもいい事だった

これには流石の好夜も呆れたような顔をしておりこの男は合宿に参加させてもいいのかと不安に思っていた

「なんだよ!?お前だっておやつくらい持っていってもいいのか気になるだろ!?

 それに遠足とか修学旅行とは違うから金銭的な制限もないからな!」

「いやそこはサッカーで使ってる道具が壊れるかもしれないから取っておけよ・・・」

本来、合宿とは普段の部活で出来ないような質が高い練習を集中してやる毎日になる

となればもちろんの事、使っている道具の消耗も早く下手をすれば合宿で壊れる道具もあるだろう

そうなれば現地で調達するしかないのでそんなおやつなどに無駄遣いをしている場合ではないのだが・・・

「何言ってるんだよ!?おやつくらいで俺がそんな万札を使うような人間だと思っているのか!?

 ちゃんとそれくらいは残しておくだけの頭は持ってるぞ!一つくらい道具が壊れても問題はない!」

(・・・いや・・・何も壊れるのは一つだけって決まっているわけじゃないと思うんだが・・・)

しかしこれ以上は何を言っても慶太には無駄だろうと思った好夜は彼の思い通りにさせる事にした

「それで?合宿におやつを持っていってもいいのかって話だけど・・・甘い系のお菓は問題ないんじゃないか?」

「甘い系のお菓子?どうしてしょっぱい系はダメなんだ?普通にポテチとか持って行こうかと思ってたのに」

「甘いお菓子は疲労回復には丁度いいからな。それを説明すればチョコくらいは持っていけるだろう」

確かに好夜の言う通り甘いチョコなどのお菓子には疲労回復が望める様々なものが含まれており

休憩時間にわざわざチョコを食べるような運動選手も少なくはないと聞いた事があった

これならば十分におやつを持っていってもいい理由になるので大丈夫ではないかと思っていると

「そうか!ならポテチにチョコがかかっているやつなら部長からの許可も降りるというわけだな!?」

「・・・俺の話を聞いてたか?チョコなら大丈夫だと言っただけで

 チョコがついていればなんでもいいってわけじゃないんだぞ?」

「とにかく俺は今からそれを買ってくるから少しだけ待っていてくれ!すぐに戻る!!」



「・・・後で拒否されても俺は絶対に知らないからな・・・」



そして案の定と言うべきなのか慶太の持っていったチョコ付きのポテチは却下されて本人は不貞腐れていた

「・・・話が違ぇじゃねぇかよ・・・チョコなら許可をくれるって話だったじゃねぇか・・・」

「いやそれはどう考えてもあんたが悪いでしょうが・・・しかもなんでポテチにこだわるんだか・・・」

今までの話を聞いていた敬子も明らかにそんなものを渡した慶太が悪いと思っており呆れていた様子だった

そんな中で気になっていたのはどうして慶太がここまでポテチにこだわるのかと言う事だった

「・・・そんなもん決まってるじゃねぇか・・・!合宿の夜と言えば男達がこっそりとポテチを囲みながら

 好きな女子とかエロい話とかそう言った秘密の話に必要な必需品だからだ!」

あまりにもどうでもいい理由だった為にその場にいた全員が慶太に対して冷ややかな視線を向けており

この間違った常識は一体どこから植え付けられたのだろうと少し本気で彼の将来を心配していた

「でも本当にこれから合宿が始まるのよね〜・・・なんか大会が始まるわけでもないのに緊張してきた」

「まぁある意味では大会に向けた最後の追い込みでもあるからな・・・緊張するのは当然だろ?」

合宿をする時期はそれぞれ異なっているが多くの部活に関しては大会に向けて最後の追い込みになっている

逆を言えばそこで自分の実力が底上げ出来なければ大会を勝ち進むなんて事は出来ないと言う事

「・・・それに・・・三年生にとっては高校生活で最後の合宿になるんだからな・・・」

そしてもう一つの理由は・・・三年生にとってこの合宿が最後になる事を意味しているからもあるだろう

おそらくはこの合宿で自分達の出来る精一杯をしたいと思っているのは彼らで間違いない

「・・・私らも負けてはいられないわね・・・!」



「ああ・・・なんとしても全国に行かないとな・・・!その為には合宿、頑張らないとな!」

次回は合宿所に向かいます

好夜と敬子だけは他と別行動になってしまうが果たして・・・

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