新入生、来る!
今回は部活関係から行きます
いよいよ始業式を終えて翌日は入学式・・・つまりは新入生がやってくる時期となった
もちろんこれには生徒会だけではなく他の各部活も大いに忙しくしていた
理由はもちろん新入生を部活に勧誘する為でありもはやなりふり構っていられない部活も多い
もちろんそんな強引な勧誘は御法度なので生徒会が厳しく取り仕切っており忙しい事、この上ない
「はぁ・・・でもぶっちゃけ彼らの言いたい事も分かるんですけどね〜・・・
俺らとしても新入生には入ってきてほしいと思ってますから」
しかも生徒会に所属している好夜としては彼らの気持ちがわかってしまうほど参っていた
「そういえばもうそろそろ新入生達がこちらに向かってくる時間ですね?
校門の方へ向かって彼らの案内をしながらいい人材がいないか探しましょう!」
完全に職務を利用して品定めをしようとしている足立に思わず苦笑いする好夜と命
(でも実際にそんな優秀な人材がいるかな〜・・・居てくれるといいな〜・・・)
もはや希望的な観測に過ぎないが好夜としてはどうか優秀な人材が居て欲しいと祈りながら校門に向かう
するとそこには既にチラホラと新入生達の姿があり緊張している様子を見て少し懐かしく思っていた
(あ〜・・・でも俺はみんなと再会したのが嬉しくて緊張とか忘れてたかも・・・
でもこれから彼らも俺らと同じような一年を過ごす事になるんだろうな〜・・・)
彼らの一年がどんなものになるのか楽しみに思いながら好夜は彼らを新しい教室に案内する
「う〜ん・・・めぼしい人材って言われてもな〜・・・流石に見た目だけで判断なんて出来ないでしょ」
確かに好夜の言う通り優秀かどうかなんて見た目だけで判断出来るようなものではないだろう
となるとやはり重要になってくるのは彼らの自主性であり自分達がどれだけそれを刺激出来るかだ
「一応はみんなと一緒にあのポスターを作ったけど・・・あれでどれだけの人が集まってくれるか・・・」
ポスターをみんなの意見を参考して作ったのはいいがそれでもやはり不安は残ってしまうものであり
果たしてあれだけでどれだけの人が来てくれるのか好夜は色々を考えてしまい頭の中がこんがらがっていた
(・・・今は考えるのはやめよう・・・まずは新入生がちゃんと無事に初日を迎えられるようにしないと)
しかし今はそんな事を悩んでいる場合ではないと好夜は気持ちを切り替えて生徒会の仕事を全うする
そんな中で忙しそうに生徒会の仕事をしている好夜達の姿を真剣に見ている新入生達がいた
(凄いな・・・僕も頑張ればあんな風に大人っぽくなれるのかな・・・!)
こうしてどうにか入学式は終わりを迎えていよいよ新入生の部活勧誘会が始まった
文系の部活は体育館でそれぞれどんな事をしているのかをアピールしており
これには同じく文系の部活である足立と命が生徒会として場を仕切っている
そして好夜は先生達と連携して体育会系の部活を重点的に見回っていた
「とりあえずテニス部は問題ないとして・・・次はグラウンドを使っている野球部とサッカー部だな」
みんなの様子を見る為に好夜は野球部とサッカー部が勧誘会をしているグラウンドへと向かった
グラウンドについてみると思った以上に賑わっておりこれならば心配する必要はなかったと思っていると
「おっ!好夜〜!見回りか〜?なら少しだけサッカー部の様子を見に来ないか〜?」
何やら明らかにサボっていそうな慶太がサッカー部の勧誘会の様子を見に来ないかと誘ってきた
どちらにしてもみる必要はあると考えていたので好夜はその誘いに乗る事にしてサッカー部を見学する
「へぇ〜・・・やっぱり人気なスポーツだけあって随分と入部希望者が多いんだな?」
思った以上にたくさんいる入部希望者を見て好夜はサッカー部は問題ないだろうと思っていると
「いや〜・・・実はそれが問題になってて・・・別にサッカーをやるのはいいんだけど
遊びで入ろうとする奴が多くてさ〜・・・それで今は入部テストをしてる真っ最中なんだよ」
どうやら逆に人気なスポーツが故に不純な動機で入ろうとする新入生が多いらしく
それを減らす為に急遽、入部テストを行なっているらしくそれなりに忙しくなってしまったようだ
「なるほど・・・でも本当にそれでちゃんと入部希望者を捌けるのか?
やる気のある人間まで脱落にしてたら意味がないだろ?」
確かに好夜の言う通り入部テストで振り落としたいのはあくまでも不純な動機で入ろうとする者
別に下手であろうとも一生懸命のサッカーをしたいという人間をあまり落として欲しくはなかった
「そこら辺は心配しなくても大丈夫だよ・・・ちゃんときっちりやってるからさ?」
そう言って慶太はグラウンドを方を指差すとそこでは実戦形式で新入生と部員が勝負をしていた
自分の力をアピールしようとしている者は割とコテンパンにやられており
逆に一生懸命に仲間の為にどうやって勝てばいいのかを考えて行動している者は評価されていた
「なるほどな・・・実戦形式でなら相手の力量も見られるしあれだけの実力差を見せたら
どれほどの覚悟を持ってサッカー部に入部したいって思っているのかも分かるって寸法か」
「まぁな!・・・一つだけ納得いかないのは俺が審査員にしてもらえなかった事だけどな・・・!」
「お前の場合は審査員をするよりも練習に参加して後輩達に実力を見せつける方が早いだろ?」
好夜にも先ほど部長に言われたような正論を言われてしまい流石の慶太も不貞腐れる
「とにかくサッカー部は大丈夫そうだし次は野球部の方に行ってみるよ」
サッカー部の方は問題なさそうだと判断した好夜は次に野球部の方に向かってみると
こちらもサッカー部ほどではなかったがそれなりの人数が来ており好印象なのだと喜んでいた
「晃平〜!見回りに来たんだけど調子はどうだ〜?何か問題とか起こってないか〜?」
好夜は遠くにいる晃平に対して問題は怒ってないかどうかを尋ねると何やら難しい顔をして
「問題は起こってないんだが・・・実は新入生に勝負を挑まれてしまってな・・・」
それは問題と言うのではないかと思いながらの好夜はとりあえず話を続けてもらう
「えっと・・・因みにだけど何でそんな勝負をやる事になったのか教えてもらっていいか?」
晃平の話ではどうやらその新入生はそれなりに名門の中学で野球をしていたのだが
両親の都合でこちらに引っ越す事が決まってしまい
ならば自分の所属する野球部を全国に行けるほど強くすればいいと考えて
まずはその実力を見る為に部長である晃平に勝負を挑む事にしたらしい
(う〜ん・・・考え方はまぁあれだけど・・・志は百点満点と言ってもいいだろうな
となると問題は・・・この勝負でどれほどの実力を持っているのかを確認するだけだな)
正直な話をするのならば晃平が負けたところでそれほどの実力を持っているという証明になるので
それはそれで願ってもない事だと思いながら好夜はその勝負を見守る事に決めた
「いいか!勝負は三打席!その間にアンタがヒットを打ったら俺の負け!
三打席全てを抑え切ったら俺の勝ちだ!勝ったら野球部は俺の指示に従ってもらうからな!」
対戦相手の新入生はよほどの自信があるのか一打席ではなく三打席勝負を挑んでいた
それを聞いて好夜もそれだけの自信があるのだから腕もそれほどの物を持っているのだろうと考えていた
「ああ・・・俺が負けたら野球部の部長はお前にくれてやる・・・!
だが俺が勝ったら野球部に入ってもらうし俺の言う事は聞いてもらうからな?」
その言葉を聞いてその新入生は出来るものならやってみろと言わんばかりの笑みを浮かべており
そしていよいよみんなが見ている中で二人の勝負は行われる事になった
(まずは一球目・・・これでこいつの実力が分かるな・・・)
晃平も好夜と同じように考えていたようで一打席は完全に相手の実力を見る事にした
そして綺麗なフォームから投げられた球は完璧なコントロールでキャッチャーのミットに入った
「おぉ〜・・・!予想以上の速球だな・・・!確かにあれだけの事を言うだけはある」
肝心のスピードも豪速球とまではいかないが並の相手には打たれないであろう程の速さがあり
これには打席に立っている晃平もこれほどの逸材が来てくれたのかと嬉しそうにしていた
(スピードは分かったし・・・次はどれほどの球種を持っているかだな・・・)
様子を見ると言ってもそれはあくまで相手の実力を見る為なので流石にストレートで三振だけは避けたく
ヒットにするつもりはないがせめてファールぐらいにはなろうと晃平は考えていた
そして続く第二球は先ほどと変わらないスピードだったが手持ちで軌道が逸れた
ファールにするつもりで晃平はバットを振っていたので何とか当てる事は出来た
(凄いな・・・ストレートと同じ球速でカーブまで投げられるのか・・・)
一打席を捨てるつもりではあったが今の晃平は完全に追い詰められたような感じになっており
向こうも同じように思っているようでまるで勝てるかのような笑みを浮かべていた
最後の第三球目も投げられて晃平はそれに合わせてバットを振ったのだが球が落ちた
(なっ?!フォークまで投げられるのか?!ぐっ!このままじゃ当たらない・・・!!)
晃平はこのままでは三振するかと思い短く持っていたバットを長く持ってとにかくボールに当てた
しかし当てただけでは真っ直ぐ飛ぶわけもなく晃平はそれを腕力でどうにかしたのだが・・・
「・・・これは飛び過ぎだな・・・間違いなく場外ホームランコースだ」
まさかのホームランに好夜はやってしまったと思いながらもとりあえず成り行きを見守る
「あ〜・・・とりあえず勝負は俺の勝ちって事でいいか?」
そして肝心のホームランを打った晃平も居心地が悪そうにしながら大丈夫か尋ねる
「・・・すげぇ・・・!」
「ん?」
「すげぇっす!先輩!いや部長!俺一生、部長についていきます!」
「おっおう・・・」
こうして野球部にも待望の新入生が入ってきたのだった
次回はいよいよ生徒会新メンバー!




