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体育祭 中編

体育祭の続きです!

「はぁ〜・・・なんとか勝てた〜・・・」

好夜は自分のクラスに帰るとすぐにダラけていた

「さすがに接戦だったな」

晃平の言う通り、先ほどの競争は好夜と慶太の二人だけの戦いになっていた

「マジでな〜・・・今回はマジで負けると思ったわ」

それは好夜も思っていた事らしく今度こそ負けるのではと思っていたようだ

「まぁ・・・あいつはそれくらいの意気込みなんだろうな・・・」

すると晃平は当然、慶太は勝つ気で望んでいると言っていた

それを聞いた好夜は少し不思議に思っていた

確かに慶太は毎回勝負を挑んでくるが

それはどちらかと言うと好夜に対する対抗心みたいなのであり

今回のように本気で何かを賭けているような感じではなかった

しかし今回は違っていた

今の彼は絶対に勝ってやるという鬼気迫る勢いがあるのだ

「・・・何かあったのか?」

好夜は何か理由があるのか確認する

「別に深い理由はない・・・ただあいつのクラスメイトに聞いたんだが

 俺達が去った後であいつはバスケ部に残ったらしいんだが

 常にお前の穴を埋めようと奮起していたらしい・・・」

それを聞いてようやく好夜は納得した

慶太は自分を越えようと必死にもがいていたのだ

そしてそれが今、試せる時が来てしまったのだ

「つまりあいつはこの体育祭で俺を超えたいってわけか・・・」

好夜はこの先をどうしていこうか悩んでいると

「おそらくだが・・・手加減すれば恨みを買うぞ・・・」



「・・・だな・・・」



「・・・つっても次の競技に俺は参加しないんだけどな・・・」

しかし残念ながら次の競技は玉入れであり

この競技に好夜は参加していなかった

「・・・ってかひどいな・・・これ・・・」

そう言っている好夜の目の前に広がっているのは

高いはずの籠に背伸びをして玉を入れていく晃平の姿があった

もはやこの勝負はどの組が勝ったのかなど決まったものだった

「お疲れ〜・・・」

こうして案の定一位で帰ってきた晃平を労うと

「そんなに疲れてはいないんだが・・・」

それを聞いて好夜はだろうなと思っていた

「そういえば次の種目は何だ?」

そのまま次々と体育祭は進んで行き

好夜は次の種目は何なのか晃平に聞く

「えっと・・・確か二人三脚だな」

晃平はスケジュールを確認してみると次は二人三脚だった

「・・・ってことは・・・」

それを聞いて好夜はこの前に誰がどの種目に出るのかを思い出していた

そしてこの種目に出るのはもちろんあの二人

「「優勝しなかったらあんた(お前)の所為だからね(な)」」

いざ種目が始まる前なのに慶太と敬子は再び喧嘩をしていた

そしてそれを見ていた全員が思っていた

(((この二人・・・大丈夫なのか?)))

確かにこんだけ喧嘩をしていたら普通はダメだと思うだろう

しかしこれが当たり前だと知っている好夜達はいつもの事だと思っていた

そしていざスタートの合図が出てみると



「「「早ぇぇぇぇぇ!?」」」



「テメェ!少しは俺に合わせろよ!」



「何言ってるのよ!あんたこそ私に合わせなさいよ!!」



(((でも結局喧嘩したままだぁぁぁぁぁ!?)))

二人は互いにいがみ合いながらもその速度は

他のみんなより一つ飛び抜けていた

「これは・・・一位は決まったな・・・」

みんなはすでに二人三脚の一位は決まったと思った

結果、みんなの予想通りに敬子と慶太のペアが一位になった

「う〜ん・・・ここまでくると本当に俺達

 制限をかけられるレベルだな・・・」

その結果を受けて好夜は

自分達が出場制限をかけられるのに納得してしまった

「いや・・・悪いが俺はそこまですごいとは思えないぞ?」

しかし晃平は自分がそこまですごいとは思えなかった

「お前の場合は背の高さが異常だからな

 多分その所為だろ?」

それに対して好夜はその背の高さがずるいのだと言い放った

「それを言われてしまったら何も言えないんだが・・・」

背の高さに関しては晃平自身も明らかに他とは違うと思っているらしい

「まぁ・・・一番この制限をかけられたのは

 間違いなくあの三人だと思うけど・・・」

そう言って好夜は三年生の出番を見てみると

「うぉぉぉぉぉ!!」

めちゃくちゃ熱血で他を圧倒する野球部部長の龍間と

「ハ〜ハッハッハッ!僕の美技に見とれるがいい!」

めちゃくちゃトリッキーな動きで

目立とうとしているサッカー部部長の真島

「・・・・・!」

そして無言で一位を取りまくっていく生徒会長の菓家

もはや三年生のゾーンはこの三人の独占状態だった



「・・・どうやら俺達以上の先人がいたみたいだな・・・」



「いや・・・あれと比べられたくはないな・・・」

さすがの好夜もあそこまで自分達が酷いとは思いたくなかった

「そういえばあいつらはどうしたんだ?」

すると晃平は先ほどから慶太と敬子が戻ってこないことに気がついた

「さぁな・・・あいつらの事だからまだ喧嘩してるんじゃないか?」

好夜は二人の事だからいつもの喧嘩をしているのだと思っていた



「ねぇ・・・なんであんたそんなに必死なの?」

慶太の異変に気がついた敬子はその理由について本人に尋ねる

「・・・別に・・・お祭りなんだから一位になりたいって思うだろ・・・」

そう慶太本人は言っていたがすぐに敬子はそれが嘘だとわかった

確かに彼はいつも一位になろうと思ってはいるが

それはあくまでみんなと楽しむ為に目指しているものだった

しかし今は違った

まるで一位を取らなくてはいけないような

それほど鬼気迫ったものがあったのだ

そして敬子はおそらくだがその理由を知っていた

(多分こいつ・・・好夜に超えたいと思ってるんだ・・・)

敬子も晃平と同じく慶太の過去を知っていた

だからどれだけ慶太が苦労していたのかを理解しているつもりだった

(でも・・・これは私がどうこうできるわけでもない・・・か)

しかしだからといってどうにかできるものではないことを敬子は知っていた

そして全てを超えるべき目標として見ている好夜に全てを任せることにした



一方その頃、超えるべき対象となっている男はと言うと

「・・・なんか微笑ましいな・・・」

命の借り物競争を見てほのぼのとしていた

「さて・・・何を引いたのかな?」

好夜は命がどんなお題が書かれていたのか気になっていると

お題を確認した命はそのまま真っ直ぐに三年生の席に向かった

「あれ?三年生に関するお題なんて入ってたっけ?」

しかし好夜はそれが疑問だった

なぜなら学年限定したお題は入れてなかったはずだからだ

だが命は真っ直ぐに三年生の席に向かった

一体何でなのかと思っている命は

三年生の席からまさかの生徒会長を連れて行った

もちろん生徒会長の足は折り紙付きなので

そのまま命は一位でゴールを果たした

「おかえり!何が書かれてたんだ?」

帰ってきた命に好夜はお題に何が書かれていたのか確認してみると

「えっとね・・・『スケベな人』」

それを聞いた好夜と晃平は絶句してしまった

((一体誰だこんなお題入れた人は!?))

二人は誰がこんなお題を入れたのだと思っていたが

もはや思い当たる人は一人しかいなかった

その張本人はまさか命が引くとは思っていなかったのか

先ほど命のお題をこっそりと見せてもらって爆笑していた

「あの人・・・とんだ爆弾を投下するな・・・」

好夜は未だ三年生の席で笑っている香野を睨むのであった



「・・・そういえばこれには明希音も参加するんだったよな?」

そして好夜はもう一人の参加者である明希音がいることを思い出した

「ああ・・・確か次の走者だったな」

晃平もこれは気になっているようで集中して見ていた

スタートの合図と共に明希音が駆け出していく

そしてほとんど同時にみんなはお題を引いた

そこで一番最初に動けたのは明希音だった

そして一目散にこっちに来て

「晃平くん!お願い!」

晃平を連れ出して行ったのだった

そしてなぜか他のみんなはお題に悩まされており

その組では明希音だけがゴールすることができたのだった

「・・・で?お題にはなんと書かれていたんだ?」

晃平は明希音にお題がなんなのか聞く

「ん〜?『背の高い男性』」

それに対して明希音は隠すことなくお題を見せた

「背の高い男性って・・・俺以外にもいるだろ・・・」

それを見た晃平は他にも候補はいたはずだと告げる

「え〜・・・だってこの学校で一番大きいのは晃平くんだけだよ?」

明希音の言う通りこの学校で一番背が大きいのは晃平だった

だがおそらく明希音が晃平を選んだのは他にも理由があるだろう

しかしそれはまだ内緒にしておくべきことだった

「・・・てか何で他はお題の人を連れて来なかったんだ?」

好夜は他の人たちが何でお題の人を連れて来なかったのか聞くと

すると他の生徒は何も言わずに自分が引いたお題の紙を見せてくれた

そこにはこう書かれていた



『独身三十路の女教師』『彼女いない歴=年齢の男』『化粧の濃い女生徒』



「「「・・・・・」」」

さすがの三人もこれにはかける言葉もなく

ただ残念だった・・・そう思うしかなかった

「・・・香野・・・後で説教がある・・・」

するとそのお題を影から生徒会長が見ていた

そしてこのお題を書いたであろう香野の説教が確定した

「・・・とりあえず他の応援もちゃんとしておくか・・・」

好夜達は何も見なかったことにして再びみんなの応援を再開するのだった

「・・・てか次は男子の番だったな・・・」

しかし好夜達は忘れていた次は男子の番だということを

そしてこの種目には晃平も参加するのだ

だが今のを見てしまったらとてもではないがやる気はしなかった

でもやらないわけにはいかないので晃平は覚悟を決めて

借り物競争に参加した

そしてお題を引いて一瞬だけ固まってしまうが

すぐに立ち直り明希音の方へと向かっていった

「来てくれ!」

明希音は晃平に連れられていき一緒に一位でゴールした

「それで?晃平くんの紙にはなんて書かれてたの?」

明希音は何のお題を引いたのか尋ねるが

「『幼馴染』だそうだ」

そう言って自分のクラスに戻っていった

しかし本当は紙にはこう書かれていた






『一緒にいてほしい人』

次回はいよいよ好夜と慶太の戦いに決着が!

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