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出し物の準備は忙しい

今回は晃平と慶太視点でお送りします

少し時間は遡り晃平は朝一から部員を集めて朝のHRが始まる前にお別れ会の準備をしていた

「ある程度の飾りと出し物の練習はしているが・・・やはりメインがないのは厳しいな」

と言ってもあくまでもお別れ会の飾り付けと先輩方への出し物を考えているだけで

今まで野球部を引っ張ってきた龍間にしてあげるようなメインイベントはまだ決まっていないのだ

「確かにあの人は野球一筋って感じで何が喜ぶのか分からない部分があるからね」

悩んでいる晃平に話しかけてきたのは野球部の副部長で二年生の近江(おうみ)だった

「近江先輩・・・そうなんですよね・・・あの人の喜ぶ事と言っても野球ぐらいしかないのですが

 流石に他の体育部を差し置いてグラウンドを使わせて貰うわけにもいきませんし」

この学校はそれぞれの体育会系の部活に練習する場所があるのだがお別れ会の日は誰も使っていない

それなのに自分達が使わせて貰うわけにもいかずどうしようかと考えていると

「・・・それなんだけどさ・・・実はこの前に足立に確認したんだけど別に事例がないというだけで

 先生に許可をもらえる可能性は十分にあるらしいんだが・・・頼みに行ってみるか?」

どうやら近江の話では事例がなかったというだけでありお願いしに行った部活は存在しないので

もしかしたら先生に許可を取ればグラウンドを使う事は出来るかもしれないそうだ

「そうですね・・・それじゃあ放課後になったら職員室に行って先生に聞いてみたいと思います」

その話を聞いて晃平はそのもしかしたらに賭けて職員室にお願いしに行ってみる事にした

「でも大丈夫なんですか?先輩もクラスの出し物もあるし部活の方ばかりに顔を出しているわけには」

そんな中で晃平が気にしていたのは先輩である近江が自分のクラスの出し物もあるのに

こんな風に部活のお別れ会も準備していて本当に大丈夫なのかと心配していたのだ

「そうだな・・・でも別にこっちで忙しくしているわけでもないぞ?こっちでは後輩を見るだけだし

 クラスでも副部長だからって事で仕事は極端に減らしてもらっているからな」

しかしそんな心配も必要ないようで近江も上手く仕事の振り分けをしてもらっているそうだ

それを聞いて晃平も一安心しながらそれならばとみんなの面倒を見てもらう事にするのだった

(それにしても・・・グラウンドを使えるようにしたとしても本格的な野球をするわけにはいかないしな

 かといって中途半端な事は逆に失礼になるだろうし・・・一体何をすればいいのか・・・)

晃平はグラウンドが使えた場合の事を考えてどんな出し物をしようかと必死に考えるのだった



そして一通りの授業とクラスでの出し物の準備を終えて晃平は職員室に向かった

中に入ってすぐに野球部の顧問をやっている先生の元に向かいグラウンドを使えないかを相談する

「グラウンドを使いたいか・・・とりあえず校長に聞いてみないと分からないけど大丈夫だとは思うぞ?

 でも汚すわけにはいかないから食品とかを持っていくのは無しだからな?」

そんな事はしないだろうと分かってはいるがとりあえずの注意をしながら顧問は校長室に向かった

そして満面の笑みで顧問が帰ってくると晃平にグラウンドの使用許可書を渡した

「本来の用途での使用を守ってちゃんと後片付けをするようにだってさ」

晃平はそれに対して返事をして急いで部室に戻りみんなにグラウンドが使える事を発表した

「そこでグラウンドを使ったメインイベントをしたいと思うのですが何か意見はありますか?」

部室に戻ってきた晃平はみんなにメインイベントでグラウンドを使った何かをしたいのだが

それについて意見はないかどうかを聞くと様々な意見が上がったのだがやはり人数不足などで不可能だった

「・・・やっぱりここは無難に一打席勝負にすればいいんじゃないかな?」

すると近江が素直に一打席勝負をするのが一番盛り上がるのではないかと提案する

それを聞いてもみんなは本当にそれで大丈夫なのだろうかと不安に思っている声の方が多かった

「・・・確かに予算とか人数を考えたらそれが一番なのかもしれませんね・・・

 それで・・・一体誰が龍間部長と勝負しますか?」

晃平も近江の意見を採用する事にして問題は誰があの龍間と勝負するかどうかだった

龍間は野球しかない野球バカでありその実力もおそらくは全国でも通用するほど

それこそ下手をすればプロでもやっていけるのではないかと思えるほどの実力を持っている

そしてもちろんの事、そんな相手を戦いたいと思うような人間はこの部にはいなかった

「それなんだけどさ・・・やっぱり前部長としては新部長である晃平くんと戦いたいんじゃないかな?」

近江は龍間の事をよく考えた場合、やはり前部長として晃平と戦いたいのではないかと告げる

「・・・そうですね・・・お別れ会なんですから俺が最後は送り出さないといけないですよね」

それに対して晃平も確かに自分が送り出す役目をするべきだと考えてその役目を受ける事にした

「それじゃあそれまでに練習しないといけないから俺達も付き合うからね」

近江の言う通り後はその時が来るまで練習あるのみだった



一方その頃、慶太は部活の出し物の準備を休んでクラスの出し物の準備を手伝っていた

その理由はクラスの方が人数が多いので準備をサボれるのではないかと考えたからだった

しかしその考えとは裏腹にクラスでも部活でやるのを同じくらいに手伝わされていた

(・・・もうやってるフリしてサボったりするかな・・・でも見張られてるんだよな〜・・・)

慶太の日頃の行いを知っているからなのか誰もちゃんと仕事をしているとは思っておらず

その内、サボるのではないかと言う不安があるからなのか絶対に誰から慶太を見張っていた

それが分かっているので流石の慶太もサボるわけにはいかないのでどうしようかと思っていると

「そうだ!今日は足りないものもあるから買い出しに行かないといけないんだった!」

クラス委員の一人が今日は買い出しに行く日だった事を思い出して急いで向かおうとしたのだが

書かれていたメモの量を見て流石に自分一人ではこれを持って帰ってくるのは無理だと判断し

誰かに手伝ってもらおうと教室を見ると一人だけサボろうとしている慶太を発見した

「慶太くん!私と一緒に買い出しに行くわよ!急いで着いてきて!!」

クラス委員の女子は慶太の腕を掴むと急いで買い出しに向かった

「ちょっ?!何で俺まで付き合う羽目になってるんだぁぁぁああぁ?!!」

そして二人の去った後には慶太の叫び声だけがこだまするのだった

こうして慶太はクラスの女の子と一緒に買い物をするというある意味で幸せな瞬間に立ち会えているのだが

荷物持ちとして活躍している慶太にもはやそんな疚しい考えを考えを持っている暇はなかった

(クッソ〜・・・!何で俺がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ〜?!!)

愚痴を言おうにも荷物が重たすぎてそんな事を言っている余裕はなく

ただひたすらに着いていくだけで精一杯で思わずどうしてこんな事をしているのだろうと思いながら

ようやく買い物が終わり慶太は荷物を持って学校へと帰ろうとしていると

「そういえば慶太くんって敬子ちゃんと付き合ってるんだよね?」

全く身に覚えのない事を言われた瞬間に慶太は思わず持っていた荷物を落としそうになった

「なっ何言ってるんだよ?!俺とあいつはそういう関係じゃねぇよ!!」

慶太はすぐにその噂が間違いだと告げるがその女子はそんな風に思っていなかった

(それなのにあそこまで仲がいいって逆にすごいような気がするんだけど・・・)



そして買い物から帰ってくると教室には何故かバレー部を手伝っているはずの敬子の姿があった

「あれ?何でここにいるんだ?今日は部活の方を手伝うんじゃなかったのか?」

慶太は荷物を置きながら部活の方の手伝いはどうしたのかを尋ねると

「実は先輩方が手伝ってくれたおかげでやる事がなくなっちゃってこっちを手伝いに来たのよ」

どうやらバレー部の先輩方が張り切ってくれたおかげで早めに準備が終わったようで

それにより暇になったからクラスの手伝いの方へと戻ってきたというわけだった

「いいな〜・・・俺も部活の方が終わってきたらそっちの手伝いに行こうかな〜・・・」

その言葉は完全にサボるつもりの発言でありそれを察した敬子は慶太の頭を掴んだ

「あんたの考えてる事なら手に取るように分かるのよ・・・!サボろうとするんじゃないわよ!」

慶太はそれに対して否定したいのだが掴まれている頭が痛すぎて何も言えなかった

「あの〜・・・二人ともイチャついてないで出来れば手伝ってもらいたいんだけど」



「「イチャついてない!!」」



「全く・・・お前のせいで変な噂が立ってるんだから勘弁してくれよ・・・」

ようやく解放された慶太は敬子に対して変な噂が立っているのはお前の所為だと愚痴る

「変な噂?私は聞いた事ないんだけど・・・それってどんな噂なのよ?」

もしかしたら自分のも不利益になるような噂かもしれないと思って敬子はどんな噂なのかを聞くと

「いや俺もさっき聞いたんだけどなんか俺とお前が付き合ってるらしブフッ?!」

慶太は先ほどのクラス委員に言われた噂についてを発言していると何故か顔を真っ赤にした敬子に殴られた

「へっ変な事言ってるんじゃないわよ?!あんたとわっ私が付き合うわけなななないでしょうが!!」

敬子は必死でそんな噂は絶対に嘘だと告げるのだが逆に必死すぎて怪しさ丸出しだった

「そんな事は俺も分かってるっての!だから俺を殴らなくてもいいだろうが!

 てか殴るなら噂を流した張本人を殴れよ!どうせこのクラスにいるんだろ?!」

そう言って慶太がクラスの人間を見るとまるでみんなが犯人だと言わんばかりに全員が目を逸らしており

それを見ていた二人はもしかしてクラスの誰かではなくクラスそのものが犯人だったのではないかと確信する

「・・・ちなみにいうけど既に他のクラスや学年にも噂が流れてるからね?」



「「・・・今すぐに訂正してこぉおおぉぉい!!」」

果たして噂は消せるかな?

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